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スナックボックスサービスのSnackMagicが16.4億円調達、人がいなくなった職場向けから広範なギフト市場へ進出

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2020年、新型コロナウイルスのパンデミック初期に多くのオフィスが閉鎖されたことで、DXへの巨額の投資が行われ、変革を支えるテック企業の潮流が加速した。しかしこのシフトにおいて明らかに損失を被った企業もあった。突如として消えてしまったオフィスそのものにサービスを提供することをビジネスモデルとしていた企業である。会社を存続させるために即座に方向転換をしなければならなかったこういった企業の1つが米国時間4月9日、急速な成長に加えて黒字転換も達成したことを受けて、資金調達ラウンドを発表した。

カスタムスナックボックスのサービスを提供するSnackMagicが、シリーズAラウンドで1500万ドル(約16億4400万円)を調達した。このラウンドを主導したのはCraft Venturesで、Luxor Capitalも参加している。

(出資者は両社ともフード・オン・デマンド分野で注目すべき実績を有している。直近ではLuxorがスペインのGlovoに対して5億2800万ドル[約578億円]の共同主導ラウンドをまとめており、CraftはCloud KitchensやPostmatesをはじめとする多くの企業を支援している)

今回の資金調達は、同社にとっての堅調な1年を背景に行われた。同社は8カ月で2000万ドル(約21億9000万円)の売上高ランレートを達成し、2020年12月に黒字化している。

創設者兼CEOのShaunak Amin(シャウナク・アミン)氏はインタビューの中で、今回調達した資金はSnackMagicの既存ビジネスの成長継続に加えて、他の種類のギフトカテゴリーへの拡大のために使われる予定だと語った。現在、世界中にスナックを配送することが可能となっているが、カスタマイズできるボックス(受取人は使える金額をプレゼントされ、SnackMagicのメニューや、特定の企業がそのサブセットとして作成しブランド化したものからボックスの中身を自分で好きに選ぶことができる)は、SnackMagicの主要倉庫がサービスを展開している北米地域に限定されている。現時点で事前にパックされたスナックボックスが提供されている地域もあるが、英国を皮切りに、ピックアンドミックスモデルを徐々に拡大していく計画だ。

これと並行してチョコレート、チップス、ホットソースなどのフードアイテムだけでなく、アルコール、ミールキット、食料品以外のアイテムなど、人々が互いに贈り合うことのできるアイテムのカテゴリーも拡充していく予定だ。また、企業ギフト、マーケティング、消費者向けサービスなどの分野におけるユースケース、そして販売から得られるアナリティクスの拡大も視野に入れている。

アミン氏は、さまざまなブランドや製品に対する顧客の関心についてSnackMagicが蓄積しているデータを、プラットフォームの「隠れた宝石」と呼んでいる。

「これは特に注目に値することの1つです」と同氏は述べている。現在のアイテム数は700から800ほどであるが、自社のアイテムをより幅広い品揃えで展開したいと考えているブランドは、ダッシュボードにアクセスして、何が売れているか、自社のアイテムの在庫がどのくらい残っているかなどをモニターできる。「(CPG(消費財)の世界で)極めて不透明なデータこそ必要とされています」。

自社のダイレクト販売チャネルを持たない多くの大企業にとって、これは一般的な実店舗やAmazonのような大規模なオンライン小売店で商品を販売することで通常得られるものよりも、はるかに豊富なデータセットとなる。「ペプシやケロッグのような大手ブランドは、自社製品だけでなく、自社が買収を検討しているブランドについても知りたいと思っています」とアミン氏はいう。同氏によるとそのうちの何社かは同社に提携や投資を打診してきているというから、これについては今後も要注目である。

SnackMagicの成功は、当初意図されていたものとは異なる経路を経て達成されたものであり、必要に応じて規模を拡大でき、方向転換も可能な魅力的でありながら拡張性のあるテクノロジーの偉大さを体現している。ここではパーソナライゼーション技術、ロジスティクス管理、商品の在庫管理と会計、そして膨大なデータアナリティクスがその要である。

同社は当初、ニューヨーク市のランチデリバリーサービスであるStadiumとしてスタートした。このサービスは、例えばチームビルディングのイベントや深夜のワーキングセッション、あるいは通常の仕事時間などにおいて、同僚たちがランチやディナーをオフィスで一緒に注文するときに、人々がそれぞれ違うものを食べたいと思うことが多いという事実を活かしたものだ。

通常、違う商品なら各自がそれぞれ個別で注文するのが一般的だが、それでは一緒に食べるために注文しても、商品が同時に届かないということもある。経費で落とされる場合はその面でも複雑さが増し、カーボンフットプリントを考慮しているなら、その観点からも効率が大幅に低下する。

Stadiumのソリューションは、複数のレストランのメニューへのアクセスを提供するプラットフォームであり、一度の注文でそれらすべてから選択できるというものであった。この事業は6年間にわたって運営され、本格的に軌道に乗り始めていた。

「私たちはこの街でよく知られた存在になっていましたし、事業を拡大する計画もありました。2020年3月は、これまでで最高の月になる見込みでした」とアミン氏は述べている。そして、新型コロナウイルスが襲来した。「オフィスには誰も残っていませんでした」と同氏。多くの商品を1カ所に届けるという発想は一瞬にして必要性を失ったため、売り上げはあっという間に失われてしまった。

同社は自社で構築したプラットフォームに目を向け、それを別の目的に利用できないかとさまざまなオプション(そしてさまざまなコストとそれにともなう会計)を考えたという。その結果、リモートワークにシフトしても企業は従業員に簡単な挨拶や感謝の言葉を伝えたり、特定のチームイベントを開催したりする際に、食事や軽食を手配するための手段を求めていることが判明したのだ。従業員がオフィスの食堂やキッチンに置かれているスナック類を手に取ることができなくなったため、なおさらである。

これは考えてみると当然のことかもしれない。新しい働き方の副産物として、より分散化された方法で働く人々に対応したサービスが増えている一方で、そうした環境で働く人々への待遇を改善する方法を模索している企業も増加しているという事実は驚くことではないだろう。

先にAlyceという会社が、企業ギフトプラットフォームのために3000万ドル(約32億8000万円)を調達したことを本誌で紹介した。パーソナライゼーションにも基盤を置いたプラットフォームで、AIを利用して受け取り側の関心を理解し、受け取りたいと思ってもらえる商品をより適切に選択できるようにしたものだ。

AlyceはSnackMagicとは少し違ったアプローチをとっている。自社では商品も倉庫も保有せず、購入者と商品提供者を結びつけるプラットフォームとなっている。また、初期の顧客層も異なる。Alyceでは社内の従業員(SnackMagicの場合は初期顧客、しかし最終的なフォーカスではない)ではなく、企業ギフトをターゲットとし、営業やマーケティング担当者が見込み客や既存顧客に好意と感謝の印として送るようなものを提供している。

しかし同時に、両者が競合になり得るという可能性も容易に想像がつく。また互いにだけでなく、Amazonをはじめとする他の多くのオンライン小売業者や、B2Cチャネルを超えてビジネスを多角化する方法を模索している消費財メーカーと競合することになるかもしれない。

SnackMagicが簡単に真似されてしまうことを心配していないのかと尋ねると「Amazonのことは気にしていません。我々は常に向上を続けていますから」とアミン氏は答えている。「それに、簡単にできることではありません。スナックを扱うところはあるかもしれませんが、商品を選んだり、パックしたり、個別にカスタマイズしたりするのは、通常のEコマースとはかなり異なります。これは拡張性のあるギフトと言えるでしょう」。

投資家たちは、迅速な方向転換と市場機会の特定、そして目的に合うように技術をすばやく再構築したことに好印象を抱いている。

Craft Venturesの主要投資家であるBryan Rosenblatt(ブライアン・ローゼンブラット)氏は声明の中で次のように述べている。「SnackMagicがこのような速さで成功を収めることができたのは、タイミング、革新的な思考、そしてワールドクラスの実行力が見事に組み合わさったためです。企業がフレキシブルな職場の未来を受け入れる中、SnackMagicはスナックボックスのデリバリープラットフォームにとどまらず、企業文化を構築する役割を果たしています」。

カテゴリー:その他
タグ:SnackMagic資金調達ギフトスナック

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)