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アジア系米国人コミュニティを対象のデジタルバンク立ち上げのためCheeseが3.9億円調達

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フィンテック業界では、この1年で多くのことが起こっている。米国の特定のコミュニティを対象としたデジタルバンクの動向もその1つだ。

過去数カ月間だけでも、黒人やラテン米国系をターゲットとするネオバンクが多数出現した。ごく最近、当サイトでは、そのような銀行の1つであるFirst Boulevardの500万ドル(約5億4000万円)の調達を取り上げた。

2021年3月、Cheeseは主にアジア系米国人コミュニティへのサービス提供を目的としたデジタルバンキングプラットフォームの立ち上げを発表した。共同創設者兼CEOのKen Lian(ケン・リアン)氏は、2008年に大学進学のため、中国から米国へやって来た。FICOスコアが800点を超えているにもかかわらず、引っ越しから数年間は、何千ドル(何十万円)もの銀行手数料を払い「何度も」ベーシックな銀行口座の開設を拒否されてきた、とリアン氏は述べた。

そうした経験からリアン氏は、多言語プラットフォームを介してバンキングサービスを提供するという、Cheeseの背景にあるコンセプトを考え出した。この創設1年目のスタートアップにはソーシャルコンポーネントもあり、アジア系米国人のビジネスや組織を支援する手段を顧客に提供している。リアン氏は起業家の世界ではある程度名の知られた存在である。2019年にフォーチュン500企業が買収した、オンラインストアの返金義務を顧客が調べるための支援を行うスタートアップMoolah Scienceも創設している。

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リアン氏は、アジア系米国人が国内で最も教育を受けている人々であるにもかかわらず、差別や「不公平な競争条件」にさらされることが多いという前提の下で、Zhen Wang(ジン・ワン)氏やQingyi Li(シンギー・リー)氏とともにCheeseを設立した。

「私たちは、自分たちが当事者なので、アジア人ユーザーのことを誰よりもよく理解しています」と、リアン氏はTechCrunchに語った。「(従来の)銀行は、私のことや文化、ライフスタイルや大切にしていることを理解していませんでした。私たちのニーズは異なります」。

「多くのチャレンジャーバンクもアジア系コミュニティや移民に焦点を合わせたことはありませんでした」とリアン氏は付け加えた。「こうした人々を米国に喜んで迎え入れ、銀行取引がしやすくなるよう、優れた商品を提供したいと考えています」。

過去1年間でCheeseは、iFly.vc、Amplify、Wealthfrontの元CEOのAdam Nash(アダム・ナッシュ)氏、Zillowの共同創設者のSpencer Rascoff(スペンサー・ラスコフ)氏、そして、ベンチャーキャピタル企業のWedbush Ventures、Idealab、Operate Venture Studioなどの投資家から360万ドル(約3億9000万円)の資金を調達した。このスタートアップは、アジア系米国人の権利の代弁者として、俳優のJimmy Wong(ジミー・ウォン)氏とも提携した。ウォン氏はCheeseのチーフ・コミュニティ・アンバサダーを務める。

Cheeseのプラットフォームは、クレジットヒストリーのない人が利用できるMastercardデビットカード(Coastal Community Bank発行)を提供する(これには聞き覚えがあるかもしない。クレジットヒストリーがほとんど、もしくはまったくない人向けのデビットカード商品を拡大するために700万ドル[約7億6000万円]を調達したスタートアップのTomoCreditと同様の提供内容だ)。

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同社によると、Cheeseのカード保有者は、モバイルウォレットを通じてすぐにバーチャルカードを使用することができる。その他の機能としては、振込による最大2日の前払い、お友だち紹介で3%の入金ボーナス、年利(APY)0.3% 、1万店以上の加盟店での購入で最大10%のキャッシュバックがある。

画像クレジット:Cheese

iFlyの共同創設者のHan Shen(ハン・シェン)氏は、Cheeseが米国の銀行口座を持たない人たちのコミュニティを支援することができると考えている。

「そうした人たちは、必ずしも従来の銀行によるサービスや商品と同等のものを手に入れる必要はありません。彼らはあらゆる種類の問題に直面しています」とシェン氏は述べた。「Cheeseには、そうした顧客のために開発したいと考えている商品リストがあります……。当社の調査によると、そこにはプロダクトマーケットフィットが存在し、Cheeseは強力なチームだといえます」。

この投資は、iFlyがリードインベスターの役割を果たした、最初の消費者向けフィンテック分野となる。

「当社では、すでにこのミッションに投資することを決めていました。Cheeseは移民を含めた銀行口座を持たない人たちにとって、物事が容易になり、より良い状況が作り出されることを願っていました」とシェン氏は続けた。「皆、より良いサービスを受ける資格があります。Cheeseの場合、問題はサービスを提供するかどうかではなく、アジア系の人々が抱える問題に、どう適切に対処していくかということです」

この立ち上げと同時に、CheeseはCheese Giveback Fundに10万ドル(約1000万円)の支援を約束した。そのすべては新型コロナウイルスの世界的流行に際して、暴力や経済的苦境にさらされたアジア系の近隣住民や企業を支援する非営利団体やコミュニティサービスに寄付される。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Cheese資金調達デジタルバンクマイノリティアメリカ

画像クレジット: Cheese

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Dragonfly)