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ライフスタイルの特典クーポンを提供するスタートアップFringe、パンデミックをきっかけにシードラウンドで資金調達

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昨今、多くの雇用主が割引やお買い得品、通勤費、ジムの会員資格、チャイルドケア、無料の昼食などの特典を用意して新しい人材を引きつけている。しかしパンデミックによって、従業員がオフィス内や個人で利用できる特典にも影響が及んでいる。これによりFringe(フリンジ)というスタートアップが急成長し、資金を獲得するまでになった。同社は従業員が本当に求めている特典クーポンを提供できるよう、Netflix(ネットフリックス)、Uber(ウーバー)、Airbnb(エアビーアンドビー)、DoorDash(ドアダッシュ)、Headspace(ヘッドスペース)、Talkspace(トークスペース)をはじめ、その他100以上のアプリが集まるマーケットプレイスを企業に合わせて提供している。

Fringeのこのアイデアが生まれたのは、共同設立者たちが財務顧問として働いている頃だった。自分たちが日常的にコンサルティングをする人が、候補に挙がっている転職先の仕事とそれにともなう福利厚生をどのように天秤にかけているか見ていたのである。

「企業は従来の福利厚生に多額のコストをかけています。1人当たり月800ドル(約8万6000円)、あるいは1000ドル(約10万8000円)です。しかしコストのわりに、ほとんどの従業員にとって、その知覚価値は比較的小さいものです」とFringeのCEOであるJordan Peace(ジョーダン・ピース)氏は説明する。「そこで、実際のコストはかなり低くても、非常に高い知覚価値を提供できるサービスがないか考え始めました」

ピース氏は「人々が日常生活の中でいつも使うものだが、予算の観点から、時には手が届かないと感じるものを、サブスクリプションサービスとして提供する」という考えにたどり着いた。

そこにFringeの出番があった。

雇用主は、従業員1人あたり月5ドル(約540円)の初期費用を払って、Fringeのプラットフォームへのアクセスを申し込み(大規模な組織ではこの価格が安くなる可能性がある)、本来ならライフサイクル特典に支払う金額を従業員のFringeアカウントに入れる。その金額は「ポイント」に変換され、アプリやサービスに使用できる。

VimeoでのFringeの動画で紹介されているFringeプラットフォームの説明

マーケットプレイスでは現在、Netflix、Spotify(スポティファイ)、Disney+(ディズニープラス)、Audible(オーディブル)のようなストリーミングサービスの他、バーチャルフィットネス、バーチャルコーチング、バーチャルウェルネス、トークスペースのようなオンラインセラピー、Grubhub(グラブハブ)、Uber Eats(ウーバーイーツ)、Instacart(インスタカート)、Shipt(シプト)のような食品雑貨宅配サービス、個食の冷凍食品、UrbanSitter(アーバンシッター)のようなチャイルドケアなど、幅広い特典を提供している。

米国では135のサービスパートナーが展開しており、その他の国でも数百のサービスパートナーから選ぶことができる。

このスタートアップのビジネスモデルでは、これらのサービスの10%から60%程度の値引き交渉を行い、ポイントバック(払い戻し)システムを通じて従業員に還元する。当初、従業員が使えたのは、雇用主が提供するライフサイクル特典のお金だけだった。しかし要望があったため、従業員が自分のお金も使えるようにした。これは、ポイントバックを得るために特に従業員が求めていた機能である。

Fringeは、パンデミックよりかなり前の2019年にローンチし、ゆっくりと、しかし着実に成長した。その年の終わりには、クライアント15社、合計数百人の従業員にサービスを提供するまでになった。

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しかしその後、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって多くの従業員がリモートワークに移行し、今後も続くと思われる根本的な変化がビジネス文化に生じた。

「新型コロナウイルス感染症が広がった最初の数カ月の後、混乱が収まってから、当社には国内から以前の10倍~20倍を超える関心が寄せられました」とピース氏はいう。Fringeを使ってリモートワーク中の従業員をサポートできることに、企業が気づいたからだ。

「職場のあり方が変化したこの時期を、私たちは利益を上げる絶好の立ち位置とタイミングで迎えることができました。これは単なる『パンデミックによる恩恵』ではありません。新型コロナウイルス感染症を乗り越えても、従業員の3分の2がリモートワークを続けることになるでしょう。職場が変わったということです」と同氏は付け加えた。

FringeのCEOジョーダン・ピース氏

2020年末までに、Fringeは顧客ベースを70以上の雇用主へと拡大し、1万2000人以上のユーザーがFringeのプラットフォームを利用するまでになった。現在そのパイプラインには、従業員が比較的迅速に行動するのに最適な200人から2000人の従業員を擁する企業が含まれている。この顧客ベースには、カーシェアリングのスタートアップTuro(ツゥーロ)や人材管理システムのCornerstone OnDemand(コーナーストーンオンデマンド)など、テック企業が多く挙げられる。

2021年、Fringeはプラットフォームのユーザーを10万人を大きく上回るほどの拡大が見込まれ、現在20人ほどいるチームメンバーも増員する予定だ。またマーケットプレイスのウェブサイトを更新し、自動のポイント贈呈、慈善寄付、Slackとの新たな統合、ナビゲーションの向上などを計画している。

最近の成長の結果として、Fringeは、Sovereign’s Capital(ソブリンズ・キャピタル)が主導し、Felton Group(フェルトン・グループ)、Manchester Story(マンチェスター・ストーリー)、Center for Innovative Technology(革新技術センター)、そしてJaffray Woodriff(ジャフレイ・ウッドリフ)氏を含むエンジェル投資家らが参加するラウンドで、新たに220万ドル(約2億4000万円)を調達した。また今回の投資の一貫として、同社は、長年のアドバイザーであり、Mission Lane(ミッション・レーン)の企業開発・戦略担当シニアディレクターも務めるWilliam Boland(ウィリアム・ボランド)氏を取締役に迎えた。

新たな資金が加わり、このスタートアップのこれまでの調達総額は400万ドル(約4億3000万円)となった。

Fringeは、同社のマーケットプレイスの利点はユーザーに合わせてカスタマイズできることだと考えている。雇用主は通常、従業員意識調査を実施して、提供する特典を多数決で決める。そのため、現在多くの企業がチャイルドケアの支援やジムの利用割引などの特典を提供している。しかしこのシステムでは少数派のニーズが軽視される。子どものいない従業員や、運動が嫌いな従業員は、福利厚生費を別の方法で利用したいかもしれない。

Fringeは、従業員への特典に加え、多くのサブスクリプションを一堂に集めることで、将来的に別のチャンスが生まれる可能性があると信じている。

ウッドリフ氏は、例えば、誰がどのサブスクリプションになぜ申し込んでいるかというビッグデータを扱うことに、Fringeの可能性があると見ている。

「サブスクリプションサービスのマーケットプレイスを持っていることを考えると、当社のサービスには、従業員へ特典を提供する以外にもより多くの用途があります」とピース氏は説明する。「シリーズAは、はるかに大きいTAM(獲得可能な最大市場規模)を前提に考えたいと思います。そのため、来年から18カ月かけて具体的な計画を立て、さまざまなユースケースを展開するための技術を構築するつもりです」。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)