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動画配信の品質を保ちつつビットレートを削減、電力消費を抑える「 iSIZE」が6.8億円調達

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パンデミックの際、何百万人もの人々がロックダウン中の退屈に直面したため、ビデオストリーミングがブームになったことは広く知られている。だが予期せぬ結果として、何百万ものビデオストリームが環境に与える影響は大きくなり、サーバーファームの電力消費量も増加した。実際、HDストリーミングの方が影響が大きいことから、標準画質への切り替えを求める声もあった。しかし、映像を最適化すれば必要なビットレートを下げることができ、結果として必要なデータとエネルギーの量を削減できることがわかってきた。

奇しくもこれは、有名な風刺番組「Silicon Valley(シリコンバレー)」のピッチでもある。同番組では架空のスタートアップ企業Pied Piperが、動画の画期的なデータ圧縮アルゴリズムを含むアプリを作成する、という設定だった。

一方で、このシナリオは現実になろうとしている。

ディープラーニングを応用して動画のストリーミングと配信を最適化する英国のスタートアップ「iSIZE」は、Octopus Venturesが主導する資金調達ラウンドで630万ドル(約6億8000万円)を調達した。本ラウンドにはTD Veenや、Twitter(ツイッター)の会長でGoogle(グーグル)の元CFOであるPatrick Pichette(パトリック・ピシェット)氏などの既存投資家も参加した。これで同社は、合計820万ドル(約8億9000万円)を調達したことになる。

iSIZEの「BitSave」テクノロジーは、ビデオストリーミングの品質を最適化すると同時に必要なビットレートを低減することで「データとエネルギーの消費を大幅に削減することが可能」だという。

この技術はビデオを高品質に見せつつ、必要なビットレートを下げるために「人間の目で見る」かのように訓練されているとのこと。また、AVC、HEVC、AV1など、すべてのビデオコーデック標準に対応しているため、ストリーミングのプロセスを変更する必要がない。つまり、Netflixなどのリンクは、比較的容易にiSIZEのソリューションを導入できるという。

Sergio Grce(セルジオ・グルチェ)氏とYiannis Andreopoulos(イアニス・アンドレオポウロス)博士によって設立された同社のチームは、機械学習・ニューラルネットワーク・映像信号処理の研究開発経験を兼ね備えており、2019/2020 Creative Destruction Lab Oxfordプログラムの卒業生でもある。

iSIZEの創業者兼CEOであるグルチェ氏は次のようにコメントしている。「今日、かつてないほど多くの人々がより多くのビデオをストリーミングしています。当社のお客様は、我々の先駆的な技術を使ってビデオ配信パイプラインを最適化することで、商機と社会的責任の両方を認識しています」。

筆者への電話で、同氏はこう語った。「処理は人間の知覚に沿って最適化されており、心理的視覚認識に似た方法で、受信者である人間の知覚をリバースエンジニアリングしようとします。そのため、ビットレートを節約でき、コンテンツはクライアントデバイス上で同等かそれ以上の質に見えるのです。当社はMP3が音楽にもたらしたものと同じようなことを、ビデオに対して行っているわけです」。

Octopus Venturesのパートナーでディープテック投資家のSimon King(サイモン・キング)氏は、次のように述べている。「iSIZEが開発した技術は先駆的なものであり、すでに世界の大手企業がストリーミングに費やすコストとエネルギーを削減するために使用しています。高品質ビデオに対する消費者の需要はデバイスのアップグレードに伴い増加する一方なので、環境への影響を低減する新たな方法を見つけることが重要です」。

iSIZEの競合他社には、Wave 1やDeep Renderなどがある。

話が出たところで、Pied Piperがどれだけビデオ圧縮技術に長けていたか思い出してみよう。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:iSIZE資金調達動画配信ディープラーニング

画像クレジット:iSIZE

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)