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AIが「細胞を見分ける」新技術でがんの超早期発見などを目指すCYBO、6000万円調達

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AIに細胞の高速解析・処理技術を開発するCYBOは3月1日、インキュベイトファンドを引受先とした第三者割当を実施し、6000万円を調達したと発表した。また、インキュベイトファンドのジェネラルパートナーである村田祐介氏が社外取締役に就任することも併せて発表した。

2018年に設立されたCYBOは、多数の細胞集団の中から特定の細胞を分離する「インテリジェント画像活性セルソーター(以下、画像活性セルソーター)」を基盤技術として、細胞解析に関する研究開発とサービス提供を行うスタートアップだ。

画像活性セルソーターは、細胞を超高速で画像化し、AIがその画像を選別、特定の細胞を分取するという技術だ。東京大学大学院の合田圭介教授が率いる研究グループが発表した新技術で、CYBO代表の新田尚氏は同グループのプログラムマネージャー補佐を務め2018年に同社を設立した。

既存の細胞識別技術には「蛍光活性セルソーター(FACS)」がある。これは、蛍光抗体で染色した細胞が発する「光の強度」を指標として、細胞を識別・分取するというものだ。国内ではソニーなどが製品化を行っている。このFACSに比べ、AIが画像を解析する画像活性セルソーターでは、光の強度に加えて、細胞の形、細胞内の分子の分布なども測ることができ、結果的に従来よりも精度の高い診断が可能となるという。

画像活性セルソーターの製品化プロジェクト「ENMA」のデザインイメージ

当たり前のように聞こえるだろうが、この領域では「精度」はとても重要だ。精度が高ければ、偽陰性のリスクも減らせるし、偽陽性によって患者に無駄な心理的・金銭的負担を強いることもなくなる。

また、例えばがんの早期発見のためには、患者への負担が低い(低侵襲)ために多くの人を高い頻度で検査でき、かつ精度も高いという2つの特徴を兼ね備えた検査方法が求められる。血液生検のみでがん等を診断できる低侵襲な検査技術「リキッドバイオプシー」に画像活性セルソーターの技術を応用すれば、低侵襲でかつ従来よりも精度が高いという、上記の2つの特徴を持った検査方法が確立できるということになる。

このような理由から、画像活性セルソーターはFACSに取って代わる可能性がある新技術として、開発と実用化が期待されており、米国ではAIベースの細胞識別技術をもつdeepcellがシリーズAで2000万ドル(約21億円)を調達するなどしている

CYBOは今回調達した資金をもとに、精度の高い子宮頸がん検診の実現を目指した共同研究をがん研有明病院と行うほか、オンコリスバイオファーマと共同で開発する「血中循環がん細胞検査(血液中を循環するがん細胞を検出する検査)」の実用化を推進していくという。

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