社員が自分の製品アイデアを実用化することもできるソフトウェア企業Atlassianの社内インキュベーター

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どんな企業も、初期段階スタートアップの頃に持っていた当初の輝きを守っていきたいと思っているが、上場企業へと成長して行く中でその輝きを維持することは必ずしも容易ではない。Atlassian(アトラシアン)は、製品のアイデアを社内コンペで共有し、特に優れたものには、市場に出すことを目指して実際に資金を提供して開発を行うという、ユニークなアプローチをとっている。

Atlassianでこのプロジェクトを指揮しているSteve Goldsmith(スティーブ・ゴールドスミス)氏によれば、これはPoint A(ポイントA)という名の社内スタートアップインキュベーターだという。会社としては、社員たちに、製品を改善するための新しい方法を常に考えるよう奨励したいと考えているのだ。しかも、多くの人が想像するような、エンジニアやプロダクトマネージャーだけが参加するのではなく、全社員が参加を奨励されている。

ゴールドスミス氏はいう「Point Aは、アイデアを商品化するための社内の仕組みです。これは、社内で起こっているイノベーションを見つけ出し、そのアイデアが成熟して実際にお客様に提供できる製品になるまでの、プロセスとフレームワークを提供するためのものなのです」。

彼によれば、多くの企業と同様に、Atlassianも社内ハッカソンなどのイベントを開催し、社員が独創的な製品コンセプトを提案することも多かったそうだ。しかしそうしたものはイベントが終わった後は棚に置かれて見向きもされないことが多いそうだ。Point Aでは、自分たちの試作を動かして競うことができ、また実際に使えるものかどうかを見極めることができる。

「つまり私たちはPoint Aのことを、みんなが頭の中や机の脇などに持っている、さまざまなアイデアやプロトタイプ、コンセプトを見つけ出して、それらのアイデアを表に出すためのプロセスと仕組みを提供し、一定の魅力を持つものには実際に投資を行う方法だと考えています」とゴールドスミス氏はいう。

また、ゴールドスミス氏は、社内に提案を吟味し資金を提供できる公式なプロセスを用意することで、組織内の人たちは、自分たちの提案に耳を傾けてもらえること、提案を提出するための仕組みがあること、会社はその提案をすくい上げる手段を用意していることを知ることができるという。

同社は2019年にPoint Aを開始し、35の可能性のあるプロジェクトを検討し、製品としての可能性を検証している。1月には、彼らは9つの製品を選んで仕上げ、そのうちの4つは実際の製品となって今週発売された。その中には米国時間4月28日にリリースされたJira Work Management(ジラ・ワーク・マネジメント)ツールも含まれている。

次のプログラムも、ピッチデーコンペティションでアイデアを発表し、盛り上げるようとしている従業員たちのおかげで開催準備が整っている。ゴールドスミス氏は「私たちの最初のクラスはこのプログラムを卒業しました、【略】再びプロセスを始めようとしています。2回目に参加するすべてのアイデアをリストアップして、ピッチデーを行うことになっています。きっと「Shark Tank」(「マネーの虎」のヒントになった番組)や「The Voice」(米国の歌唱コンクール番組)にインスパイアされたような楽しい大会になるでしょう」と語る。

当社の共同創業者であり、共同CEOでもあるMike Cannon-Brookes(マイク・キャノン-ブルック)氏とScott Farquhar (スコット・ファーカー)氏が審査員として参加する。これは経営陣の賛同を得ることで、プログラムに大きな影響力を与えるとともに、社員のアイデアが真剣に受け止められていることを示すメッセージにもなっている。

会社は、資金や通常の業務から離れる時間、エグゼクティブコーチを提供する。そして顧客とのコラボレーションと早い段階からの創業者の関与を組み合わせて、チームが最も革新的なアイデアをコンセプトから顧客へ届けるのに役立つ、定義されたフェーズを持ったスケーラブルで反復可能なプロセスを見つけることを目標としている。

ご想像どおり、成功する者もいれば、失敗する者もいる。しかしこれまでのところ、この計画はうまくいっているようにみえていて、すべての企業が目指すべき、社内からのイノベーションを促すことに成功しているようだ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Atlassianハッカソン

画像クレジット:Atlassian

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)