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鉱山や港で利用されるLiDAR機器メーカーの豪Barajaが日立建機などから33.7億円調達

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世界中のLiDAR企業がSPAC(特別買収目的会社)との合併に向かっているが、Baraja(バラジャ)は上場を急いではない。オーストラリアのLiDARメーカーは「ユニークで独創的」な画像システムの展開と開発を継続するためにシリーズBで3100万ドル(約33億7000万円)を調達した。本ラウンドには、お決まりのVC以外の参加もあった。

BarajaのLiDARは、同社が「SpectrumScan」と呼ぶものを活用している。これは光の方向づけは物理学に委ねられているというものだ。レーザーをプリズムに通すことで、異なる波長の光がさまざまな角度に向かい、そして跳ね返ってくるときは同じ道を通る。実際はそれ以上に複雑だが、もし興味があるなら筆者が2020年のCES時に書いた記事をチェックして欲しい。そこにより詳細に書いている。

LiDARの最もはっきりしている応用、つまり自動運転車両は正確には展開が始まったわけではないが、同社は2020年からじっとしていたわけではない。共同創業者でCEOのFederico Collarte(フェデリコ・コラルテ)氏は2020年に、LiDAR産業について「差異化を図らなければ、それまでです」と筆者に語った。そしてBarajaはテックだけでなくマーケットへのアプローチでもそのとおりに行った。

LiDARは、実際のところ多くの産業において有用であることがわかっている。しかし大半のLiDARユニットは、熱や寒さ、他の環境的要因に影響されるかなり複雑な機械要素を含む。しかしBarajaではそれほどではない。可動部は1カ所だけで(かなりゆっくりで安定していて、光学部のどこかにある)、厳しい条件に長期間耐えることができる。

過去2年における最大の顧客の1つは鉱業部門だったとカラルテ氏は説明した。なぜだかおわかりだろう。鉱山の正確な3D画像を作ることは、人間や通常のカメラにとって驚くほど難しいタスクだが、ほぼ特別な目的のために作られたLiDARにとってはそうではない。もしLiDARが熱、寒さ、採掘作業にともなう力に耐えることができればだ。

画像クレジット:Baraja

「鉱業では、鍵となるのは信頼性と耐久性です」とコラルテ氏は話した。「当社はオーストラリアの砂漠にある鉱山でユニットを2年間展開してきました。返品保証で1台戻ってきました。見てのとおり、当社のユニットは鋼青色ですが、そのペイントが完全にはげ落ちていました。金属が露出していましたが、まだ機能しました」。

センシティブなレーザーとレシーバーは機械のボディの奥深くに隠れていて、光ファイバー経由でヘッド部分にある「鈍い」レンズとプリズム要素につながっているため、デバイスは灼熱の砂の中で何年も生き延びることができた。市販されているLiDARでこうした性能を主張できるものは多くない。

日立建機との提携は、同社が投資を決めるほど成功的なものだった。

戦略的投資は財政的支援を多様化するコラルテ氏の計画の一環だった。「当社は長いタイムラインを持つような機関投資家を引き込もうとしています」と述べた。

ベンチャーキャピタルはまだ投資家に含まれているが、同氏は年金基金と思われる新規投資家のHESTAが、VCに加えて探しているタイプの投資家だと指摘した。とはいえ、以前の投資家のBlackbird VenturesやMain Sequence Venturesも今回のラウンドに戻ってきて、新たなVCとともに参加している。4000万豪ドルは換算すると3100万米ドル(約33億7500万円)になり、2018年の3200万米ドル(約34億7800万円)のシリーズAよりわずかに少ないが、規模が縮小したようには感じない。

コラルテ氏はR&Dプロセスの拡大としてだけではなく事業として展開することの重要性を強調した。

「もしテクノロジーだけに取り組んでいるのなら、それは構いませんが、今日顧客や売り上げを持つことはないでしょう」と同氏は述べた。「当社には売上や現実世界の応用があります。そうした筋肉を鍛えているのです。顧客サポート、設置、保証、故障モードを上手にこなせるようになっています。企業が繰り返し練習し、純粋なR&D以上になる必要があるすべてのエリアです」。

同氏は、オーストラリアの主要な港は自立性に向けた取り組みの一環としてBarajaのユニットを使っていたと話し、鉱業に加えて海運業もLiDARが過酷な状況に置かれる分野だと指摘した。

しかしR&Dはまだ同社の資金使途計画の大半を占める。短期的に大きな変更は、車両メーカーやサプライヤーが作業しやすいと感じるはずの統合された「ワンボックス」システムの提供だ。そして長期的にはシステムの基本的なアーキテクチャも同じく進化する。

「当社は通信分野の出身であり、巨大な光学(レンズ、プリズム、光ケーブル管束を意味する)から光工学と集積回路へと移行しました。我々は常にそれを心に留めていました」とCTOで共同創業者のCibby Pulikkaseril(キビー・プリカセリル)氏は述べた。「車両にある他のチップと違いはないようなので、これらをチップに搭載するというのが私のロードマップです」。

コラルテ氏は、誰にとっても小型化は難しい一方で、往々にして特定のサイズでなければならず、レーザーを正しく向けるために特定の円弧をカバーしなければならないLiDARのスキャニングメカニズムでは特に難しいと指摘した。Barajaはすでに「SpectrumScan」方式特有のソリューションに向けて順調に進んでいると、同氏は自慢げに述べた。

同社は、2022年がティア1サプライヤーや自動運転レベル4に向けて争っている他社にとって大きな年となると力説した。だからこそ多くのLiDAR企業がSPAC経由での上場を選んでいる。しかしそれは少なくとも現在Barajaが選ぶプランではない。

「当社もそれには目を向けています。しかし急いではいません」とコラルテ氏は話した。

前述のVCと日立建機に加え、Regal Funds Management、Perennial Value Management、InterValley Venturesもラウンドに参加している。

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画像クレジット:Baraja

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi