DisneyとDiscoveryの元幹部が「ストリーミングサービスのClassPass」Struumを今春ローンチ

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Disney(ディズニー)とDiscovery(ディスカバリー)の元幹部たちが手を組み、今春、Struum(ストゥルーム)と呼ばれる新しいストリーミングサービスを立ち上げる。これは、ClassPass(クラスパス)モデルをストリーミングの分野に適用することを狙っている。つまり、ストゥルームの計画は、小規模な動画配信サービスからコンテンツを集め、独自のサブスクリプションで提供するというものだ。

ストゥルームのアイデアは、創業者のLauren DeVillier(ローレン・デヴィリアー)氏(Discovery Ventures(ディスカバリーベンチャーズ)の元プロダクト責任者)、Eugene Liew(ユジーン・リュー)氏(Disney+(ディズニープラス)の元プロダクト・テクノロジー担当副社長)、Paul Pastor(ポール・パスター)氏(Discovery Networks(ディスカバリーネットワークス)の元戦略・収益・オペレーション担当執行副社長)、そしてThomas Wadsworth(トーマス・ワズワース)氏(Walt Disney Imagineering(ウォルト・ディズニー・イマジニアリング)の元先進プロダクト開発責任者)によって生み出された。

このサービスは、ディズニーの元CEO、Michael Eisner(マイケル・アイズナー)氏から同氏の投資会社Tornante Company(トルナンテ・カンパニー)を通じて支援を受けている。また、動画サービスの運用技術を提供するFirstlight Media(ファーストライトメディア)も、この新しい取り組みに投資し協力している。3番目の投資会社、Gaingels(ゲインジェルズ)はLGBTQ+の創業者や支持者の支援に力を入れている企業だ。

2020年のNielsen(ニールセン)のデータによると、現在、ストリーミング動画配信の分野は、Netflix(ネットフリックス)、Hulu(フールー)、Amazon Prime(アマゾンプライム)、Apple TV+(アップル・ティーヴィープラス)、YouTube(ユーチューブ)、HBO Max(エイチビーオー・マックス)、ディズニープラスなどの大規模なサブスクリプション企業で合計75%のシェアを占めており、市場は飽和状態にある。それにもかかわらず、ストゥルームのチームは、同社のサービスには可能性があると考えている。

ストゥルームは、まだ250を超えるニッチなサービスや専門サービスから成るロングテールが存在するため、コンテンツライブラリを成長させ、同社のパートナーが潜在的な顧客とつながれるよう支援できると主張する。

しかし、それを実現するためのモデルは、クラスパスサービス(地元のジムやスタジオのフィットネスクラスを試すことができる仕組み)に大きくインスパイアされており、ストリーミングビジネスとしてはユニークなものだ。

「私はクラスパスのヘビーユーザーで、このモデルがとても気に入っています。そして、このモデルを使って、この集約型のサービスを提供するというアイデアについていろいろ考え始めました」とデヴィリアー氏は説明する。同氏が言う「スペースと表現方法を見つけようとしている」ストリーマーという、十分なサービスが提供されていない市場に対応するための方法について、この創業者たちは話し合っていた。

ストゥルームは、ストゥルームのアプリでさまざまなサービスを提供し、利用者には月額でサブスクリプション料金を請求することで運営する。しかし、アプリ内でコンテンツが使い放題になるのではなく、クラスパスとジムの提携の仕組みと同じように、利用者にはコンテンツの試用や利用に使うことができる「クレジット」が一定数与えられる。

そして利用者が、あるサービスのコンテンツに日常的にアクセスしていることをストゥルームが把握した場合、そのサービスから直接コンテンツを利用するよう提案する。利用者は、ストゥルームアプリ内から直接そのサービスに加入することも選択できる。

つまりストゥルームは、パートナーのコンテンツをホスティングするだけでなく、パートナーの顧客獲得エンジンとしても機能する。

利用者にとっては、特定の番組や映画を見るためだけに、さまざまなサービスに加入して退会するといったことを繰り返す必要がなくなる。また、コンテンツプロバイダーにとっては、独自のスタンドアロンのサブスクリプションアプリを立ち上げなくても、視聴者を獲得することができる。

ストゥルームは、サブスクリプションから収益を得て、コンテンツパートナーと共有する。パートナーには、パスター氏が「意欲的なティアワン」と表現するブランドが含まれるだろう。それは現在、新しいストリーミング視聴者を探している従来の有料テレビ業界のプロバイダーかもしれない。また、バーティカルメディアブランドや、現在は広告付き動画配信(AVOD)サービスを運営しているが、サブスクリプション型動画配信市場に参入したいと考えている企業も含まれる可能性がある。

画像クレジット:Struum

同社は既に、まだ名前を挙げていない30程度のストリーミングパートナーと契約を結んでいて、その結果、現在2万を超えるテレビシリーズ、映画、短編映画を確保した。これらのコンテンツは、Microsoft Azure(マイクロソフトアジュール)アーキテクチャ上で動作する、ファーストライトメディアと共同で構築されたプラットフォーム上で提供される予定だ。

このスタートアップの共同創業者たちは、ストゥルームの準備にそれほど長く携わってきたわけではなく、2020年の初頭、米国で新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが始まる直前にチームを結成したに過ぎない。外出を控える大勢の人々が自宅で楽しく過ごせるように動画サービスを利用したため、パンデミックによって必然的にストリーミング市場の成長が加速した。このおかげで、ストゥルームは、スタートアップの立ち上げまでの時間を短縮できた。

「Zoom(ズーム)を介して会話をすることで、投資家やコンテンツパートナー、タレントなど、24時間から48時間程度で人を紹介してもらうことができ、プレゼンを行うために国内を飛び回ったりロサンゼルスの街中を車で移動したりする必要がありませんでした。そういう意味では、かなりスムーズに事業を加速させることができました」とパスター氏は語る。

ストゥルームは、リモートワークが一般的になったことで、拠点のロサンゼルス以外の場所でも人材を採用できるようになった。現在10人のチームには、米国の他の地域はもちろん英国にもスタッフがいて、近い将来、パンデミックが終わっても、遠隔地に分散したオペレーションを継続することを目指している。

ストゥルームは、数百もの小規模なサービスに散らばって配信されている未利用のコンテンツが、人目に付かないまま大量に放置されているという、昨今のストリーミング業界の問題を的確に認識している。しかし、この問題に対処するために取っているアプローチ(クラスパスのようなサブスクリプション/クレジットモデルの下でコンテンツを集約すること)が原因で、ストゥルームのサービスはAVODプロバイダーとの競争に引き込まれることになる。利用者はネットフリックスなどのサービスで観たいものを見つけられないときに、ストゥルームやAVODプロバイダーのサービスでコンテンツを探すのである。そして、ここに競争が生まれる。

つまり、ストゥルームが直面している課題は、テレビを見ることに関する習慣を本質的に変えるよう利用者に働きかける必要があるということだ。

「現在、こうした習慣はたいてい、まずネットフリックスをチェックして、次にアマゾンをチェックするといったものでしょう」とパスター氏は説明する。「そして利用者は、家族向け番組、またはより大人向けのコンテンツを見たいかによって、第3の選択肢としてディズニープラスやエイチビーオー・マックスでコンテンツを探します」と同氏は続ける。

「目指しているのは、これらの要素を集約し、ストゥルームが3番目か4番目の選択肢となることです。ストゥルームでは、1つのサブスクリプションを管理するだけで他のサービスをすべてチェックできるのです」とパスター氏は付け加えた。

ストゥルームは立ち上げ後、集約モデルの別のメリットである顧客データを迅速に活用して、コンテンツライブラリを最適化し、将来のパートナーシップの指針とすることを計画している。

「非常に戦略的な背景から形成されたアプローチを取ってきました。利用者の声に耳を傾けるという指針にも従っています。それはディスカバリーやディズニーのブランドの歴史にも通じるものであり、すぐ目先の重点課題でもあります」とパスター氏は語る。

ストゥルームは春にウェブ、モバイル、テレビのプラットフォームに対応したサービスを開始する予定だ。また、グローバルな展開も、その先に見据えている。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:動画配信

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)