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250万ユーザーのアフリカの農家向けSNS「Wefarm」が独立農家のネットワーク拡大に向け約12億円追加調達

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スタートアップの大多数は、消費者や知識労働者、中でも完全にデジタル化された環境、あるいは少なくとも部分的デジタル化した環境で働く人々に対へのサービス提供に力を注いでいる。しかし2021年3月、おそらく最もデジタル化されていない分野の1つである、発展途上国の小規模独立農家に向けたソーシャルネットワークを構築するスタートアップへの資金提供のニュースが入ってきた。

Wefarmは独立農家同士の交流、アイデアの交換、アドバイスの獲得、器具や備品の販売や取引などを目的とした、250万人のユーザーを擁するソーシャルネットワーキングプラットフォームで、1100万ドル(約12億円)の資金を調達して事業拡大を進めている。

この数字と成長機会をいくつかの観点から考察すると、世界には約4億人の小規模農家が存在し、その大部分は開発途上市場にいるとWefarmは推定している。

今回の資金調達は同社の2019年のシリーズAの延長で、Octopus Venturesが主導している。True Ventures(2019年ラウンドを主導)、Rabo Frontier Ventures、LocalGlobe、June Fund、AgFunderも参加した。2015年の設立以来の同社の調達額は、3200万ドル(約34億8000万円)に達している。

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ロンドンに拠点を置くWefarmはこれまで、主に東アフリカ諸国でユーザーを獲得してきた。同社のサービスはウェブサイトから利用できるが、ほとんどのユーザーはインターネットをまったく使わずに、同社のSMSインターフェースからアクセスしている。SMSフォーマットでは現在、約400種類の農業(畜産や乳製品から穀物や果物、野菜まで)に従事する農家から3700万件以上の会話が寄せられ、市場での売り上げは2900万ドル(約31億5400万円)に上ると同社は述べた。

しかし、SMSサービスの展開には時間がかかる可能性がある。その理由の1つは、Wefarmが通信事業者とデータ利用に関する契約を結ぶ必要があるためだ(このことは、会社が厳密にユーザーの規模拡大をコントロールしていることにもつながっている。メインサイトに行くと、ウェイトリストに参加するか、既存のメンバーからの招待による参加のいずれかになっていることがわかる)。

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Wefarmの創業者兼CEOのKenny Ewan(ケニー・イワン)氏によると、今回調達した資金の一部はアプリ(現在ベータ版)の運用を開始し、さらに多くの国でサービスを提供し、より多くの農家を獲得するために使われる。

「私たちは現在重要な取り組みを行っています。それはSMSからデジタルのアプリベースのサービスへと移行し、デジタルの壁を取り除くことです」とイワン氏はインタビューの中で語った。「DVDを郵便で送るという形からオンライン動画のストリーミングへ移行するという流れと同じようなものです。適切なタイミングだと感じていますし、1億人のユーザー獲得につながるものと期待しています」。

パンデミックからバッタの大量発生まで

伝統的に、そして本質的に最もアナログな産業の1つである独立農家を結びつけるWefarmの役割は、特にこの1年で注目を集めている。

新型コロナウイルスのパンデミックは、世界の多くの情報格差を浮き彫りにした。その中でも特に顕著だったのは、ビジネスの世界における格差だ。デジタル戦略を持っていた起業家や企業、組織は、物理的なインタラクションを低減しながら「ニューノーマル」に対応する即応力をある程度持ち合わせていた。活動の急激な低下を避けるために慌てて適応すべく努力する必要がなかった層である。

画像クレジット:Wefarm

Wefarmは、パンデミックが発生する数年前から存在感を示していた。いくつかの側面で常に弱者層を支援し、デジタルサービスの提供を続けてきた。

世界規模で数兆ドル(数百兆円)規模に達し、一部の市場でGDPの最大25%を占める農業は、大規模なデジタルトランスフォーメーションを経験している。しかしそれは、巨大複合企業やCargill(カーギル)、Archer-Daniels-Midland(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)、Bayer(バイエル、モンサントの親会社)、John Deere(ジョン・ディア)などの多国籍企業を含むアグリビジネスセクター向けのツールやテクノロジーに集中している。

独立農家が他者とコミュニケーションを取り、取引し、一般的なネットワークを作るツールとしてのWefarmの重要性は、新型コロナの前に発揮されていた。2019年に同社が実施した前回の資金調達(シリーズAの最初のラウンドで1300万ドルを調達)をTechCrunchが報じたときには、すでに190万人の会員を獲得していた。そして新型コロナが流行し始めた際、ユーザーの多くは新型コロナにあまり関心を持っていなかったのだ。

「実際、アフリカの農村部に住む多くの人々は、天気やイナゴの大発生の影響を心配していました」とイワン氏は語る。「私たちが確認したのは、新型コロナに関するものではなく、これらのトピックに関するトラフィックであり、彼らの関心は新型コロナには向かっていませんでした」。

それでもパンデミックは影響を及ぼしている。他のeコマースでもそうだったように、Wefarmも、対面でのミーティングが中断されていた時期に取引に不可欠なサービスとして重要サービスとして注目が集まった。ビジネスとしてのWefarmに関しては、イワン氏はパンデミックによりビジネス開発チームが以前のように出張できなくなったために、同社の拡大計画が完全に中止されてしまった、と語った。これが、アプリを市場投入が有用な成長ツールになり得るもう1つ理由だ。

(旅行ができなくなったこともWefarmに恩恵をもたらした可能性があるという。Wefarmはさらに60万人以上のユーザー獲得に向け取り組んでいるところだが、イワン氏は、同社がターゲットとする人々の中に、同社のサービスに対する需要が明確にあることを指摘した)。

Wefarmは今後、ユーザーベースやネットワーク、そしてそこから得られるデータをさまざまな形で活用することを目指している。

「私たちは、より多くの分析とデータを提供できると考えています。ユーザーはそのことを強く求めているのです」とイワン氏はいう。「今では誰よりも小規模農家のことを知っています。彼らが私たちに話をしてくれるからです」。Wefarmが今後2年間で開発を検討している分野は、より実用的なビジネスモデル、価格モデル、成熟期などの特定の側面に関するより多くのデータを提供することである。

「Wefarmは、何百万人もの小規模農家が参加するコミュニティを築くことで、重要な知識や情報へのアクセスを拡大する強力なプラットフォームを構築し、農家が自分の土地からより大きな経済的可能性を引き出すことを可能にしました」と、Octopus Venturesのアーリーステージ投資家Kamran Adle(カムラン・アドル)氏は述べている。「どの肥料が最も効果的であるか、特定の商品の市場価格はどのくらいか、またはより良い収量をもたらす新しい農業技術を理解しなければなりません。そのすべてが生活に大きな違いをもたらします。また、世界中で4億人以上の小規模農家は合計で約4000億ドル(約43兆円)を農業資材に費やしている巨大な市場でもあります。ケニー氏とWefarmのチームは、驚くべき規模の事業を実現する大きな可能性を秘めています。私たちは、さらなる成長を加速させる同社のデジタルプラットフォームの立ち上げに大きな期待を寄せています」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Wefarm農業SNSアフリカ新型コロナウイルス

画像クレジット:Wefarm

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)