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世界中の視聴者にエンタメの門戸を広げるローカリゼーションサービス市場をリードするIyuno Media Group

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新型コロナウイルスによるロックダウン期間中、ビデオストリーミングプラットフォームへの加入者が増加した。この成長はパンデミック後も続き、国際的なコンテンツの提供がさらに広がっていくことが予想されている。字幕が十分に機能していれば、すばらしいショーや映画の臨場感あふれる体験に幅広い視聴者層を深く引き込むことができるだろう。つまり、コンテンツプロバイダーが世界規模の拡大を図る中、翻訳字幕などのローカリゼーションサービスの需要も高まっているということだ。Iyuno Media Groupは、Netflix、Apple iTunes、DreamWorks、HBO、Entertainment Oneなどのクライアントを持つ、最大手のメディアローカリゼーション企業の1つである。

IyunoはDavid Lee(デービッド・リー)会長がソウル大学在学中の2002年に創設されているが、それ以来さまざまな変化が生まれている。当時、同社はテレビ局に主に英語から韓国語への字幕を提供していた。「私がこの事業を始めたのは大学の最後の年で、もちろん当時はビデオストリーミングサービスはありませんでした」と同氏は語る。「私たちの顧客基盤は、主に地元の放送局と一部の地域放送局でした」。

SoftBank Ventures Asiaなどが出資するIyunoは現在、翻訳、字幕、吹き替え、アクセシビリティ機能、現地のコンテンツ規制への準拠など、年間約60万時間におよぶコンテンツのローカリゼーションサービスを80以上の言語で提供している。活動拠点は米国、アジア太平洋、欧州、中東の30カ国にわたり、35の施設を運営している。同社は2021年1月、同じローカリゼーションプロバイダーであるSDI Mediaの買収契約をImagica Groupとの間で締結したことも発表した。

現在展開している大規模なサービスを実現するために、Iyunoは独自のクラウドベースのエンタープライズリソースプランニングソフトウェアを開発した。このプラットフォームは、コンテンツプロバイダーからのファイルのアップロードを可能にし、さらにタイムコーディング、翻訳、コンテンツと技術品質管理、Iyunoのクライアントへの提出などの機能を備えている。新規のフリーランサーの登録、トレーニング、評価を行い、同じプロジェクトに携わるチームに中央基盤を提供する。

Iyunoはまた、特定のジャンル(たとえばドラマ、アニメ、コメディー、ホラー、ドキュメンタリーなど)からのデータで訓練された独自のニューラル機械翻訳エンジンを構築し、チームの作業の正確性と迅速性を高めている。

より接続された世界に広がるエンターテインメントのローカライズ

OTTサービスが、視聴者とその視聴する番組や映画との間に存在する国際的、文化的な障壁を取り払うようになった現在において、迅速なターンアラウンドタイムで一貫した結果を保証できることが特に重要となる。

「優れた番組は、英語以外の言語であっても、他国での成功を収めます」とリー氏は語る。「新型コロナウイルスにより、プロダクションは大きな影響を受けています。OTTプロバイダーは加入者を維持するために新しいコンテンツを必要としており、これまでライセンスを受けたことのなかった国々で米国以外のコンテンツをライセンスしています」。

Parrot Analyticsが先ごろAxiosに伝えたところによると、2020年第3四半期の米国内の需要のうち、非米国系の番組が30%近くを占めていたという。この傾向はパンデミックが発生する前から始まっていたが、プロダクションが停止に追い込まれたことで、数多くのネットワークやストリーミングサービスが、視聴者の需要を満たすために海外のコンテンツをより多く配信するようになったことが示されている。

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つまり、ローカリゼーションサービスでは、英語以外の言語で撮影された番組や映画を扱うだけでなく、多様な言語にコンテンツを翻訳する作業が行われており、多大なチームワークが求められていると言えるだろう。

「1つの言語で1時間の動画を再生する場合、通常5つか6つのステップを要し、翻訳者や品質管理者など4人から5人の作業が必要になります」とリー氏は説明する。

Iyunoは単一の他言語に翻訳されるコンテンツの場合、スクリプトを使わずに番組を聞いて同時に翻訳できる翻訳者を採用している。Iyunoのクライアントからのファイルは同社のプラットフォームにアップロードされ、プロキシファイルがウォーターマークやその他のセキュリティ手段で生成される。翻訳者はビデオへのリンクを取得し、翻訳の追加が完了すると、字幕コンテンツは事前に設定された品質管理プロセスを経てフォーマット化され、クライアントに送信される。

コンテンツを複数の異なる言語に翻訳するプロセスも同様の手順に従うが、元の言語を最初にスクリプトに変換し、チームとして作業できるように翻訳者に送信する点に違いがある。字幕が付けられたコンテンツは中央品質管理チームに送信され、クライアントに配信される前にその一貫性が確保される。

生放送や放送直前に編集されるテレビドラマのエピソードなど、コンテンツによっては非常に短い所要時間(通常は24時間、場合によっては1、2時間程度)で提供されることもある。そのような場合、Iyunoは番組の放送が始まると録画を開始する。次に、映像を10分のセグメントに分割し、タイムコーダ、翻訳者、品質管理チェッカーの3人のチームに送る。チームは通常自宅で仕事をしており、IyunoのERPプラットフォームにログインする。各10分のセクションを翻訳するのに約1時間かかるため、大抵は1時間のプロセスで同時に6つのチームが関与することになる。

没頭的体験の確保

品質管理には、番組の字幕およびその他のローカリゼーション機能が言語間で一貫した品質を維持するようにすること、また100を超える字幕形式があるため技術的要因をチェックすることなどが挙げられる。Iyunoの品質チェッカーは、字幕を目立ち過ぎないように画面上に配置し、重要な細部を不明瞭にしないように留意し、異なるキャラクターやシーンからの会話が重ならないように配慮する必要がある。

「読み取り速度は通常、聴覚速度よりも遅いため、バッファが必要になります」とリー氏はいう。Iyunoのプラットフォームにはシーン検出ツールがあり、ビデオを分析して自動的に字幕を整理し、字幕が別のシーンに入り込まないようにする機能を備えている。

アクセシビリティ機能の開発は、現在Iyunoのビジネスの5%から10%を占め、拡大を続けている。これには視覚障害者向けの音声解説(画面上で起きていることを説明するナレーションの追加)や、番組内で起きているすべての音を説明するクローズドキャプションが含まれる。

「その需要は増加しており、こうした視聴者へのサービスに意欲的なクライアントにとって極めて重要な側面です」とリー氏は述べている。

番組に取り組む際に翻訳者がすべきことの1つは、制作者の本来の意図を、話し言葉や文化的ニュアンスの異なる言語で維持することである。

「私はかつて字幕制作者として働いていましたが、外国語を自分たちの言語に翻訳したり、その逆のことをしたりするのは、無味乾燥な仕事ではありませんでした」とリー氏はいう。「コンテンツに没頭して、番組を見ながら感情、笑い、悲しみ、キャラクターの動きを理解することに夢中になり、翻訳するのを忘れてしまうことがあります」。

Iyunoの機械翻訳エンジンは、最初に翻訳を行うことでこのプロセスを支援することができ、人間の翻訳者は番組の創造的な側面により集中することが可能になる。

「どちらかというと主観的で定性的なもので、厳密に言葉で表現するのは難しいですが、私たちはその創造性を強化するための方法を模索しています」とリー氏は続ける。「同時に、当社の翻訳者のほとんどは当社に来る前からそのような知識と経験を有しているので、必要なことを十分に認識しています。そしてそういった側面こそが、決して機械が人間に取って代わることのできないものだと考えています」。

【編集部】Iyuno Media Groupは、2021年3月にSDI Mediaの買収を完了した後にIyuno-SDI Groupを設立した。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Iyuno-SDI Group機械翻訳エンターテインメントローカライズ動画配信

画像クレジット:oatawa / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Dragonfly)