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ITでがん治療を支援するフランスの意欲的なスタートアップ「Resilience」

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新しいスタートアップのResilience(リジリエンス)は、がん治療施設とがん患者を、治療のあらゆる段階で手助けしたいと考えている。これはフランスの有名な起業家2人が立ち上げた意欲的なプロジェクトだ。彼らは自分たちのIT技術をこの新たな医療スタートアップに活用したいと思っている。

Céline Lazorthes(セリーヌ・ラゾルテス)氏とJonathan Benhamou(ジョナサン・ベンハモウ)氏の2人が共同CEOを務める。Nicolas Helleringer(ニコラス・ヘレリンジャー)氏とMatthieu Pozza(マシュー・ポッツァ)氏が残り2人の共同ファウンダーで、それぞれCTO(最高技術責任者)とCPO(最高人事責任者)に就いている。ラゾルテス氏は以前、フランスで有数の「Money Pot(個人がお金を集める仕組み)」の会社であるLeetchiを共同設立した。さら、スピンアウト企業としてマーケットプレイス決済ソリューションのMangoPayも立ち上げている。どちらの企業もCrédit Mutuel Arkéa(クレディ・ミュチュエル・アルケア)に買収された。

ベンハモウ氏は、クラウドベースの人事サービスPeopleDocを共同設立した。2018年、同社はUltimate Softwareに買収されている。同氏は、買収後も上場企業である同社の幹部を務めた。その直後、非上場株式投資会社のHellman & Friedman Capital PartnersがUlitimate Softwareを買収した。

2020年、2人はかなりの時間を割いてProtegeTonSoignantという非営利団体で一緒に仕事をした。140名の人々とともに、同組織は740万ユーロ(約9億6000万円)の寄付を集め、個人防護具を購入して必要としている病院に届けた。寄付金集めと物流面、両方の挑戦だった。

医療専門家と長い時間話す機会を得た2人は「少なくとも次の10年を命を救う人たちに自らを捧げる」決心をした、とラゾルテス氏はいう。

それは野心的な挑戦と思われ、彼らもそれを知っていた。「医療に関しては何も知りません、人事や金融のことを知らないのと同じように。私たちは非常に規制の厳しい市場に参入しようとしています」。

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だから彼らは1つの分野、がん治療に特化しようと決めた。研究機関が過去数年間に著しい進歩を遂げてきた結果、がん治療はますま複雑化している。例えば次の3年間に300種類の新たな治療法が出てくる、とベンハモウ氏は推測する。治療は広域療法から標的療法へと徐々に移りつつある。

現在、がん治療施設は3つの課題に直面している。第1に「人間の脳はこの全データを吸収できません」とベンハモウ氏はいう。第2に、平均余命が伸びるにつれ、がん症例は毎年増えている。腫瘍委員会は個々の患者の治療方針の決定に1分半から2分間費やすことになる。

第3に、前の2つの問題の結果、患者は自己裁量に任されることになる。例えば治療における投与量の調節がなされなかったために副作用に苦しむ患者もいる。

画像クレジット:Resilience

Resilienceは、医療チームと患者療法のためのがん治療の多面的ソリューションになることを目指している。開業医に対しては、Resilienceが治療決定を支援する「サービスとしてのソフトウェア」ソリューションになる。同社は科学文献を分類し、機械学習を利用して過去の症例との類似性を調べ、さまざまな条件に基づく臨床試験を見つけ出す。

患者に対しては、自分のがんに関するコンテンツや情報をアクセスできるウェブとモバイルアプリを提供する。具体的に、例えばResilienceは患者が副作用を理解して治療する手助けをする。

「私たちのゴールは、このアプリが患者のクオリティ・オブ・ライフを改善できると証明することです」とラゾルテス氏はいう。Resilienceはアプリを使って質問をして、治療を改善するためのデータを集めることも考えている。

すでに同社はデータサイエンスチームを結成している。そこでは自然言語処理を使って科学文献を解析する。さらに、医療チームと協力してあらゆる部分を二重チェックする。

患者間の類似性を見つけるために、同社は複数の病院と提携して過去の症例データを入手する予定だ。

Resilienceは、調達ラウンドで600万ドル(約6億5000万円)を調達した。元AlvenのパートナーであるRaffi Kamber(ラフィ・カンバー)氏とJérémy Uzan(ジェレミー・ウザン)氏が設立したVCのSingularがラウンドをリードした。テックビジネスのエンジェル投資家であるLa RedouteのNathalie Balla(ナタリーバラ)氏、Xavier Niel(グザビエ・ニール)氏、AlanのJean-Charles Samuelian(ジャン-シャルル・サミュリアン)氏、Sation FのRoxanne Varza(ロクサーヌ・バルザ)氏らも参加した。

同日の調達ラウンドには、医療投資家であるAstraZenecaのCharles Ferté(チャールズ・フェルテ)氏、BioclinicのPhilippe Dabi(フィリップ・ダビ)氏、OwkinのThomas Clozel(トーマス・クローゼル)氏などの名前もあった。

Resilienceはミッションに向かって行動する会社だ。同社は科学委員会、患者委員会と提携を結んでいる。世界有数のがん研究施設であるGustave Roussy(グスタフ・ルッシー)がん研究所もResilienceの共同ファウンダーに名を連ねている。

かなりの数の利害関係者がいるが、これは医療会社を作るためには正しい行動だ。Resilienceは今、自分たちのプロダクトを洗練し、がん治療を実際に改善する可能性のあるプロダクトを展開するために最適な抑制と均衡のシステムを手に入れた。

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タグ:Resilienceがん医療

画像クレジット:Resilience

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nob Takahashi / facebook