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アジア太平洋のAmazonマーケットプレイスのブランド統合を狙うRainforestが39.4億円調達

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左からRainforestの事業および戦略ディレクターのElita Subaja(エリタ・スバハ)氏、共同創業者でCEOのJ.J. Chai(J・J・チャイ)氏、ブランドマネージャーのJerry Ng(ジェリー・ナン)氏

シンガポールに拠点を置くRainforest(レインフォレスト)は、小規模なeコマースブランドを「取り込む」最新スタートアップ企業の1つだ。東南アジアのトップスタートアップであるCarousell(カルーセル)、OVO(オーヴォ)、Fave(フェイブ)などの元幹部たちが2021年1月に創業したRainforestは、Amazonマーケットプレイスの中の販売者たちを買収している。これは、Thrasio(セラシオ)、Branded Group(ブレンデッド・グループ)、Berlin Brands Group(ベルリン・ブランズ・グループ)といった、有名eコマースアグリゲーター3社がとっているAmazon中心アプローチに似ている。しかしRainforestはアジアで立ち上げられたこの種の企業の先駆けの1つであり、地域でのブランド取得に特化している。また、家庭用品、パーソナルケア用品、ペット用品に特に力を入れていて、その狙いは、Newell Brands(ニューウェル・ブランド)のeコマース版の構築だといえる(Newell Brandsは、傘下にRubbermaid(ラバーメイド)、Sharpie(シャーピー)、Yankee Candle(ヤンキー・キャンドル)を擁するコングロマリット)。

Rainforestはシンガポール時間5月8日、Nordstarが率いる3600万ドル(約39億4000万円)のシードラウンドを行ったことを発表した。このラウンドにはInsignia Venture Partnersも参加している。これには、650万ドル(約7億1000万円)の株式ファイナンスと、米国の非公開デットファンドによる3000万ドル(約32億8000万円)の債務保証が含まれる。

これまでCarousellとAirbnb(エアビーアンドビー)で上級職を歴任してきた、共同創業者で最高経営責任者のJ.J. Chai (J・J・チャイ)氏は、Rainforestが(他の多くのeコマースアグリゲーターと同様に)デットファイナンスによる調達を行ったことをTechCrunchに語った。なぜならそれは非希釈性だからだ。調達した資金は、AmazonのB2BサービスであるFBA(Fulfilled By Amazon)を使って販売を行っている12のブランドを買収するために使用される。同スタートアップの他の共同創業者は、CFOのJason Tan(ジェイソン・タン)氏(OVOとFaveで同じ役割を果たしていた)、およびCTOのPer-Ola Röst(パ=オラ・ロスト)氏だ。ロスト氏は以前AmazonアナリティクスツールプロバイダのSeller Matrix(セラー・マトリックス)を創業し、数百万ドル(数億円)相当の評価額を持つFBAブランドを経営していた。

関連記事:Amazon上のFBA店を大量に買い漁るThrasioがさらに約790億円調達

Rainforestのポートフォリオには現在、それぞれ約100万ドル(約1億1000万円)で買収した3つのブランドが含まれている。同社は所有するブランドの開示を、ポートフォリオがさらに大きくなるまで控えるつもりだが、チャイ氏によれば、そこにはAmazonでベストセラーのマットレスブランド、シリアルメーカー、台所用品ブランドが含まれているということだ。特定の商品領域に焦点を当てることで、Rainforestはブランドを拡大しながら、サプライチェーン、プロダクトデザイン、マーケティングを合理化していくことができる。

2020年のAmazonの総取引額は約4900億ドル(約53兆6000億円)だった。Marketplace Pulse(マーケットプレイス・パルス)によれば 、そのうちの3000億ドル(約32兆8000億円)はサードパーティの出品者からのものだ。Lazada(ラザダ)の共同創業者で元CEOのPierre Poignant(ピエール・ポイグナント)氏によって創業されたThrasioとBranded Groupもアジアのブランドを買収しているが、これまでほとんどのeコマースアグリゲーターは、米国、ヨーロッパ、ラテンアメリカの販売者に焦点を当ててきた(たとえば最近資金調達をした、メキシコシティを拠点とするValoreo [バロレオ]など)。Rainforestは、中国、東南アジア、オーストラリアを含むアジア太平洋地域の販売者に着目している。

チャイ氏によれば、Amazonのサードパーティ販売者の約30%がアジアを拠点としており、彼は同地域でより多くのeコマースアグリゲーターが立ち上がると予測している。彼は「すべての材料がもうそこにありますので、より多くの人々がそれを理解し、この課題に取り組むのは時間の問題だと思います」という。「私たちが見てきたことはすべてうまく行っています、もちろんオリジナルクリエイターのみなさんはこの傾向に気づいていますので、マイクロブランドが爆発的に増えることを意味しています」。

Rainforestは、現在年間約500万ドル(約5億5000万円)から1000万ドル(約11億円)の売り上げがあり、利益率が最低15%あるような、家庭用品、パーソナルケア、ペット用品のFBA販売者を求めている。可能性のある取引候補のほとんどは、外部からの照会によるものだ。Rainforestは、2日以内にブランドへ評価を与えることができる。もし相手がそのオファーに興味を持った場合、デューデリジェンスには通常約1カ月かかり、販売者は約40日で最初の入金を手にする。

Rainforestは今後、他のマーケットプレイスも検討する予定だが、Amazonから始めた理由はその分析機能がより迅速な評価を可能にするからだ。Rainforestは販売者の評価に際して、製品の「Review(レビュー)」「Rating(レーティング)」「Ranking(ランキング)」の3つの「R」を重視している。また、Amazonを超えて他のチャネルに拡大することが可能で、幅広い魅力を持つ独自の知的財産を持つブランドも望んでいる。「私たちは、グローバル市場に展開できる製品を探しています」とチャイ氏はいう。「なので、例えば芝刈り機カバーは扱いません。それは世界ではあまり需要のない米国的製品だからです、私たちの狙いは扱うブランドを、可能性のある次のレベルに引き上げることなのです」。

Rainforestによる買収候補の多くは、これまでは個人事業主によって運営されてきて、さらなる成長を続けるためにはチームを雇う必要がある段階に達したものの、次の挑戦に向かうためにはむしろ事業を売却したいと考えているようなブランドたちだ。

チャイ氏は「物理的な商品のブランドを作り、そこから大きなビジネスを生み出すことができるのは、比較的新しい現象です。以前はブランドの創出には、工場、大規模なブランディング、研究開発機能が必要でした。それがオンライン広告、マーケットプレイス、サプライチェーンがディスラプトされたことによって、App Storeでソフトウェアの配布を開始することと同じやりかたで、個人がブランドを創出できる機会が生まれたのです」と述べている。「私たちが役立てるのは、多くのマイクロブランドが生まれてその多くが困難に突き当たっているという現状の打開です。私たちは起業家がエグジットする道を提供し、ブランドの可能性を最大に引き出すことができるのです」。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Rainforestシンガポールeコマース資金調達

画像クレジット:Rainforest

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(文:Catherine Shu、翻訳:sako)