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プライバシー重視のブラウザ開発Braveが独自の検索エンジンを発表、欧州版Firefoxの元開発者と技術の協力で

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Mozillaの元CEOであるBrendan Eich(ブレンダン・アイク)氏によって共同設立されたプライバシー重視のブラウザ開発企業Braveは、デスクトップとモバイル向けに独自ブランドの検索エンジンをローンチする準備を進めている。

Braveは米国時間3月3日、Cliqzアンチトラッキング検索ブラウザコンボ(現在は廃止されている)の開発チームが開発したオープンソース検索エンジンの買収を発表した。このテクノロジーは来るべきBrave Searchエンジンを支えることになるだろう。同社は「Big Tech(ビッグテック)」によるものではない検索とブラウジング体験を何百万ものユーザーに提供していく予定だ。

「今日の検索エンジンのほとんどは、ビッグテック企業の検索結果に基づいて作られています。対照的に、Tailcatの検索エンジンは完全に独立したインデックスの上に構築されており、プライバシーを犠牲にすることなく、人々が期待する品質を提供することができます」とBraveは買収発表のプレスリリースに記している。

「Tailcatは、検索結果を向上させるためにIPアドレスを収集したり、個人を特定できる情報を使用することはありません」。

Cliqzはプライバシーに重点を置いたMozillaのFirefoxブラウザのヨーロッパ版であり、同社の主要株主であるHubert Burda MediaはGoogleに代わるブラウザを開発しようと複数年にわたる取り組みを続けていたが、パンデミックで厳しい取引環境が続いたことを受け、早期撤退を余儀なくされ、2020年5月に閉鎖された。

以前のCliqz開発チームはその後Tailcatで働いていたが、買収の一環としてBraveに移った。エンジニアリングチームを率いるのはJosep M Pujol(ジョセップ・M・プジョル)博士で、同氏はBraveのPRで「ビッグテックに代わる唯一の本格的なプライベート検索 / ブラウザを開発していることに大きな興奮を感じています」 と語っている。

「Tailcatは完全に独立した検索エンジンで、独自の検索インデックスをゼロから構築します」とアイク氏はTechCrunchに語った。「Tailcat as Brave Searchは、Braveがブラウザで提供しているものと同じプライバシー保証を備えています」。

「Braveは、ビッグテックのプラットフォームに代わる初めてのプライベートブラウザ+検索機能を提供することになります。ユーザーはプライバシーを保証された閲覧と検索をシームレスに行うことができます。またBrave Searchは、その透明性により、アルゴリズムのバイアスに対処するとともに直接的な検閲を防ぎます」。

アイク氏によると、Braveが検索事業に参入したことにはプライバシーが主流になりつつあるという同社の自信を投影しているという。同氏は、過去1年間で同社のブラウザの利用が「前例のないほど」増加しており、月間アクティブユーザーは1100万人から2600万人以上に増加していることを指摘し、それは非営利のe2e暗号化メッセージングアプリSignal(Facebook傘下のWhatsAppがプライバシーポリシーの変更を発表した後、WhatsAppのビジネスアカウントを通じてFacebookとデータを共有できるようになった)の利用が2021年初めに急増したこのと似通った現象だと語った。

同氏は声明で「2021年にはビッグテックの侵入的慣行から逃れるための真のプライバシーソリューションを必要とするユーザーが増え、Braveに対する需要はさらに高まると見込んでいます」と付け加えた。「Braveのミッションはユーザーを第一にすることであり、プライバシー保護検索を当社のプラットフォームに統合することは、監視経済を促進する目的でユーザーのプライバシーが奪われることがないようにする上で必要なステップです」。

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Brave Searchは、ユーザーがブラウザのデフォルト設定として選択できるかたちで、既存のサードパーティー(Google、Bing、Qwant、Ecosiaなど)と並んで提供される。

アイク氏はまた、将来的にはこれがデフォルトになる(ユーザーが自ら選ぶことのない)可能性もあると述べている。

「当社は引き続き、複数の代替エンジンで『オープン検索』をサポートしていきます」と同氏は述べた。「ユーザーの自由な選択は、Braveの絶対的原則ですから、Braveはユーザーのデフォルトの検索エンジンに複数の選択肢を提供し続けます。しかし当社のユーザーはBrave Searchの比類ないプライバシーを選択すると考えています。準備が整い次第、Brave SearchをBraveのデフォルトエンジンにしたいと考えています」。

Tailcatによる検索結果の品質とGoogleとの比較について尋ねたところ、アイク氏は「かなり良好です」と述べ「普及することでさらに向上していくでしょう」と付け加えた。

「Googleの『ロングテール』はどんなエンジンにとっても打ち負かすのは容易ではありませんが、一度Braveブラウザーに統合されれば、その面でも競合する計画が私たちにはあります」と彼はメールインタビューの中で語り、Googleの巨大な規模は検索のライバルにある程度の競合の機会を提供していると論じた。「Googleが後れをとっている面もあります。検索が彼らの収益の主な源であるとき、彼らが検索の革新を進めることは難しいでしょう。

「彼らは新しい技術や透明性を試す対してリスクを回避しがちですし、株主から希少な検索エンジンの検索結果ページ(SERP)領域に彼らの事業を結びつけるよう求められたり、検索エンジン最適化(SEO)を迫られたりしています」。

「検閲、コミュニティからのフィードバック、アルゴリズムの透明性などの問題については、初期段階から改善が可能であると私たちは考えています。他の検索エンジンとは異なり、大きな改善を行う唯一の方法は新たなものを構築することであり、構築から得られるノウハウを活用することであると確信しています」と同氏は続けた。「インデックスを生成する代わりにBingを使うオプションもありますが(他の検索サービスと同様に)、そうすると品質の面ではBing止まりとなります(そうした場合ユーザーは完全にBingに依存することになるでしょう)」。

Braveは晩春ないし夏までにBrave Searchの一般公開を目指しているとアイク氏は語った。早期イテレーションのテストに興味のあるユーザーは、ウェイトリストにここから登録することができる。(テスト版は「今後数週間」のうちに登場する予定である。)

Tailcatという名称は、Cliqzが閉鎖される前にブラウザに実装されていない内部プロジェクトであったため、一般にはあまり知られていないようだ。

アイク氏によると「本格的な検索エンジンの開発に向けて」Burdaで開発が続けられていたという。(2020年4月に同社がCliqzの閉鎖を発表した際、同社はCliqzのブラウザーと検索技術を閉鎖すると述べたが、同時にAIや検索のような分野の技術的な問題に取り組むために専門家チームを招集するとも表明していた)。

「CliqzはSERPベースの検索エンジンを提供していましたが、ブラウザにはまだTailcatを実装していませんでした」とアイク氏はいう。「2020年4月にCliqzが閉鎖された後も、Burdaの開発チームは、本格的な検索エンジンを開発するために、新しいプロジェクト名をTailcatとして検索技術の開発を続けていました。チームはそのミッションを継続するための長期的な拠点を求めていましたので、Braveの一員になることに大きな喜びを感じています」。

買収の金額的条件は明らかにされていないが、我々はBurdaが買収契約の一環としてBraveの株主になっていることを確認した。

「当社の技術がBraveで使用され、その結果、ブラウジングと検索の中核的なウェブ機能において、Googleに代わる真の、プライバシーに配慮した代替手段が生み出されたことを大変喜ばしく思っています」とHubert Burda MediaのCEOであるPaul-Bernhard Kallen(ポール=ベルンハルト・カレン)氏は支持声明で述べている。「Braveの株主として、私たちは今後もこのエキサイティングなプロジェクトに関わっていきます」

Braveが代替ブラウザの開発に注力し始めたのは、主に広告資金によるインターネットビジネスモデルを再考し、暗号化通貨による報酬システムを利用してコンテンツクリエーターへの支払いを行う(およびユーザーの閲覧に対しても支払いを行う)ことを意識してのことであったが、今ではプライバシー重視の「スーパーアプリ」と自らを評している。

現在、Brave Browserはプライバシー保護広告プラットフォーム(Brave Ads)とニュースリーダー(Brave Today)をバンドルしている。今後リリース予定の検索エンジン(Brave Search)、プライバシー保護ビデオ会議サービス(Brave Together)に加えて、Firewall+VPNサービスも準備中だ。

「スーパーアプリ」による統一的なブランド提案は、主流のツールとは対照的に、ユーザーにオンライン体験の真のコントロールを提供するという誓約であるといえるだろう。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)