バイデン政権はいかに仮想通貨規制に取り組むのか

次の記事

アフリカでAPIフィンテックを展開するStitchがステルスから脱して4.3億円を調達

本稿の著者Leigh Cuen(リー・クエン)は、ニューヨーク市のレポーター。彼女のレポートはVice、Business Insider、Newsweek、Teen Vogue、Al Jazeera English、The Jerusalem Postなどに掲載されている。Instagramは@leightuen

ーーー

Steven Mnuchin(スティーブン・ムニューチン)前財務長官が残したものより悪いシナリオを想像できるだろうか。

Square Crypto(スクエア・クリプト)の開発者であるMatt Corallo(マット・コラーロ)氏やCoin Center(コイン・センター)のディレクターであるJerry Brito(ジェリー・ブリトー)氏などのBitcoin(ビットコイン)のベテランによると、この極めて厳しい規制案はムニューチン氏自身の個人的な復讐であり、Janet Yellen(ジャネット・イエレン)次期財務長官が、提案されたKYC(Know-Your-Customer、銀行や証券口座などの開設時に求められる本人確認)基準を承認するのか否かを語るのは早計だという。

関連記事:ビットコイン擁護派がトランプ政権の性急な仮想通貨規制に反抗

Trump(トランプ)政権が生み出した混乱を考えると、Bitcoinファンは、Joe Biden(ジョー・バイデン)大統領の政権下で規制当局がどのように仮想通貨分野に取り組むのか、やきもきしながらも楽観的に見ている。

「ムニューチン氏は最後の最後に、法執行機関や情報機関と共有されない仮想通貨の不正使用について過剰に警戒していた。ジャネット・イエレン氏が同じ見解を持っているようには見えない」とブリトー氏は述べ「イエレン氏の見解は極めて一般的なようだ」と続けた。

つまり、イエレン氏は、仮想通貨の使用について有益な方法有害な方法の両方があると考えている。同氏は、テロの資金調達のような不正使用を防ぐために規制を強化したいという意欲を表明しており、通貨監督庁(OCC)、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)といった政府機関のための基調を打ち出す可能性がある。

ブリトー氏は「SEC、OCC、CFTCは、仮想通貨に精通している人を選んでいる」と言い「それは、それらの機関が仮想通貨を厳しく規制するための深い知識を得ていること、あるいは今では仮想通貨が経済と金融の重要な部分と見なされていることを示しているのかもしれない」と付け加えた。

移行にはまだ早いが、バイデン政権はRipple(リップル)の元顧問で元米国財務省職員のMichael Barr(マイケル・バー)氏をOCCのトップに指名するようだ。短期的には、トランプ氏に任命されたSECコミッショナーのHester Pierce(ヘスター・パース)氏は、証券市場で悪評の高い、同氏の仮想通貨に融和的なアプローチを継続することになる。しかし報道によれば、バイデン政権は間もなく、元CFTC議長のGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏をSECの委員長に指名することを検討しているという。

「新SEC議長のゲイリー・ゲンスラー氏は、Rippleに加え、フェイスブックのLibra(リブラ)プロジェクトについての見解をかなり率直に述べている。これらは有価証券であり、SECによって規制されるべきというのが同氏の意見だ」と、Anderson Kill(アンダーソン・キル)法律事務所のパートナーで仮想通貨を専門とするHailey Lennon(ヘイリー・レノン)弁護士は述べている。「来年か2年後には、現在係争中のいくつかの訴訟とSECの新しいリーダーシップによって、より明確になり、将来的には強制措置が少なくなることを期待している。明確になれば、企業は何を避けるべきかを判断できる」。

一方、ロイター通信は、ホワイトハウスがGeorgetown(ジョージタウン)大学のChris Brummer(クリス・ブルマー)教授をCFTCの委員長に指名する見通しだと報じた。ブルマー氏は以前、Obama(オバマ)大統領から指名を受けていたが、政治的な行き詰まりのため、上院では承認されなかった。外国資産管理局(OFAC)や金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)など、テロの資金調達の抑制に関連する重要な役割について、2021年に誰が指名されるかはまだ明らかになっていない。

レノン氏は「FinCENとOFACからの規制が増え始める可能性がある。仮想通貨企業との間でいくつかの合意があり、OFACはウォレットアドレスをSDN(特定国籍業者)[制裁]リストに追加している」との見方を示し「OCC、SEC、CFTCにもっとポジティブな動きがあったとしても、KYCとマネーロンダリング対策に関わる規制の追加、資金源の監視強化、そして制裁審査によってバランスが取られるだろう」と話す。

制裁は2021年注目の話題だ。2020年を通じて、イラン政府Bitcoinやその他の仮想通貨を利用して銀行制裁を回避する意向を示す声明を発表した。イランや他の国からの移住者は、まさに同じことをするためにBitcoinを使用してきた

これまでのところ、バイデン政権制裁を解除する様子は見られない。それどころか2月18日、米国財務省は、イラン、キューバ、ウクライナなどの制裁対象国の市民とユーザーが取引できるようにしたことに対して、決済サービス企業のBitPay(ビットペイ)にペナルティを課したという声明を発表した。多くのイラン系アメリカ人が国内外で利用している仮想通貨に対する規制当局の動きは、ホワイトハウスが中東外交にタカ派、ハト派、どちらのアプローチで臨むのかを反映することになるだろう。

Chamber of Digital Commerce(チェンバー・オブ・デジタルコマース)と呼ばれる権利擁護団体の創設者であるPerianne Boring(ペリアンヌ・ボーリング)氏は「新政権上層部は、より広い仮想通貨空間に対して批判的な見方を示している」と語る。それ故、ボーリング氏は、業界のリーダーたちが、世界の仮想通貨市場で「米国がリーダーシップを発揮する基盤を築く」ために、議員と協働し続けることを期待しているという。

同氏によると、米国の仮想通貨スタートアップは、各国が「次のシリコンバレー」を育成しようと奮闘している中、より進歩的な法律を持つ国に拠点を置くスタートアップを相手に、グローバルな舞台でしのぎを削っているという。他の国は、仮想通貨企業、特に国内のクリプトマイニング産業の振興を図っている。多くの技術者は、米国のリーダーたちも、このテクノロジー分野でのイノベーションを促進することでドルの優位性を保つべきだと考えている。結局のところ、主要なステーブルコインの多くはまだ米ドル建てだ。

ボーリング氏は「Biden-Harris(バイデン・ハリス)政権と議会は、デジタル資産とブロックチェーンへの取り組みが優先政策であることを明確にする必要がある」と述べ「バイデン・ハリス政権は今、経済を完全雇用まで回復させ、四半期および年次の経済成長を揺るぎないものにすることに集中すべきだ」と続けた。

ブリトー氏は、イエレン氏の両椀として制裁と規制への取り組みを支えることになるであろう、OFACとFinCENのトップに、誰が新たに指名されるのか特に興味を持って見ているという。同氏はまた、新たな法的規範の導入が予定されていると考えるレノン氏とボーリング氏の意見に同意している。予定されている判決が、どんなに厳しくても、あるいはどんなにビジネス寄りであっても、少なくともバイデン氏はまだトランプ氏のようにBitcoinを批判するツイートはしていない

ブリトー氏はバイデン政権について「まだ誰もが足元を固め、優先順位を理解しようとしている時期だ」とし「政策を打ち出したり、遭遇する事態に対応したりし始めれば、政権の立ち位置が明らかになるだろう」と語った。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:ジョー・バイデン仮想通貨

画像クレジット:Patrick T. Fallon/Bloomberg / Getty Images

原文へ

(文:Leigh Cuen、翻訳:Dragonfly)