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経営者を迅速にスキルアップさせるスコット・ギャロウェイ教授のオンラインスクール「Section4」が約32億円調達

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ニューヨーク大学教授、作家、そしてハイテク起業家であるScott Galloway(スコット・ギャロウェイ)氏。2021年3月、同氏の最も新しい会社Section4(セクション4)のシリーズAで3000万ドル(約32億円)を調達した。Section4はビジネスの「スキルアップ」のためのプラットフォームで、現在までに計3700万ドル(約40億円)を調達している。

競争力や雇用力を維持するための支援を必要としている労働者は無数にいるが、すべての人が高額な大学院プログラムを利用できたり、あるいは興味を持ったりするわけではないという考えの下、同社は設立された。高額な大学院のプログラムに比べ、Section4の「Sprint」と呼ばれる2〜3週間のコースなら、一流大学の著名な教授の講座がより手頃な価格で受講でき、より豊かな体験を得ることができるというのが同社の考えである。

その説が正しいのかどうかはまだわからないが、初期段階における兆しは良好で、すでに数十カ国から1万人の卒業生を出しているという。同社の新ラウンドは、General Catalyst(ゼネラル・カタリスト)が主導し、Learn Capital(ラーンキャピタル)とGSV Ventures(GSVベンチャーズ)も出資している。

私たちは割きに、Section4が具体的にどのような人に向けたサービスを提供しているのか、どの程度の割合の受講生が米国外に住んでいるのか、そして教授らがベンチャー企業に参加することで収入が奪われる可能性のあることについて大学側はどう思っているのかについて、ギャロウェイ氏に話を聞いた。以下に、その内容の抜粋を紹介する。

TC(TechCrunch):この会社を始められた理由は何ですか?

SG(ギャロウェイ氏):大学院教育は私の人生を大きく変えましたし、私は教えることが好きです。新型コロナのパンデミックやそれによる行動の変化を受けて、オンライン教育のコンセプトを立ち上げる機会があると考えました。ハイレベルなMBAの選択科目の50~70%にあたる価値を、従来のコストの10%で提供し、またハードルも1%に抑えることができたらとの思いから始めました。

TC:短期のエグゼクティブMBAプログラムと競合するということですか?

SG:パートタイムのMBAでも市場で非常に価値のある資格を取得できることを考えると、エグゼクティブMBAと競合するとは言えないでしょう。Section4では資格を提供していません。(代わりに)エグゼクティブ教育とは多少競合する点があるでしょう。エグゼクティブ教育とは言わば、ファイザーから50人の社員を2日間連れてきて、多額の費用をかけてパロアルトのキャンパスで一緒に昼食を食べてもらい、何人かの教授を充てて勉強させるというものです。私たちはその点では競争力があると言えるでしょう。コストも高額な上、そもそも40人、50人ものエグゼクティブを集めるだけで、非常に高くつくからです。

また、率直に言って、Verizon(ベライゾン)のような企業はWharton(ウォートン)のエグゼクティブ教育に100人しか派遣できず、やや排他的です。私たちはこうした企業から何千人もの人々を私たちのプログラムに参加させたいと考えています。

TC:Section4の顧客は企業であり、自分自身の向上を求める個人ではないということですか。

SG:その両方です。個人登録から組織登録へと有機的に繋がっていくのが理想です。上級ビジネススクールの選択科目にかかるコース費用が7000ドル(約76万円)であるのに対し、Section4の費用は700ドル(約7万6000円)から800ドル(約8万7000円)となっています。例えば、グーグルで働く120人の人たちが個人的に登録してくれたとすると、将来的には企業から「一定数の登録、または100人、1000人の従業員を対象としたメンバーシップを購入したい」との申し出がある事を期待しています。

TC:Section4ではすでに1万人の生徒を教えてきたとのことですが、いつ頃からプログラムの提供を始めたのですか?

SG:2020年3月です。最初のコースは300人でしたが、先日終了したコースは1500人いましたので、かなり規模が拡大しています。

他と違うことは、修了率が70%以上であることです。オンライン教育の弊害として、動画では人の心を捉えられず、集中力が生まれないため、修了率が非常に低くなってしまうという欠点があります。私たちは同期と非同期を組み合わせて、プロジェクトワークやチームワーク、教授とのライブストリーム、TAとの1対1のライブセッションなどを行うようにしています。これは、参加者に責任を持ってもらい、積極的に参加してもらうためです。

TC:学生はあなたのような一流の教授にアクセスできることを約束されています。教授が教えている大学はこのことをどう思っているのでしょうか?学校のブランド構築に貢献しているかもしれませんが、競争上の懸念もあるのではないでしょうか?

SG:そうであるところもあれば、そうでないところもあります。大学によっては、教員に一旦本プログラムへの関与を停止して、このような関係を一切持たないように要請しているところもありますが、容認している大学もあります。教育の価値に気づき、資格が欲しいと思ったため、フルタイムのMBAプログラムに申し込むことにしたというメッセージをSection4のコースを受講した生徒からもらったことがあります。ですから、純粋に補完的であるとは言えませんが、純粋に競争的であるとも言えません。

TC:コースを教える教授たちとの経済関係についてはどうですか?

SG:正確な経済的合意を明らかにするつもりはありません。ただ、彼らのようなスーパースターを惹きつけ、維持することが当社の提供する価値の要であると考えています。ですから、彼らが受け取ることになる1時間あたりの報酬が最大になるよう目指しています。仮に800人のコースで、受講生1人が800ドルを支払うとすると、64万ドル(約6900万円)になります。ご想像のとおり、教授に支払うための粗利益は十分に出ています。

TC:このプラットフォームに訪れる受講者は、テクノロジー業界から来ている人が多いのでしょうか、それとも外部の人が多いのでしょうか?

SG:Fortune(フォーチュン)誌の選ぶ100社のうち50社には、これまでに私たちのクラスを受講した人がいます。製薬会社に始まり、大手農業法人、大手ハイテク企業、大手石油会社などの方が受講していますが、テック業界が他よりも多いと言えるでしょう。この業界は従業員の学費を免除するという点で寛大な上、私のブランドは技術系のコミュニティである程度大きくなってきていると思いますし、最初からそのような認識でした。

もう1つの大きな対象は中堅企業で、ディレクターにはビジネススクールに戻る機会も意思もないが、MIT(マサチューセッツ工科大学)の教授からサプライチェーンを少し学びたいと考えているような、10人から500人規模の企業です。

TC:生徒のうち、米国外の生徒の割合はどのくらいですか?

SG:海外比率は30%くらいでしょうか。全大陸に受講生がいます。

また、クラスの少なくとも10%を奨学金のために確保するようにしています。私たちは厳格な奨学金制度を設けており「お金が払えません」というメールを送れば、奨学金がもらえます。ルワンダの800ドルは大変な額のお金になるため、奨学金の多くは海外の人たちに贈られています。

NYUとSection4の関係や、ギャロウェイ氏がなぜ3倍ではなくこの金額の調達としたのかなど、Section4についての詳細は、こちらから対談のフルバージョンを参照して欲しい。

カテゴリー:EdTech
タグ:Section4資金調達オンライン学習

画像クレジット:Piotr Sikora

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)