VC / エンジェル
The TechCrunch Exchange(連載)

テクノロジー企業たちが予測する(経済の)未来

次の記事

企業のクラウドに対する支出が2020年に初めてオンプレミスを上回る、しかも大きく

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。
決算シーズンも終盤を迎え、上場ハイテク企業たちは第4四半期と2020年の開示を終えようとしている。TechCrunchは、大企業の業績はあまり気にしていないが、スタートアップだった頃から知っている中小のハイテク企業たちは、熟考に値するスタートアップ関連のデータを提供してくれる。そのため四半期毎に、The Exchangeは多くのCEOやCFOに話を聞き、非公開企業に対して情報をお伝えできるように、何が起こっているのかを把握している。

時にはそれが役に立つこともある。保守的な銀行業界でAIが受け入れられるようになってきたことに関連して、フィンテックのUpstart(アップスタート)について考察をした後に、同社と交わした会話がそれを証明している(Upstartは最近POを行ったばかりだ)。

先週は、Yext(イエクスト)のCEOであるHoward Lerman(ハワード・ラーマン)氏と、Smartsheet(スマートシート)のCEOであるMark Mader(マーク・メーダー)氏にインタビューを行った。Yextは中小企業向けのデータプロダクトを開発していて、将来を検索プロダクトに賭けている。一方Smartsheetは、コラボレーション、ノーコード、フューチャー・オブ・ワーク(新しい働き方)の領域で活動するソフトウェア企業だ。

両社はまったく内容の異なる企業だが、今回の決算では揃って、マクロノートと呼ばれる、今後の財務ガイダンスや彼らが予想する経済状況に関する詳細記述を公表した。マクロオタクの私は、大いに興味をそそられた。

Yextは、第4四半期の業績を発表する際に、いくつかのマクロ経済的な逆風要素を挙げている。そしてその中では、将来の業績を不確実なマクロ状況と結びつけて「これは、低迷を続けるマクロ経済と、慎重な姿勢を崩さない顧客など、現在の自社および顧客のビジネス状況に基いたガイダンスです」と書かいている

ラーマン氏はThe Exchangeに対して、世界がいつ再び「開かれた」ものになるのかが不明であるため(それは位置情報に関連するYextの製品にとって大問題なのだ)、2021年は何も変わらないという前提でガイダンスを書いたという。これはウォール街からは評価されなかったが、この先、経済が回復すればYextが超えるべきハードルは高くないことになる。これは、企業がガイダンスを語る際の1つのやり方だ。

Smartsheetは若干異なるアプローチをとっていて、業績報告の中では「会計年度2022年度のガイダンスでは、下半期のマクロ環境の緩やかな改善を想定しています」と述べている。メーダー氏はインタビューの中で、自分の会社はエコノミストは雇っておらず、ただ他の人の話を聞いているだけだと答えている。

同氏はまた、マクロ状況は飽和状態の市場ではより重要になると考えているが、Smartsheetが相手にしているのはそのような市場ではないと考えていると語った。そのため、Smartsheetの業績は、同社の業績報告会での言葉を借りれば「クラウドとデジタルトランスフォーメーションへの長期的なシフト」などの影響をより強く受けるはずだ。

2021年の経済がどうなるかは、スタートアップたちにとってかなり重要な問題だ。景気が良くなれば、金利が上昇し、お金を稼ぐコストが上昇し、債券がより魅力的になる。その場合、評価額には控え目な下降圧力がかかる可能性があり、ベンチャーキャピタルはわずかに減速する可能性がある。しかし、Yextがこの先を平坦な道と予想し、Smartsheetはペースアップは第3四半期からと予想していることを考えると、現在の状況がほぼそのまま続くことになりそうだ。

現在、スタートアップやレイトステージのための流動性資金は、非常に良い状況だ。それでは、スタートアップの国はこの先順調なのだろうか?少なくとも、現在の私たちの視点で見定められる限りは。

さて、Splunk(スプランク)のCEOであるDouglas Merritt (ダグラス・メリット)氏からは、旧来のソフトウェア会社をクラウドファーストの会社にする方法について、そしてJamf(ジャムフ)のCEOであるDean Hager(ディーン・ヘイガー)氏は、個別のソフトウェア製品のパッケージングについて、それぞれ話を聞きメモが残されている。彼らからはさらに話を聞くことになるだろう。

その他のことなど

先週は大小のラウンドがあった。たとえばSquarespace(スクエアスペース)は3億ドル(約326億6000万円)、Airtable(エアテーブル)は2億7700万ドル(約301億6000万円)を調達した。小規模なものの中では、Copy.ai(コピーAI)の290万ドル(約3億2000万円)という控えめな資金調達が先週のお気に入りだった。

関連記事
ウェブサイトビルダーのSquarespaceが1.1兆円の評価額で327億円調達、秘かに上場申請済み
コードレスデータベースのAirtableがシリーズEで約290億円調達、評価額は約6300億円に

しかし、TechCrunchがカバーしなかったラウンドの中にも、時間を割く価値のあるものがあった。ということで、これからでも気にして貰いたいものをいくつかご紹介しよう。

  • 英国を拠点とするスタートアップ企業であるLilliは、いわゆるプレシリーズAラウンドを実施した。同社はセンサーやその他の技術を用いて、支援が必要な1人暮らしの人々の健康状態を追跡する企業だ。私にとって、人々を技術を使ってケアすることは、いつでも良いことだ。UKTNによれば、この調達は450万ポンド(約6億8000万円)相当のものだったようだ。
  • 米国進出時に9億1500万ドル(約996億9000万円)を調達した中国のソフトウェア会社Tuya(ツヤ)のIPO。中国のIPOが米国の株価指数に入ることは、かつては大きな話題だった。今ではその頻度は減っている。これを見逃していたのは驚きだが、まあ、色々なことが一遍に起きていたので。
  • そして、最近拡大された米国のクラウドファンディング規制を利用した、3600万ドル(約39億2000万円)相当のRepublic(リパブリック)のラウンドがあった。Juked.gg(ジュークドgg)など、この手法で成功を収めたスタートアップがいくつかある。

今後のお楽しみ

今週はY Combinator(Yコンビネーター)のDemo Day(デモ・デイ)ウィークなので、アーリーステージの情報をたくさん紹介する予定だ。ここでは、そのプレビューを紹介しよう。The Exchangeは、インシュアテックについて振り返り(WeFoxとInsurifyのデータを使用)、さらにオースティンに拠点を置くソフトウェアスタートアップAlertMedia(アラートメディア)が、従来の資本調達ではなくプライベートエクイティに自社を売却することを決定したことについてカバーする。

また、手数料無料の株式売買アプリの評価、デュアルクラス株式の問題点、ニューヨークにおける最近のIPOの成功例、世界のベンチャーキャピタル市場の不平等性などについても紹介しているので、ご覧頂きたい。

最後に、このBigTechnology(ビッグテクノロジー)の記事は良かったし、このNot Boring(ノットボアリング)のエッセイも良かった。

ではまた。

カテゴリー: VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange

画像クレジット:Nigel Sussman

原文へ

(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)