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NASA探査ローバーと同じ技術の自転車用エアレスタイヤを「サバイバー」優勝者のスタートアップが発表

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NASA(米航空宇宙局)は日々、宇宙開発への投資の多くが地球上の生活を向上させることにつながると人々に伝えようとしているが、昨今、スタートアップを通じてそのPRの一部を加速させる事業に取り組んでいる。2020年に設立されたスタートアップ企業であるSMARTは、宇宙法協(Space Act Agreement、SAA)を通じてNASAとパートナーシップを結んでおり、イノベーションの一部を商業化することを目的としたNASAの正式なスタートアッププログラムに参加している。この若い企業は米国時間3月16日、最初の製品を公開した。NASAの技術者が将来の月・火星探査機の耐久性を向上させるために開発した技術をベースにした、自転車用のエアレスタイヤである。

SMART社のMETLタイヤは、NASAのグレンリサーチセンター(John H. Glenn Research Center、GRC)との共同開発による最初の成果だ。グレンリサーチセンターでは、NASAのエンジニアであるSanto Padula(サント・パドゥーラ)博士とColin Creager(コリン・クリーガー)氏が、「形状記憶合金」(shape memory alloy、SMA)と呼ばれる技術を初めて開発した。SMAは、相互に連結されたスプリングのみで構成されたタイヤで、空気を入れる必要がないためパンクの心配はないが、空気を入れるゴム製のタイヤと同等以上のトラクションを得られ、さらに衝撃吸収機能も備えている。

画像クレジット:NASA

NASAグレンリサーチセンターのエンジニアが、模擬月面作業研究所でのテストの前に新しい形状記憶合金製のローバー用タイヤを組み立てる様子。

パドゥーラ博士とクリーガー氏の重要な開発は、分子レベルで元の形状に戻ることができる合金を作ることだった。つまり、砂利や穴などの障害物を含む不整地に適応して変形し、時間が経っても構造的完全性を失わずに元のかたちに戻るということだ。

リアリティゲーム番組「Survivor:Fiji(サバイバー:フィジー)」のチャンピオンであるEarl Cole(アール・コール)氏とエンジニアのBrian Yennie(ブライアン・イェニー)氏が共同で設立したSMARTは、パドゥーラ博士とクリーガー氏、そして元NASAインターンのCalvin Young(カルビン・ヤング)氏と協力して、SMAの利点を消費者市場に応用した。SMARTはまず自転車市場をターゲットにMETLタイヤを開発し、2022年初頭には一般販売を開始する予定だ。その後、SMART社は自動車や商用車の分野にもSMAタイヤの導入を進めていく予定だという。

画像クレジット:SMART Tire Company

すでにSMARTは、Ford(フォード傘下)のSpin(スピン)と提携している。Spinは、新しいマイクロモビリティモデルに焦点を当てた自転車やスクーターのシェアリング企業だ。SMART社の技術は、パンクや空気圧不足を過去のものにする可能性があるだけでなく、頻繁な交換が必要で、適正な空気圧でない状態で使用されるとライダーやドライバーに危険を及ぼす可能性があるゴム製のタイヤを補完することにより、長期的にコストと廃棄物を削減できるかもしれない。

SMART社はWeFunderを利用してクラウドソーシングによる株式投資を募っており、現在800万ドル(約8億7000万円)の評価額上限でSAFE(Simple Agreement for Future Equity、将来株式取得略式契約スキーム)を提供している。

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画像クレジット:SMART Tire Company

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)