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米国スタートアップの日本進出を支援するSIPグローバルパートナーズが164億円のファンドの一次募集を完了

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日本は米国のスタートアップの進出ターゲットとして考慮されることは少なかったが、同国はここ数年Slack(スラック)、Salesforce(セールスフォース)、Twitter(ツイッター)、直近ではClubhouse(クラブハウス)といった会社の有力市場となっている。米国時間3月10日、SIP Global Partners(エス・アイ・ピー・グローバルパートナーズ)は、日本をはじめとするアジア市場や湾岸協力会議(GCC)各国に進出の可能性のある米国のアーリーステージスタートアップに特化した新たなファンドの設立を発表した。同ファンドは目標である1億5000万ドル(約164億円)の第一次募集7500万ドル(約82億円)の調達を完了し、すでに5つの会社に投資している。

SIPの新ファンドはレイトシードからシリーズB段階までの、プロダクトがすでにあるか近々市場に登場する予定で、世界展開の準備が整っている会社が対象だ。同社は投資先企業と密に連携をとり、日本その他アジア市場での事業立ち上げを手助けする。

マネージングパートナーのJustin Turkat(ジャスティン・ターカット)氏は、日本は海外スタートアップにとって有望な市場であり、理由の1つはベンチャーキャピタルエコシステムが未発達なために起業家の数が少なく、国の有数な人材の多くが大企業や政府に就職することを選ぶからだとTechCrunchに語った。

日本のスタートアップ市場には大きな可能性があるが、まだ発生期にあると彼は付け加えた。一方、現在、日本は海外直接投資の世界最大の原資であり、約1億2500万人の消費者とスケーラブルなソリューションを必要とする大企業のいるこの国は、新技術のための成熟市場である。

「過去数年に起きたことを見てみると、日本は米国スタートアップとのビジネスに関してオープンで、これまでみたことがないほどの切迫感があり、私たちにとって大きな追い風が吹いていると思っています。米国スタートアップへの投資や提携を見ると、過去5年間は記録的な水準であり、契約件数も毎年増えています」とターカット氏は言った。

ファンドは日米4人の投資家が立ち上げた。ターカット氏と創業マネージングパートナーで元日本ベンチャーキャピタル協会前理事の齋藤茂樹氏は東京に、ゼネラルパートナーのJeffrey Smith(ジェフリー・スミス)氏と創業マネージングパートナーのMatthew Salloway(マシュー・サロウェイ)氏はボストンとニューヨークにそれぞれ拠点を置く。

「この事業を始めた理由はこのチームに関係があります。私たちは全員が国境を越えて仕事をすることにキャリアを捧げ、米国とアジアにわたり事業者と投資家両方を経験してきました」とターカット氏はいう。「パートナー4人全員がこの仕事で約20年以上の経験をもっています」。

過去数年、スタートアップの初期段階で海外展開が行われているのを見てきたと彼は付け加えた。「かつては、米国のスタートアップがベンチャー支援を受けている場合、シリーズDラウンドまでは海外展開を考えないのが普通でした」。しかし今や企業は早ければシードラウンドの段階で海外市場を見据えている。

SIPの新ファンドは3つの分野でスタートアップを探している。クリエイティビティ(拡張・仮想現実、合成メディアおよびウェブベースプラットフォーム)、プロダクティビティ(人工知能と機械学習、エッジコンピューティング、モノのインターネットおよび半導体)、およびセーフティ(デジタル医療と情報セキュリティ)だ。

ターカット氏は、最先端技術の基幹インフラや経済レイヤーを提供する会社に焦点を絞っていくと語った。

例えば「インフラ・レイヤーでは、5Gが世界で同時に展開されている現状、エッジコンピューティングや半導体、セキュリティとAI・機械学習はすべてこのインフラストラクチャレイヤーの周辺にあります」と彼はいう。現在同ファンドの投資先でそのカテゴリーに入るのは、OpenRANのスタートアップ、Parallel Wireless(パラレル・ワイアレス)と超低遅延コラボレーション・プラットフォームのCroquet(クロッケ)がある。

「そして、さまざまな最新技術とそれに基づくプラットフォームとアプリケーションからなる経済レイヤーがあります」とターカット氏は付け加えた。同ファンドがこれまでに投資した3つの会社がこれにあたる。ブラウザーベースのノーコードモーションデザインプラットフォームのFable(フェイブル)、ARゲーミングプラットフォームのTilt Five(ティルト・ファイブ)、職場の安全に特化した産業用IoTのスタートアップであるKinetic(キネティック)だ。

戦略的投資家として、SIPは新しい国に進出するスタートアップと密に連携をとっている。これには、人材雇用や流通チャネルやジョイントベンチャーの候補として初期のビジネスパートナーを見つけることも含まれている。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:SIP Global Partners日本ベンチャーファンド

画像クレジット:SIP Global Partners

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(文:Catherine Shu、翻訳:Nob Takahashi / facebook