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ワンストップショップの中小企業向け金融サービスAspireが事業開始から1年で年間取引額が1089億円に

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中小企業のための「ワンストップショップ」金融サービスを目指すシンガポールのAspire(アスパイア)が、事業開始から1年で年間取引額が10億ドル(約1089億円)に達したと発表した。同時に同社は、企業がAspireのAIベースのデジタルアシスタントに請求書を電子メールで送信することで、管理と支払いを行うことができる最新機能のBill Pay(ビル・ペイ)を発表した。

2020年5月に開始されたAspireのオンラインビジネスアカウントは、スタートアップや中小企業を対象としており、最低デポジットや月額料金を必要としていない。共同創業者で最高経営責任者のAndrea Baronchelli(アンドレア・バロンチェッリ)氏はTechCrunchに対して、現在1万社以上の企業がAspireのビジネスアカウントを利用していて、主に2つの理由がその採用を後押ししていると説明した。第1の理由は、当初企業カードと運転資金ローンに焦点を当てていたAspireが、2020年初めにマルチ製品戦略へ移行したこと、そして第2の理由は、新型コロナウイルスの流行によって、企業が従来の銀行で口座を開くことが困難になったことだ。

バロンチェッリ氏は「私たちは成長するビジネスのためのオールインワンの金融ツールを提供しているといえるでしょう」という。「いらしたお客さまに、まず1つのものを使っていただき、後に他のものも提供していくというやり方は、私たちにとっては成功へとつながる手段でした」。

2018年に設立されたAspireは、2019年7月に発表したシリーズAを含め、これまでに約4150万ドル(約45億円)の資金を調達している。その投資家には、MassMutual Ventures Southeast Asia、Arc Labs、Y Combinatorなどが名を連ねている。

バロンチェッリ氏によれば、Aspireのビジネスアカウントのユーザーは、主に2つのグループで構成されているという。1つ目は「ランチャー」、つまり初めてビジネスを始める企業で、お金の送受手段を設定する必要がある企業だ。ランチャーは通常年商が40万ドル(約4350万円)以下で、Aspireアカウントは彼らにとっての主要なビジネスアカウントとして使用される。2つ目のグループは、年商50万ドル(約5440万円)から200万ドル(約2億1800万円)位の企業で、すでに別の銀行に口座を持っているものの、クレジットラインや経費管理、外国為替のツールとしてAspireを使い始め、そのプラットフォームにも口座を開設することにした企業である。

同社は東南アジア全域に顧客を持ち、特にシンガポール、インドネシア、ベトナムに力を入れている。例えば2021年の初めには、シンガポールの企業向けに法人設立サービスを提供するAspire Kickstart(アスパイア・キックスタート)を開始した。

最新の機能であるBill Payでは、企業のオーナーが請求書を電子メールでAspireのAIベースのデジタルアシスタントに転送することができる。このアシスタントは光学式文字認識(OCR)とディープラーニングを使用して、条件や期日などの支払いの詳細情報を抜き出す。その後、ユーザーに通知が届いて、支払いの承認やスケジューリングを行う前の最終チェックを行うように促される。この機能は、Xero(ゼロ)やQuickBooks(クイックブックス)などの、Aspireに統合された会計システムと同期する。バロンチェッリ氏によれば、Aspire社がBill Payの導入を決めたのは、企業へのインタビューを行った結果、多くの企業がいまだにExcel(エクセル)のスプレッドシートに頼っていることがわかったからだという。

Aspireの提供するサービスは、東南アジアのいくつかのフィンテック企業が提供するものと重なる。例えばVolopay(ボロペイ)、Wise(ワイズ)、Revolut(レボルト)もビジネスアカウントも提供しているし、Spenmo(スペンモ)はビジネスカードを提供する。Aspireは、複数の製品ラインを拡大することで差別化を図る予定だ。例えば、同社は請求書の自動化などの売掛用や、給与管理のための専用製品などの買掛用のツールを開発している。バロンチェッリ氏によれば、Aspireは現在、最終的に提供する機能を決定するために、ユーザーにインタビューを行っている最中だという。

「他の企業がマルチ製品を提供するアプローチをとる可能性があることは否定しませんが、現在の当社のポジションはと尋ねられたら、オールインワンの製品群を提供しているのは基本的に当社だけですとお答えできます」と付け加えた。「つまり、私たちは他社よりも数年先を行っていて、先発者としての優位性を持っているのです」。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Aspireシンガポール東南アジア

画像クレジット:Aspire

原文へ

(文:Catherine Shu、翻訳:sako)