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ストックホルムの成熟したスタートアップエコシステムについて8人の投資家に聞く(前編)

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欧州のスタートアップエコシステムの中でも、スウェーデン、主にストックホルムは、ロンドン、パリ、ベルリンなどの巨大都市にほぼ匹敵するくらいの規模がある。人口1000万人のスウェーデンは、明らかに自国より大きな国と競争しながら、Spotify(スポティファイ)やKlarna(クラーナ)などのユニコーン企業を生み出してきた。

そのせいだろうか、2020年の後半にスウェーデンのパンデミック対策がより厳しくなったにもかかわらず、インタビューに応じてくれた8人の投資家たちには、未来について強気な見方を持っているという特徴が見られた。

スウェーデンの新型コロナウイルス感染症対策は当初、緩やかなものだった。そのため、テックエコシステムはこの不安な時期を乗り切ることができたようだ。「スウェーデンは開放的な政策を採用しており、パンデミックの推移の先を見越して策を講じています。そのため、入国者数が出国者数を上回っています」とLuminar Ventures(ルミナー・ベンチャーズ)の創業パートナーJacob Key(ヤコブ・キー)氏はいう。

何人かの投資家たちが「創業者がパンデミックに順応する中、ポートフォリオ企業の収益とリテンションに回復の兆しが見られる」と話してくれた。デジタルヘルスやリモートワークといった分野にとってパンデミックが追い風になっていることは間違いないが、スウェーデンがフィンテック分野やゲーム分野に強いことを考えると、それらの分野は伸びる条件をもともと備えていたと言える。

サステナビリティ、レスポンシブル・ショッピング(社会的責任を考慮したショッピング)、環境に優しい旅行、植物由来の代替食品を要望する消費者が増えるにつれて「そうした分野の企業が急成長することになるだろう」とIndex Ventures(インデックス・ベンチャーズ)のSofia Dolfe(ソフィア・ドルフェ)氏は説明する。

飽和状態の分野は、メディア / アドテックと健康 / フィットネスアプリだ。

インタビューに応じてくれた投資家たちが大きな期待を寄せているトレンドには、ディープテック、AI、機械学習、ヘルスケア / メドテック、産業IoT、エネルギー保存、高エネルギー効率発電、ロボティクス、知的生産、付加製造などがある。

「ストックホルムからはたくさんの興味深いモノが登場しており、最近のサクセスストーリーとともにその数も急増している」とVNV Global(VNVグローバル)のBjorn von Sivers(ビヨルン・フォン・シルバーズ)氏はいう。

以下の投資家たちが、TechCrunchのインタビューに応じてくれた。

Jacob Key(ヤコブ・キー)氏、Luminar Ventures(ルミナー・ベンチャーズ)、創業パートナー

TC:通常、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

AIオートメーション、民主化、SMB SaaS。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

Hiberworld(ハイバーワールド)。

TC:特定の業界で「こんなスタートアップがあったらいいのに」と考えることはありますか。現在、見過ごされていると感じるチャンスはありますか。

サステナビリティの状況をリアルタイムで追跡できる、消費者およびビジネス向けサステナビリティトラッカー。

TC:次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

大きな問題を解決しようとひたむきに取り組んでいる、優れた才能を持つチームであるかどうかを見ます。

TC:新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

アドテック企業、消費者金融業、eコマース小売業、ニッチ問題ですね。

TC:御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

広い意味でスウェーデンのエコシステムに100%投資しています。

TC:御社が本拠とする都市やその周辺地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業界、または適していないと思われる業界は何ですか。御社のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

ゲーム産業、フィンテック、応用AI、セキュリティ、eヘルスなどは長期的に繁栄する業界だと思います。Mindler(マインドラー)、Insurello(インシュレロ)、Hiberworld(ハイバーワールド)、Greenely(グリーネリー)、Normative(ノーマティブ)、Marcus Janback(マーカス・ジャンバック)、Tanmoy Bari(タンモイ・バリ)などの企業に期待しています。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

投資環境は力強く、連続起業家や経験豊富な創業者が増えています。エコシステムは強くて数多くの分野を網羅しており、グローバルな視野を持つ、製品とテック主導の創業者たちが多数出現しています。

TC:今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増し、パンデミックや先行きへの不安、リモートワークが持つ魅力のために、スタートアップハブから人が流出する可能性があると思いますか。

スウェーデンは開放的な政策を実施しており、パンデミックに起因する推移の先を見越して策を講じています。そのため、入国者数が出国者数を上回っています。

TC:御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス慣行の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはありますか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような未曾有の時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

観光、モビリティ「あれば便利」程度のSaaS、人材採用などの分野は対応に苦慮するでしょう。スタートアップは、ビジネス、イベント、Travel 2.0、セキュリティ、サステナビリティ、eヘルス、エンターテインメントといった分野に注力する必要があります。

TC:新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も懸念していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

あまり影響はありません。豊富な資金での投資、デジタルファースト販売、ランウェイの延長に注力しています。最大の懸念事項は、パンデミックが長引いて投資環境が現在よりも大幅に冷え込むことです。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

eヘルス、ゲーム、リモートワーク、フィンテック。

TC:この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

創業者は以前よりもさらに熱心に仕事に取り組んでいるように思います。また、デジタル革命が思ったよりもずっと早く進んでいることにも希望を感じます。

Bjorn von Sivers(ビヨルン・フォン・シルバーズ)氏、VNV Global(VNVグローバル)、パートナー

TC:通常、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

強固なネットワーク効果を持つビジネスモデルですね。モビリティおよびマイクロモビリティサービス、デジタルヘルス、オンラインマーケットプレイスなどです。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

SWVL、Babylon Health(バビロン・ヘルス)、Voi Technology(ヴォイ・テクノロジー)。

TC:特定の業界で「こんなスタートアップがあったらいいのに」と考えることはありますか。現在、見過ごされていると感じるチャンスはありますか。

気候変動に直接的または間接的に取り組むスタートアップです。この分野は今後大きく成長すると思います。

TC:次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

強力なネットワーク効果を持つビジネスモデルかどうかを見ます。

TC:御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

当社はグローバルな投資委託案件を扱っています。ポートフォリオのうちスウェーデン / ストックホルム本拠の企業は10%程度です。

TC:御社が本拠とする都市やその周辺地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業界、または適していないと思われる業界は何ですか。御社のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

ストックホルムのエコシステムから輩出されたすべての消費者向けサービスは長期的に繁栄すると思います。当社のポートフォリオ企業では、Estelle Westling(エステレ・ウェストリング)氏によって創業されたVoi Technology(ヴォイ・テクノロジー)、Fredrik Hjelm(フレドリック・イェルム、マイクロモビリティ)、Grace Health(グレース・ヘルス)、および新興市場で女性向けのデジタルヘルスクリニックを構築しているThérèse Mannheimer(テレース・マンハイマー)に期待しています。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

ストックホルムからはたくさんの興味深いものが登場しており、最近のサクセスストーリー(SpotifyやiZettleなど)とともに、その数も急増しています。

TC:今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増し、パンデミックや先行きへの不安、リモートワークが持つ魅力のために、スタートアップハブから人が流出する可能性があると思いますか。

大都市以外の地域で起業する創業者は、多少は増えるでしょうが、急増することはないと思います。

TC:御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス慣行の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはありますか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような未曾有の時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

海外旅行はまだ不安要素が多く、先が見えません。デジタルヘルスとマイクロモビリティは間違いなく、かつてないほどの需要を見込めるでしょう。

TC:新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も懸念していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

当社の投資戦略はあまり大きな影響は受けていません。創業者たちは、資金調達環境や、先が見えない状況における最善策について、いろいろと考えていると思います。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

はい、ポートフォリオ企業全体に回復の兆しが見えています。

TC:この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

モビリティビジネスが急速に回復したことには希望を感じました。3月後半から4月初めにかけて業績は大幅に悪化しましたが、5月以降は力強く回復しました。

Ashley Lundström(アシュレー・ルンドストーム)氏、EQT Ventures(EQTベンチャーズ)、パートナー

TC:通常、どのようなトレンドに投資するときが、一番ワクワクしますか。

個人的には、重要な問題の解決に取り組んでいるチームに投資することに関心があります。具体的には、恵まれない人々、社会全般、環境などに影響を与えるチームです。こうしたチームがどんどん増えているので、この先がとても楽しみです。特に、いくつも会社を立ち上げてきた連続起業家にそうした人がたくさんいます。彼らは、イグジットを達成して高い利益を獲得し、今度はそのスキルを意味のある活動に活かしたいと思っています。

TC:最近、一番エキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

この案件は数日前にクローズしたばかりでまだ発表していないのですが、当社のAIプラットフォームMotherbrainの判断で出資した企業です。誰もが「ああ、あれは本当に使いやすいよね」というようなものを作っている企業です。製品主導の企業が世界規模のユーザーベースを基盤に本業で力強い成長を遂げている典型的な例で、今すぐにでもこの企業と仕事を始めたくてウズウズしています。これより前に出資した企業で最も期待しているのは、Anyfin(エニーフィン)です。エニーフィンはストックホルムの第二世代チームの潜在能力を示す典型的な例で、スウェーデンのユニコーン企業iZettle、Klarna、Spotifyからスピンアウトしたチームです。エニーフィンは、最も必要としている人たちに向けにファイナンシャル・ウェルネス・サービスを構築するフィンテック企業です。借り換えによって利子率の軽減に真正面から取り組むサービスから始めて、この春にシリーズBの資金調達ラウンドで獲得した資金を元に、製品の拡充とマーケットの拡大を図ろうとしています。

TC:特定の業界で見てみたいと思っているものの、まだ登場していないスタートアップはありますか。今、見過ごされているチャンスは何かありますか。次の投資先を判断する際、通常どのようなことを検討しますか。

市場での経験とスタートアップとしての経験を兼ね備えたチームをぜひ見てみたいと思います。大半のチームは、どちらか一方の経験しかないのですが、私が見てみたいのは「この問題なら裏側まで知り尽くしているよ。その世界で生きてきたからね」という共同創業者と「このアイデアを形にする方法ならわかるよ」という共同創業者がどちらもいるようなチームです。この組み合わせは本当に強力です。また、消費者であれロングテール戦略を取るB2Bであれ、膨大な数の人や企業が直面している問題の解決に取り組んでいるチームに投資することにも注力しています。私にとっての絶対条件は「製品はコンシューマーグレードでなければならい」ということです。これは消費者にとっては当たり前ですが(ただし常にそうなっているとは限らない)、当社はB2Bの世界でも必ずこの条件に基づいて投資判断を下してきました。

TC:新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

型にはまらない企業や人を見つけることが投資家の仕事です。そのため、競争が厳しいからといってあるカテゴリを完全に投資対象から除外することは難しいのですが、それでも、構造上の理由から勝者が全部または大部分を獲得することが簡単には想像できないセクターは常に存在します。人材採用や人材派遣、D2C、デジタルヘルスサービスなどがそうです。

TC:御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

当社の戦略は、地元エコシステムへの投資は局所的に行い、欧州全体、特殊なケースでは米国にも投資するというものです。ですから、私が個人的に費やす時間は北欧地域の案件が多いものの、一緒に仕事をしている投資対象企業の半分以上は北欧諸国外の企業です。Motherbrainによって、投資対象企業が所在する地理的範囲はさらに広がり、所在地とは無関係に優れたスタートアップが見つかるようになりました。ですから、地元のエコシステム外の優れたチームにも定期的に投資しています。

TC:御社が本拠とする都市やその周辺地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業界、または適していないと思われる業界は何ですか。御社のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

北欧諸国には優れた消費者向け製品を提供している企業が多数あります。具体的には、ストックホルムのフィンテック企業であるTink(ティンク)、Anyfin(エニーフィン)、Brite(ブライト)、フィンランドのゲーム企業であるSmall Giant Games(スモール・ジャイアント・ゲーム)、Reworks(リワークス)、Traplight(トラップライト)、コペンハーゲンのEdTech企業であるEduflow(エデュフロー)や、同じくコペンハーゲンのヘルステック企業であるCorti(コーティ)です。また、北欧地域の優れたエンジニアリング系の人材は、信じられないくらい強力なテックチームを作り出しています。例えばフィンランドのVarjo(ヴァルジョ)、Speechly(スピーチリー)、Robocorp(ロボコープ)などです。また、北欧では量子コンピューティングの分野でも興味深い企業(IQMなど)が登場しています。さらには、当社が長期にわたり大きな期待を寄せている北欧発のムーンショット企業もいくつかあります。Solein(ソレイン)、Einride(アインライド)、Heart Aerospace(ハート・エアロスペース)、Northvolt(ノースヴォルト)などの企業がその例です。

TC:他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

北欧諸国は自国より大きい国々と競争を続けていますが、この傾向は今後も続くと思います。つまり投資機会はたくさんあるということです。エコシステムの成熟にともない、その質も向上していくことが、この傾向が継続する根拠になると思います。歴史的に見て、景気が悪化した時期には強いテック企業が登場してきました。経験豊富な起業家たちは、間違いなく、この大変な時期を最大限に活かす方法を模索していくでしょう。ですから、そうした起業家を支援するチャンスを逃さないように投資家たちがこの地域に注目しているのは当然のことだと思います。

今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増し、パンデミックや先行きへの不安、リモートワークが持つ魅力のために、スタートアップハブから人が流出する可能性があると思いますか。

リモートワークを導入するチームはこれからますます増えていくと思います。ですが、ハブは、エコシステムの中で強力かつ重要な役割を果たし続けると思いますし、大都市での起業が大幅に減少することもないと思います。とはいえ、生活費の高い大都市を離れる人たちを責めることはできません。とはいえ、これまで地元だけで営業してきたチームが、新しい地域に進出していく傾向はどんどん強まっていくと思います。その結果として、新しい人材プールが出現し、それが長期的にはハブの数を増やすことになるでしょう。

TC:御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス慣行の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはありますか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような未曾有の時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

テック企業は全般的に有利な位置にいます。というのは、全般的にどのテック企業も、デジタル化に取り組んでいる(新型コロナウイルス感染症のせいでデジタル化が加速されているため、テック企業はその時流に乗っている)か、現代または未来の未開拓分野に取り組んでいるからです。後者の場合は当然、そうした未開拓分野のアイデアの中に「あれば便利」というものもあるため、消費者が経済的に苦しい状況では苦戦することになりますが、多くのサービスは長期的にはうまくいくと思っています。もちろん、イベントやエクササイズなど身体的な動きに関わるサービスの場合は、パンデミックに迅速に対応できないため、一時的に落ち込むでしょうが、こうした企業はもともと長期的なトレンドに賭けてきたため、状況が回復すればチャンスが巡ってくると思います。

TC:新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も懸念していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

当社の戦略は新型コロナウイルス感染症の影響を受けていませんが、常に戦略に忠実にビジネスを行い、ランウェイにも留意するという意味で、油断を怠らないようにする契機にはなりました。そう、ファンドにもランウェイはあるのですよ。創業者に対しては、(1)選択肢を持ち続けられる(廃業という事態だけは回避できる)ようににランウェイを延長し、(2)その上でできる限り積極的になるように、とアドバイスしています。チームには、社内の意思決定においても、製品を市場に出してテストする場合も、迅速に行動するよう勧めています。当社のポートフォリオ企業の創業者たちにとって最大の懸念事項は「この状況」がいつまで続くのかという不安です。それに対しては、通常どおりに会社を運営して変化が起こるのを待つのではなく、自社が今いる市場で求められていることに意識を集中するようにアドバイスしています。

TC:御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

はい、そう思います。今、非常に好調な会社が何社かあります。当社が支援した食品配達のWolt(ウォルト)やモバイルゲーム企業のPopcore(ポップコア)、Reworks(リワークス)、Traplight(トラップライト)などです。こうしたタイプの企業にとっては特に、現在の状況は追い風になっています。そして、与えられた機会を活かして、驚異的な成長を遂げた優れた創業者たちがいます。

TC:この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

医療提供者を含む公共部門がデジタル化を急ぐ努力をしている姿は新鮮でした。対応の遅れや保守的であることについて言い訳ばかりしてきた公共部門が突如として飛躍的な前進を遂げたのですから。彼ら自身、そのことを誇りに思っています。こうした動きを見ると、状況が回復すれば新たな意欲が生まれてくるという希望が持てます。

TC:TechCrunchの読者のみなさんに何か伝えたいことはありますか。

北欧諸国には、一般の人がデジタル化された日常を送るためにすばらしいデジタルツールを使用している事例がたくさんあります。創業者とビジネスリーダーのみなさんには、ぜひこれらの事例を見ていただき、他の地域でもこうしたツールを実装できないか検討していだきたいと思います。スカンジナビア諸国発のトレンドはファッションやインテリアデザインだけではありません。

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画像クレジット:Everste / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)