Stoke Space Technologies(企業)

再利用型ロケットを次の段階へ引き上げるStoke Spaceが9.7億円のシード資金調達

次の記事

初の「赤・緑」から25周年、ポケモンが新情報発表映像「Pokémon Presents」を2月27日0時配信

多くのロケット打ち上げ業者は、宇宙に人や物を運ぶ際のコストや遅延を減らす最良の方法が、再利用型のロケットだと考えている。SpaceX(スペースエックス)やRocket Lab(ロケット・ラボ)は、宇宙の入口までペイロードを運搬するロケットの第1段を再利用型にしてみせた。そして今、Stoke Space Technologies(ストーク・スペース・テクノロジーズ)は、再利用可能な第2段を開発していると話す。これはペイロードを軌道やその先にまで運ぶものだ。同社はその実現に向けて、シード投資910万ドル(約9億6600万円)を調達した。

安全に地球に帰還できる第1段の設計だけでも決して簡単なものではないが、第1段は特定の高度と速度にまでしか到達できない。さらに速度を増して軌道にまで昇るようなことはしない。そのため、比較的単純な挑戦でもある。第1段が燃え尽きた後を引き継ぐ第2段は、ペイロードをさらに加速し目標の軌道へと導く。ということは普通に考えても、第2段を地球に戻すには、もっとずっと長い距離を、もっとずっと高速に移動させなければならない。

Stokeは、再利用可能な第2段の開発は可能であるばかりか、数十年にわたって宇宙産業に成長をもたらすには、低コストな宇宙経済の構築が欠かせないと考えている。同社のチームは、Blue Origin(ブルー・オリジン)でNew Glenn(ニューグレン)とNew Shepard(ニューシェパード)のロケット本体とエンジンの開発に関わった人物や、SpaceXでFalcon(ファルコン)9のためのMerlin(マーリン)1Cエンジンの開発に関わった人物などで構成されている。

「私たちの設計理念は、単に再利用可能であるばかりでなく、運用面でも再利用可能なハードウェアをデザインすることです。つまり、改修の手間を減らしてターンアラウンド時間を短縮するということです。そうした再利用性は、最初からデザインしておかなければなりません」と、Stokeの共同創設者であるCEOのAndy Lapsa(アンディー・ラプサ)氏はいう。

画像クレジット:Stoke Space Technologies

機体は弾道再突入の後に動力着陸を行うということ以外に、Stokeは重量が何トンにもなる精密機器である第2段ロケットを、400キロメートルの高さから時速2万8000キロメートルほどの速度で安全に下ろすという神業を実現させる、工学面の話も手法も公表していない(ただラプサ氏はGeekWireに対して「上質で高性能な安定したインジェクター」がエンジンの、さらにはその周辺のシステムの要になると話していた)。

そのような高速での再突入は大変に危険なため、着陸用の他に、減速用の燃料も残しておけばよいではないかと考えるのが普通だ。だがそれではペイロードを積む以前に機体の重量と複雑性が増してしまい、積載能力を落としてしまいかねない。

「再利用型システムは、本質的に使い捨てシステムよりも複雑になるのは事実です」とラプサ氏。「しかし、ミッションのコスト削減と可用性の向上が望めるなら、その複雑性にも価値はあります」

他の打ち上げ業者が指摘するとおり、再突入では大量の金が燃え尽きる。しかし今のところ最も安全な対策は、第1段を生かすことしかない。第2段も決して安くはないため、どの業者も、できれば再利用したいと考えているはずだ。もしそれがうまくいけば、打ち上げコストを劇的に下げることができる。

Stokeが約束しているのは、第2段を帰還させるだけではなく、それを持ち帰って翌日にはまた飛ばせるようにすることだ。「あらゆる打ち上げハードウェアは、飛行機と同等の頻度で何度も再利用できます。ゼロ改修で24時間ターンアラウンドです」。

打ち上げと着陸の際にロケットがどれだけ摩耗す損傷するかを考えれば「ゼロ改修」は夢物語だと感じる人も多いだろう。SpaceXの再利用型第1段はターンアラウンドがとても短いが、着陸地点で燃料を詰め替えて、すぐに発射ボタンが押せるというような簡単な話ではない。

しかもStokeでは、小型の低コスト人工衛星がよく投入される地球低軌道よりも高い場所まで飛べる、再利用型ロケットのサービスも目指している。静止軌道投入、月や他の惑星との往復も計画されている。

「静止トランスファー軌道、静止軌道への直接投入、月遷移軌道や地球脱出ミッションは、当初は一部再利用型や使い捨て型のロケットで行われますが、それらに使われる機体は、いずれは地球低軌道への完全再利用ミッションで使われたものと、まったく同じものが使われるようになります。将来の発展型モデルは、これらの(さらに他惑星への着陸)ミッションに応じてデザインを拡張できるようにして、完全再利用を実現します」とラプサ氏は話す。

野心的な主張だ。現在のロケット業界の動向がどうあれ、非現実的だといわれても仕方ない。だがこの業界は10年前に人々が想像していたよりもずっと速いペースで進歩してきた。その改革をもたらしたのは、非現実的な野心だったように思われる。

Stokeがシードラウンドで調達した9億6600万円は、これからのいくつかのステップを実現するために使われるが、この業界の事情に詳しい方なら、決められた時間内に開発とテストを行うには、もっとずっと大きな資金が必要になることはご承知だろう。

今回のラウンドはNFXとMaC Venturesが主導しYC、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏のSeven Seven Six、Joe Montana(ジョー・モンタナ)氏のLiquid2、Trevor Blackwell、Kyle Vogt、Charlie Songhurstその他が参加している。

関連記事
Rocket Labのブースター回収「完全成功」の詳細
SpaceXによる約897億円新資金調達をSECへの提出書類で確認

カテゴリー:宇宙
タグ:Stoke Space資金調達ロケット

画像クレジット:Stoke Space Technologies

原文へ

(文:Devin Coldewey、翻訳:金井哲夫)