宇宙
Relativity Space(企業)
ロケット(用語)
3Dプリント / 3Dプリンター(用語)

Relativity Spaceが完全再利用可能な新しい大型ロケットの建造計画を発表

次の記事

Yelpが初公表したレポートによると投稿レビューの25%が非推奨に

Relativity Space(レラティビティー・スペース)は、2021年後半からの打ち上げを予定している小型ロケットTerran 1の次に計画しているものを明らかにした。それはTerran Rという、Terran 1の20倍の積載量を持つずっと大型の軌道投入ロケットだ。これにはもう1つ、小さな兄と違う点がある。完全に再利用可能といことだ。SpaceXのFalcon 9とは異なり、第1段から第2段まで、すべてが再利用型になる。

私はRelativity SpaceのCEOで創設者でもあるTim Ellis(ティム・エリス)氏に、Terran Rについて、またこの宇宙スタートアップの仕事にいつから就いているのかを話を聞いた。エリス氏は、Y Combinator(ワイ・コンビネーター)に参加していたときから、実際に大型ロケットやその他の構想があったと話す。

「5年前、Relativityを創設したとき、SpaceXのロケットの打ち上げと着陸、国際宇宙ステーションとのドッキングを見るたびに刺激を受けていました。また火星へ行くという考えは、人類の未来にとって極めて重要であり、地球やそれ以外の場所での人類の体験を大いに拡大させる可能性があります」とエリス氏は私に語った。「しかし、人類が宇宙船から火星表面に歩いて出た瞬間、すべてのアニメーションが暗転してしまいます。そこで、火星に産業基地を建設するためには、3Dプリント技術がどうしても欠かせないと私は確信したのです。そして、その未来を実現するためには、数十また数百の企業を触発する必要がありました」。

Relativity Spaceの長期的な目標は、常に変わらず「最終製品の3Dプリント企業」となることだ。軽量ロケットのTerran 1は、その理念に基づいて市場に送り出される最初の3Dプリント製品に過ぎない。

「3Dプリントは、航空宇宙のための私たちの新しい技術スタックです。これはこの60年間、基本的に変わっていないとみんなが感じているものを、大きく書き換えます」と彼は話す。「これは、工場設置型の工作機械、サプライチェーン、何百何千ものパーツ、手作業、遅い改良スピードに置き換わるオートメーションと、地球の未来に必要だと私が信じているものを提供します」。

20トン以上のペイロードを地球低軌道に打ち上げる能力を持つTerran Rも、地球上で使用するための宇宙航空向けの機器を含む数々の製品を生み出そうというRelativity Spaceの長期目標における「次なる論理的なステップ」に過ぎない。エリス氏によれば、地球低軌道までの最大積載量が1250キログラムというTerran 1への消費者からの強い需要と、現在打ち上げられている衛星の平均的なサイズを合わせて考慮すると、大型のローンチビークルは理に適っているという。いわゆる「小型」衛星への恩恵はあるものの、現在作られているコンステレーションは、1基で500キログラムを超えるものが多いとエリス氏は指摘する。Terran Rなら、拡大しつつあるそうした軌道上の宇宙船ネットワークのための衛星を、もっとたくさん同時に打ち上げられるようになるということだ。

Terran Rで使われる予定の高推力エンジンの燃焼試験(画像クレジット:Relativity Space)

「Terran 1とロケットの構造はほぼ同じで、同じ推進剤を使い、同じ工場の同じプリンターで、同じ航空電子工学を用いて、同じチームが建造します」とエリス氏は次期ロケットについて説明した。つまり、Terran Rの機能が現行の小型ロケットとは大きく異なり、特に完全に再利用型になるとしても、同社にとって新しい製造ラインの立ち上げは比較的簡単であることを表している。

前述のとおり、Terran Rは、第1段、第2段とも再利用可能となる。SpaceXのFalcon 9の第1段(液体燃料式のロケットブースター)は再利用型だ。それは宇宙に到達して第2段を切り離すなり、すぐに方向転換して大気圏に突入し、エンジンを噴射して着陸する。Falcon 9の第2段は使い捨て型、つまり基本的に宇宙用語でいうところのゴミであり、廃棄され、いずれ軌道から外れて大気圏に再突入して燃え尽きる。

SpaceXにも、Falcon 9の第2段を再利用型にする計画はあった。しかし、耐熱材を追加すれば重量が増し、目標とする経済性は得られないとわかった。Terran Rの仕様に詳しいエリス氏は、3Dプリントに対応する非常に珍しい素材をユニークなかたちで使うこと、ジェネレーティブデザインを控えめに採用すること、それらがRelativity Spaceのロケットの第2段を、持続可能な形で再利用できるようにすることを、それとなく話してくれた。

「これも完全に3Dプリントで建造するので、従来の製造方式では使えなかった特別な素材や幾何学的デザインを採用する予定です」とエリス氏。「見た目はとにかく非常に複雑で、Terran Rの設計を従来方式で作ろうとしたら、大変なことになります。しかしそれが、再利用性の高いロケットを生み出すのです。最高の再利用型ロケットの建造に大いに寄与してくれました」。

Terran Rには、Relativity Spaceが開発している第2段用の新型エンジンが使われる予定だ。これも現在のTerran 1のエンジンと比べるとユニークなものになる。やはり3Dプリントで作られるのだが、銅製のスラストチャンバーを採用して全体的な出力と噴射能力を高めるとエリス氏は言っていた。木曜日の夕方にエリス氏に話を聞いた時点で、同社はすでにこの新型エンジンの初の耐久テストを完全に成功させていた。本格的な建造への重要な一歩だ。

エリス氏は、年内にはTerran Rのもっと詳しい情報を公開する述べていたが、製造工場にある大型3Dプリンターは、すでに新型ロケットのサイズに合わせて調整してあるとも教えてくれた。「変えたのはソフトウェアだけです」と彼はいう。また、同社がエンジンテストのためにNASAと使用契約を結んでいるステニス宇宙センターの試験場は、Terran Rのサイズのロケットの試験が可能だとも話していた。どうやら、この新型ロケットの開発を彼は急いでいるように思える。

関連記事:Relativity Spaceは3Dプリントとクラウドベースのソフトウェアで新型コロナの嵐をやり過ごす

カテゴリー:宇宙
タグ:Relativity Spaceロケット3Dプリント

画像クレジット:Relativity Space

原文へ

(文:Darrell Etherington、翻訳:金井哲夫)