SoftBankが米国のヒスパニック系移民向けサービスに大型投資

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ロサンゼルスを拠点とするスタートアップWelcome Techは移民コミュニティを対象とした大規模なデジタル・プラットフォームを構築中だ。このほどTTV Capital、Owl Ventures、SoftBank Groupが立ち上げた1億ドル(約107億9000万円)のSB OpportunityFundが共同でリードしたシリーズBのラウンドで3500万ドル(約37億8000万円)の資金を調調達した。

Crosscut Ventures、Mubadala Capital、Next Play Capital、Owl Capitalもラウンドに参加しており、2010年のWekcome Techの創立以来の調達総額は総額は5000万ドル(約53億9000万円)に達した。同社はテキサス州サンアントニオにもオフィスがあるが、2020年3月に800万ドル(約8億6000万円)のシリーズAラウンドを実施している。

移民によって、移民のために作られたWelcome Techは、その名が示すとおり、米国への移民を歓迎し社会に慣れることを助け、大きな成功を収めるために役立つプラットフォームとなることを目的としている。

こうしたサービスでは金融商品をリリースして移民の便宜を図り、その結果移民コミュニティの信頼を得ようとすることが多い。しかしWelcomeのアプローチは逆で、地域社会のニーズを理解するために全力を上げ、まずコミュニティの信頼を得ようと努力するという点で異なっている。

具体的には、Welcomeは設立後1年間「新しい国で成功するために必要な情報、サービス、教育リソース」を提供するプラットフォームの構築に注力してきた。当初の対象は米国におけるヒスパニック系コミュニティだった。

このプラットフォームはSABER es PODER(スペイン語で「知は力なり」)と名づけられた。目的はヒスパニック系コミュニティのメンバーに「広く認知されて信頼される」リソースとなることだった。

Welcome Techは、その後蓄積した知識、データを元に、半年前にバイリンガルで利用できるモバイルアプリとデビットカードを含む銀行サービスを開始した。さらに2021年1月には病院や歯科医院などのリソースを割引価格で利用できる月額制のサービスを開始している。

TTVキャピタルの共同ファウンダーでパートナーのGardiner Garrard(ガーディナー・ガラード)氏はヒスパニック市場は、人口6280万人という米国最大のマイノリティコミュニティだと指摘し、次のように述べた。

しかしヒスパニック系世帯の半数は銀行サービスをフルに利用できていません。口座を開設することができないためクレジカードやデビットカードなどのサービスを利用できない世帯が多数あるのです。これほど大きなコミュニティにサービスを提供していないのは記録的な失敗です。Welcome Techはこの問題に正面から取り組んでいます。

Welcomeの共同ファウンダーでCEOのAmir Hemmat(アミール・ヘマット)によれば、同社のプラットフォームには現在300万人弱のアクティブユーザーを持っているという最終的な目標は「デジタル・エリス島 」だという。ニューヨークの自由の女神の近くの小島、エリス島には移民局が置かれていたことがあり、米国社会において移民歓迎の象徴となっている。

ヘマット氏はTechCrunchの取材に対し「移民の成功を運任せにするやり方はバカげています。企業が魅力的な人材を確保しようとあらゆる努力を払っていることを考えてみましょう。国の場合はほとんど逆のことをしています」と語った。

画像クレジット:Welcome Tech

特に、ヘマット氏と共同ファンダーのRaul Lomeli-Azoubel(ラウル・ロメリ・アズベル)氏は移民の成功には金融サービスへのアクセスが不可欠だと以前から認識していた。

「我々は最終的な目的は移民のためのより良い未来とより幅広いプラットフォームの構築ですが、そのための基盤、第1歩は間違いなく金融サービスの提供です」とヘマット氏は述べた。

Welcomeはヒスパニック系コミュニティのために英語・スペイン語バイリンガルの無料の銀行口座を提供する。この口座は「コミュニティのニーズに合わせて高度にカスタマイズ」されているという。

最近、TomoCreditGreenwoodなど、ヒスパニック系コミュニティを対象とした新しいデジタル・バンキングが数多く登場している。Welcomeは、さらに広範囲なプラットフォームを提供することでライバルとの差別化をを図っている。月額10ドルのサービスをサブスクリプションすれば、医療の割引やテレビの無料のテレビチャンネルのなどのサービスを受けることができる。へマット氏はこう述べた。

この点を検討した結果、移民に対してはデータをコンピュータで処理した「お勧め」が十分提供されていないことがわかりました。多くの移民は試行錯誤や口コミに頼っており、こうした情報源は場合によっては詐欺的であったりするのです。移民が置かれているこうした厳しい状況を改善するには、これまでばらばらだった人々をプラットフォームに集約することが必要です。これがさまざまなカテゴリーの消費者により良いサービスや製品、有利な価格、優れた体験などを提供するための大きな一歩となると考えています。

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今回の大型ラウンドで得た資金は、こうした目的を実現するためにより多くのパートナーの確保すると同時にWelcomeの認知度を高めるために用いられるという。

SoftBankのOpportunity Fundで投資ディレクター、グロースステージ投資責任者を務めるGosia Karas(ゴシャ・カラス)氏は、TechCrunchの取材に対し「米国では、移民人口が急増しているにもかかわらず、十分にサービスは提供されていません。このギャップにより、新たな参入者が金融サービスを提供する絶好のチャンスが生まれています」と述べた。

SoftBankはターゲットとなる市場を真に理解し着実にデータを収集するWelcomeのアプローチにに特に魅力を感じたといいう。カラス氏はこう述べた。

フィンテックサービスの分野に飛び込む前にWelcomeのファウンダーたちは十分に準備を重ね、経験を積んでいました。何年もかけて、移民というオーディエンスに対する理解を深め、コミュニティにおける信頼関係を構築してきました。これによりターゲットを絞りこみ、そのニーズに適合したコンテンツの構築ができました。これはがバイリンガルの銀行アプリ、デビットカードなどのサービスを展開するための優れたバックボーンとなっているのです。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Welcome Tech移民SoftBank Group資金調達アメリカ

画像クレジット:Nattanitphoto / Shutterstock

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:滑川海彦@Facebook