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Spotifyが車載用エンターテインメントシステム「Car Thing」を米国内でリリース

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Spotify(スポティファイ)は米国時間4月13日朝、Spotify Premium加入者を対象とした初となるハードウェアデバイス「Car Thing」の米国内限定リリースを正式に発表した。なんと無料(送料のみ請求)で提供されるこの奇妙な名前のデバイスは、2019年に初めてテストが開始されて以来大幅に進化しているようだ。アップグレードされた今回のモデルには、タッチスクリーン、ナビゲーション用の大きくてつかみやすいダイヤル、音声コントロール機能の他、モバイルデバイスのSpotifyと同様に、お気に入りの音楽やポッドキャスト、プレイリストのための4つのプリセットボタンが上部に搭載されている。

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同社によると、車内でも「よりシームレス」でパーソナライズされたリスニング体験を味わいたいというユーザーのニーズに応えることがCar Thingの目的だという。現在多くの自動車がApple CarPlayやAndroid Autoに対応しているが、実際には米国における自動車の平均使用年数は11年、自動車の平均寿命は18年であると同社は指摘している。つまり、最新の車載インフォテイメントシステムに対応していないクルマがまだ大量に走っているということだ。

Car Thingはこういった市場に対応するために誕生したわけである。また、Spotifyが車内のユーザーとより直接的な関係を築くことで将来的なビジネスモデルを検討する機会にもなると思われるが、同社は現時点では長期的な目標について言及していない。

画像クレジット:Spotify

新Car Thingは軽量(96g)で薄型(11.7×6.4×1.8cm)の音楽&ポッドキャストプレイヤーで、音声コントロール、ダイヤル、ボタン、タッチスクリーンディスプレイを組み合わせてメニューを操作し、聴きたいメディアを選択することができる。デバイスの設定は、普段カーステレオと携帯電話を接続して音楽を再生するのと同じ方法で、Bluetooth、AUXまたはUSBケーブルのいずれかを使用することが可能だ。

また、カーチャージャーとUSB-Cケーブルに加えて3種類のダッシュボードマウントとベントマウントが付属しているため、さまざまな方法でCar Thingをダッシュボードに取り付けることができる。

画像クレジット:Spotify

Car Thingの起動時にはクイックツアーが始まり、スタート方法を説明してくれる。ユーザーインターフェースはSpotifyのモバイルアプリと似ているため、初めてでもすぐに慣れることができるだろう。タップ、スワイプ、音声を使って画面を操作でき、またダイヤルを使えばすばやく曲を選ぶことができるため、車の内蔵ステレオのダイヤルに慣れている人にとってはより快適に感じるかもしれない。

本体上部には4つのプリセットボタンがあり、お気に入りのコンテンツを保存して簡単にアクセスすることが可能だ。デフォルトでは自分の「お気に入りの曲」、Spotifyの「Daily Drive(毎日のドライブ)」「Morning Commute(通勤時の1曲)」のプレイリストが設定されており、最後のプリセットは空になっている。そのままにしておくユーザーも多いかもしれないが、これはいつでも変更することができるという。

画像クレジット:Spotify

このデバイスのリリースに先立ち、Spotifyは「Hey Spotify」という音声コマンドのサポートを密かに開始しているが、Car Thingにもこれが活用されている。曲、アルバム、アーティスト、プレイリスト、放送局、ポッドキャストなどのリクエストをSpotifyに声で直接伝えると、Car Thingが上部にある4つのマイクでそれを「聞く」。(4つあるのは、音楽を爆音で流していたり窓を開けていたりして車内が騒がしくてもCar Thingが反応できるようにするためだという)。

関連記事:すでに利用可能なモバイルの「Hey Spotify」音声コマンド機能公開についてSpotifyは沈黙

モバイルデバイスでは「Hey Spotify」の使用は任意で、アプリの設定からオフにすることが可能だが、当然Car Thingではよりスマートで、より安全性を重視した音声コントロールの使用が必要とされている。画面やダイヤルを触る代わりに声で指令を伝えることができ、おそらく子どもたちが後部座席から選択肢を叫んでも大丈夫だろう。

画像クレジット:Spotify

Spotifyは音声データの使用に関するポリシーとして、ユーザーが話した内容の録音とトランスクリプト、およびユーザーに返されたコンテンツに関する情報を収集し、機能を改善するためにデータを使用することがあると説明している。同社は音声データ以外の情報は、モバイルアプリですでに収集している以上のものが新たに収集されることはないと説明しているが、Car ThingによってSpotifyは通勤時や長時間のドライブ中に人々が何を聴いているかをより直接的に知ることができ、それが将来の製品やプログラムプレイリスト、その他の機能に反映される可能性は大いにあるだろう。

「通常の1年間において、アメリカ人は合計で700億時間以上を車の中で過ごしており、現在アメリカの道路には2億5000万台の車が走っています」。Spotifyのグローバルカルチャー&トレンド部門の責任者であるShanon Cook(シャノン・クック)氏は説明する。「非常に多くの時間を路上で過ごしていることになりますね。だからこそ、車内での時間を乗り切るために何をするか、何を聴くのかというのは非常な重要な情報です」。

この限定リリース期間中、Car Thingは無料で提供され、選ばれたユーザーは送料のみを支払うことになる。これはCar Thingがまだ実験段階であるという理由からだという。

「これはSpotifyにとって初めてのハードウェアであり、当然成功させたいと考えています。最初に多くのことを知っておきたいため、この始め方が自然だと感じています」とSpotifyのハードウェア製品責任者であるAndreas Cedborg(アンドレアス・セドボーグ)氏は伝えている。

画像クレジット:Spotify

Spotifyによると、同デバイスの現在の小売価格は80ドル(約8700円)となっているが、いつ販売を開始できるか、または実際に発売されるかもわかっていないという。ただしソフトウェアのアップデートを行うことは可能なため、Spotifyがいつか別の方向に進むことになっても、少なくともデバイスがすぐに使えなくなることはない。

今回ハードウェア製造に挑戦したSpotifyだが、ハードウェア企業になることを目指しているわけではないと同社は強調している。どちらかというと、Spotifyは車内に特化した体験を提供することで、次のSiriusXMになることを考えているようにも受け取れる(ダッシュボードに物理的にCar Thingを取り付けなければならないため、SiriusXMよりは付加的ではあるが)。長期的に見ると、自動車が年々スマートになり、インフォテインメントシステムが標準化されていく中で、Car Thingの製品ラインを開発することに大きな意味があるかは分からない。

Car Thingはスマートフォンを持つ米国のSpotify Premium加入者を対象に、carthing.spotify.comを通じて招待制で提供される予定だ。同社は出荷台数については明らかにしていないため、興味のある読者は早めにウェイティングリストに登録することをおすすめする。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)