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【コラム】スタートアップ社員はバイデン大統領のキャピタルゲイン増税案に注目すべきだ

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本稿の執筆者であるVieje Piauwasdy氏、はスタートアップの経営者と従業員のための投資計画プラットフォーム、Secfiの投資戦略担当ディレクター。

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バイデン政権は、キャピタルゲイン(資産売買差益)税の大幅改訂を提唱していると報道されており、米国の富豪たちをターゲットにして、同政権の歴史的援助プログラムの資金獲得を目指している。

現在の法案が発効されれば、スタートアップの(まだ)裕福ではない従業員たちが影響を受けることになる。そしてバイデン政権がそのことを考慮している可能性は低い、なぜなら該当する従業員たちの多くは、まだ最高額納税者枠に入っていないからだ。しかしスタートアップ従業員は、自分のストックオプションをどう扱うかを考える時、この税制変更に細心の注意を払っておく必要がある。

最終的に通過する法律は、当初の法案とは大きく変わっている可能性があるので、どうなるかはまだわからない。これは、従業員に注意を喚起したり、ストックオプションの行使を回避させるものではないが、自分の株式戦略を計画する際には考慮しておくべきだ。

いつものことだが、従業員は適切な計画を立て、どんな変更にも事前に対応できるようアドバイザーに相談すべきだ。

キャピタルゲイン税の改訂がスタートアップのストックオプションに与える影響

歴史的に、長期キャピタルゲイン、すなわち1年以上保有された資産から得た利得は、保有期間1年未満の資産による短期キャピタルゲインと比べて、有利な税率を享受できる。バイデン大統領は同法の原案で、長期キャピタルゲインの税率を、年収100万ドル(約1億900万円)以上にかかる通常の最高所得税率へと引き上げることを提唱している。

もしバイデン氏の提案が通れば、IPO後、あるいは買収の一環として売却した株式で100万ドル以上の利益を上げた場合の優遇税率はなくなることを意味している。多くのスタートアップ社員は、自分の持ち株を「強気」に保有し、オプション行使の1年後に売却して長期キャピタルゲイン税の恩恵を受けようとする。今回の変更によって、優遇キャピタルゲイン税から得られる恩恵は、売却時におけるその人の所得レベルによって制限される可能性がある。

あらゆる税法がそうであるように、悪魔は細部に宿り、その多くはまだ決定されていない。この法案の審議が進んだ時に、従業員が確認すべき事柄を以下に挙げておく。

  • キャピタルゲインの最初の100万ドルには優遇税率が適用されるのか、また、100万ドルの閾値は他の収入と合わせて決めるのか?
  • 100万ドルの閾値を超えないために、どうやって持ち株の売却を計画すればいいのか?
  • 適格中小企業株式(QSBS)への影響はあるのか?

バイデン氏の計画が議会で前進した時、こうした質問や計画の詳細が明らかになれば、オプション行使を考えている社員たちは重要な情報を得られるだろう。

キャピタルゲイン税の規則は常に政治的である

過去に多くの大統領がキャピタルゲイン法の改訂に関心を示してきた。たとえばオバマ大統領は、キャピタルゲイン税の引き上げを望んでいた。トランプ大統領はキャピタルゲイン法を掲げて選挙運動を展開し、キャリード・インタレストを提案した。これはキャピタルゲイン税法が撤廃されることで可能になる。

現在の疑問はこうだ。バイデン氏はキャピタルゲイン税法改訂に成功するのか?民主党はキャピタルゲイン税引き上げがもたらす反発や不都合のリスクを取るのか?多くの専門家が、最終法案が通過すれば、キャピタルゲイン税は引き上げられるだろうが、引き上げ幅はバイデン氏の原案よりずっと小さくなると予測している。一部の人たちは、議会が100万ドル以上の利益を上げた人々の最大キャピタルゲイン税率を30%以下に決めるだろうと予測している。

時間がたてばわかることだが、提唱されている税制計画は、意図的ではないとしても、他の誰よりもスタートアップ従業員たちに著しい負担を強いる可能性がある。

自分の株式の計画を立てる

新しい税法がどうなるのか、そもそも改訂されるのかどうかも不確定要素が多い。現時点で、スタートアップ従業員は一連の変更の可能性に対して行動を起こす必要はないかもしれないが、自分の株式をどうするか、もっと具体的に言えば、オプションを行使する時期を計画する時には、考慮に入れるべきだ。

いずれにせよ、スタートアップ社員はストックオプションの行使について十分良く考えるべきだ(つまりところ、ストックオプションはスタートアップで働くことによる中心的利益なのだから)。税金は考慮すべき事項の1つにすぎない。例えば多くの企業は従業員が会社を辞めたあとの権利行使限を定めている。

仮にキャピタルゲイン税率が変わったとしても、早期に権利を行使することによる利益はありうる。なぜなら多くの場合、従業員は毎年一定数の株式を有利な価格で売る計画を立てることができるからだ。

バイデン氏の計画は連邦税に焦点を当てているが、州所得税も考慮する必要がある。スタートアップ従業員の中には、たとえばカリフォルニア州やニューヨーク州のように税金の高い州から、テキサス州やフロリダ州のように所得税のない州へと引っ越す人たちもいる。引っ越しを計画している人たちは、カリフォルニアやニュヨークによる株式への関与を最小限にするために、権利を行使する強いインセンティブがある。

スタートアップの従業員は、今すぐ行使する場合とIPOの後まで待つことによる有利と不利を理解しておくことが重要だ。ストックオプションにとって、常に最悪の決断は、行動の計画を持たないことだ。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:コラムジョー・バイデン税金

画像クレジット:bestdesigns / Getty Images

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(文:Vieje Piauwasdy、翻訳:Nob Takahashi / facebook