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ストリーミングメディアソフトメーカーPlexが広告付きストリーミングと事業拡大のため54.6億円の資金調達を実施

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ストリーミングメディアソフトウェアメーカーのPlexはレンタル、購入、サブスクリプションコンテンツへの事業拡大に向けて、既存の投資元であるIntercapから5000万ドル(約54億600万円)の増資を行ったことを米国時間4月14日に発表した。今回の資金調達は、Plexにとって2014年以来初めてのものであり、Plexの初期のシード投資家や過去の買収時の株主からの株式およびオプションの購入、および初期の従業員の流動性確保のために一部が使用される。調達した5000万ドル(約54億600万円)のうち、1500万ドル(約16億2200万円)は新たな成長資金として活用される。

今回の資金調達(厳密にはPlexのシリーズC)による評価額は公表されていないが、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)やNexstar(ネクスタ―)など、継続している既存の投資家にとっては、比較的希薄化は低く済んだということだ。一方、初期の投資家の中には、株式の10倍以上のリターンを得ることができた人もいた。

今回のラウンドの一環として、Intercapの会長兼CEOであるJason Chapnik(ジェイソン・チャプニック)氏が会長として取締役会に参加し、Intercapの社長であるJames Merkur(ジェームズ・メルクア)氏も取締役会に参加した。今回の資金調達を含め、Plexはこれまでに6000万ドル(64億8900万円)以上の資金を調達している。

これまでPlexが資金調達に慎重だったのは、PlexのCEOであるKeith Valory(キース・ヴァロリー)氏がいうように「本当にその必要がなかったから」だ。つまり、同社は単独で利益を上げてきた

しかし、近年のPlexの状況は変化している。Plexは、映画やテレビ、音楽、写真などをユーザーのホームネットワーク上で整理するソフトウェアを提供することで、ホームメディアの愛好家を対象としてきたが、2017年に低価格のDIYストリーミングTVサービスを開始したことで、より大きな市場であるインターネットメディアに移行する人々を本格的に狙うようになった。その後Plexは、広告付きの無料ストリーミングサービスを展開し、2020年はViacomCBS(バイアコムCBS)傘下のPluto TV(プルートTV)のようなライバル企業に対抗して、広告付きのライブTV配信サービスを開始した。

現在、Plexは193カ国で2万本以上の無料オンデマンド映画や番組、150以上の無料ライブTVチャンネルを提供しており、パーソナルメディアライブラリやストリーミング音楽、ポッドキャストなどのコンテンツにもアクセスできる。

Plexは、提供するサービスの種類を増やすと同時に、Plexを初めて利用する人にとっての参入障壁を低くした。ユーザーはアカウント登録をせずに広告付き動画やライブ・リニア・ストリーミング・サービスにアクセスでき、これはPlexのビジネスモデルに影響を与えている。

画像クレジット:Plex

「これは例えば、RokuやFire TV、Vizioなどのデバイスの検索機能に組み込まれるようなデジタルマーケティングを対象としています。またサーチエンジンマーケティングやFacebookなど、デバイス上のデジタルマーケティングプログラムを利用して、ユーザーに視聴を開始してもらうこともあります」とヴァロリー氏はいう。「このタイプのデジタルマーケティングと事業のための顧客獲得コストが、実に効率的であることが分かりました。その結果、マーケティングへの投資から本当にすぐに利益を得ることができました」と付け加えた。

このモデルを基に、Plexは事業の拡大と新たな分野への進出のための資金調達を検討した。

新たな分野にはサブスクリプションコンテンツの管理やレンタル・購入の提供なども含まれており、Plexは2020年のロードマップの中で、2020年に登場する可能性があるとも話していた。しかし、その後新型コロナが発生した。ストリーミング自体は成長し、特に4月から6月、7月にかけては広告付きの動画が増えたものの、Plexの一部の社員は新型コロナ流行の影響を他の人よりも強く受けた。また、Plexはインフラの準備にもっと時間が必要だった。

Plexは現在、これらの取り組みを2021年中に開始するための準備を進めており、おそらく最初は動画レンタルかサブスクリプション・アグリゲーターのどちらかを提供することになるだろう(Plexによると、両方が同時に構築されているため、どちらが先にスタートするかは不明とのことだ)。

Plexは、AmazonやAppleがPrime VideoチャンネルやApple TVチャンネルで行っているようなサブスクリプションの販売だけを考えているわけではない。Plexは、ユーザーがお気に入りのストリーミングアプリ(他のサービスでは利用できない有名ブランドも含む)にアクセスできるようなディープリンク技術も検討している。これにより、PlexはReelgoodのようなサービスの競合相手となる可能性があるだろう。Reelgoodでは、ユーザーが視聴しているコンテンツを追跡し、個々のアプリ内だけでなく、すべてのストリーミングアプリでお勧めのコンテンツを得ることができる。

一方、Plexの動画レンタル(および購入)市場は、他のサービスと同じように、ユーザーがストリーミングできなかったコンテンツをお金を払って視聴する機会を提供するものだ。

双方のアイデアは「すべてのメディアニーズに応えるワンストップショップになる」というPlexの大きな目標に合致している。

「私たちは常に、かなり大胆なミッションを掲げています。自分の好きなコンテンツを手に入れるために、20種類のアプリを使用する必要はありません。1つの場所に行けば、すべてのことができるようにするべきなのです」とヴァロリー氏は語る。

画像クレジット:Plex

Plexは、この分野と広告サポート事業の両方で成長を促進するために、今回の資金を利用して現在100人いるチームを拡大し、マーケティング部門やマネタイズ部門、開発面での投資を行う予定だ。

「確かに、パフォーマンス、成長のためのマーケティング、そしてエンゲージメントの強化という点では、まだまだやるべきことがあります。この事業は非常に急速に成長しており、これまでのところ、広告型動画配信サービスで新規ユーザーを獲得するための力をつけるという点ではかなり上手くいっています。課題は山積していますが、今までにつけた力は、製品全体のTOFU(トップオブファネル)やエンゲージメントの向上につながると考えています」とヴァロリー氏はいう。

Plexのラウンドを主導したIntercapは、長期的な視野に立っており、特にストリーミングの世界で現在起こっている断片化は、最終的にPlex自身の成長に役立つと述べている。

チャプニック氏は「コンテンツプロバイダー、クリエイター、そして消費者は、多くのストリーミングメディアサービスが爆発的に増えたことによるツケを払っていて、業界は、その体験を可能な限り楽しくするための信頼できる方法を必要としています。Plexは、常に新しいメディアの課題を解決する最前線にいて、この問題を解決するための準備が整っていると信じています。彼らは将来のTV会社になるでしょう」と語った。

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画像クレジット:Plex

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)