NFTを利用してクリエイターが自分の知的財産を守るブロックチェーンのプラットフォーム「S!NG」

次の記事

ついにアップルが導入開始した「アプリのトラッキングの透明性」について知っておくべきこと

数年続いた暗号資産(仮想通貨)の冬の後に、NFTの春がきたが、爆発的な売れ行きの後に価格が落ち着くにつれて、、ブロックチェーンの創設者たちは、NFTへの投機的な関心が変化しても、時間をかけて成長できるような、より安定した機会を探している。

特に関心を集めているのが、NFTを利用してクリエイターをめぐる経済を変革し、作品をホストするプラットフォーム以上にアーティストの方が利益を得るようにすることだ。このような新しい取り組みの1つが最近立ち上げられたS!NG(「sing」と発音する)だ。S!NGは、ユーザーが自分のサーバーにファイルをアップロードし、Ethereum(イーサリアム)のブロックチェーンの上でそれらのアップロードにタイムスタンプするというプラットフォームだ。非常にシンプルな仕組みで、野心的な枠組みを備えているため、アーティストは作品を制作する際に作品に対するクレジットを維持できるようにする。

このアプリを作ったチームは、アーティストが彼らの創作過程で自分の知財を自動保存できるプラットフォームを構想している。たとえば制作途上のメモや注記、簡単なデモなども保存できるため、それらの明確にタイムスタンプされたパンくず(ブレッドクラム)の足跡を見れば、権利をめぐる論争は起きないし、起きても簡単に片づく。アプリの名前からもわかるように、特にソングライターやミュージシャンをターゲットにしているが、同社の案内を見ると、写真家やライター、プログラマーなどさまざまなタイプのクリエイターを対象にしていることがわかる。

「非常に広範な目撃者と非常にプライベートなイベントの両方を対象にできる。コンテンツがそこらに漏れ広がることはないが、それが特定の時点に存在するという証明はとても広範なものになりうる」と同社CEOのGeoff Osler(ジェフ・オスラー)氏はいう。

iOSアプリそのものも、かなり単純明快だ。写真や動画、オーディオ、テキストファイルといったメディアをアップロードし、協力者などに関する注記も付けてそれらを提出し、ブロックチェーン上に登録する。ブロックチェーンがホストするハッシュによりファイルはプライベートであり、暗号化されたファイルはAWS上のS!NGのサーバーに保存されるため、初期の草稿であってもそれらが一般公開される恐れはない。アーリーアダプターはブロックチェーンのスタートアップがサーバーごと夜逃げしてしまったらどうなるのか、と心配するかもしれないが、それはNFTのメディアファイルを中央的なサーバーにバックアップしている多くのスタートアップの、すべてに対していえることだ。

画像クレジット:S!NG

クリエイティブの世界に人生の時間の大半を投じてきた人びとは、ぽっと出のアーティストのように作品がタダで見られたり聴かれたりすることではなく、著作権といった権利の問題を重視するだろう。作品が完成して一般公開されたら、公開されているリンクを辿ってオリジナルに行き着くことはできるが、S!NGが狙っているのは、公開が創作のもっと初期の段階で行われ、コラボレーション的な創作過程をサポートできることだ。以前は、アイデアの権利をめぐって法的な争いが起こりがちだった。

ミュージシャンでアドバイザーのRaine Maida(レイン・メイダ)氏が、次のように説明する。「何かを盗まれても、私を守ってくれるチームがあれば、どんな紛争でも解決し勝訴できるでしょう。でも16歳の子どもにはそれは無理なことであり、S!NGはそれに代わるものを提供します。争いに勝つということよりも、そもそも盗まれないようにするという点が大きい。コンテンツにはS!NGの透かしが入っているため、どこに保存し共有してもわかります。その子どもはブロックチェーンが何かを理解できなくても、S!NGが自分を守ってくれる会社であることはわかるでしょう」。

現状では、NFT(非代替性トークン)に基づく法的保護はまだ珍しいかもしれないが、S!NGのチームは、今後DocuSignなどの技術が受け入れられるのにともなって、ブロックチェーン由来の所有権証明は自然に判例の中に含まれてくるだろうと信じている。

同社がクリエイターたちの説得に成功して、S!NGのプラットフォームが彼らのツールに含まれるようになれば、今後、同社はさまざまな機会を通じて、ブロックチェーン上で信じられないほど多くの若いクリエイターたちをユーザーにできるだろう。現在のところ、NFTを金のための投機の一種と見ているアーティストが多いため、当面の間、同社の創業者たちは誇大な宣伝を避けることに注力していくようだ。

「率直にいって、何かが何兆億ドル(何百兆円)で売れたとか騒いでいるクレイジーな今のNFTブームにはまったく関心がありません。私に関心があるのは、ファンが1000人いる小さなアーティストたちが、自分のビジネスを維持するために15ドル(約1620円)の会費を払ってくれることだけです」とオスラー氏はいう。

関連記事:イーサリアムの「最古のNFTプロジェクト」CryptoPunksをめぐる驚くべき熱狂

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:NFTS!NGクリエイターイーサリアム

画像クレジット:WIN-Initiative

原文へ

(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)