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NASAとAxiom Spaceが初の民間人のみによる国際宇宙ステーションへの宇宙飛行について発表

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ヒューストンに拠点を置く宇宙スタートアップ企業のAxiom Space(アクシオム・スペース)とNASAは、国際宇宙ステーションに向かう初の民間有人ミッションとなる「Axiom Mission 1(アクシオム・ミッション1)」の詳細を、米国時間5月10日に発表した。

Axiom Mission 1(AX-1)は、2022年1月に4人の民間宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に送り込む予定だ。この8日間のミッションは、SpaceX(スペースX)のCrew Dragon(クルー・ドラゴン)ロケットを使用し、フロリダ州にあるNASAケネディ宇宙センターから打ち上げられる。乗組員は、宇宙空間にいる間、ISSの米国セグメントに滞在し、作業を行う予定になっている。

NASAはAxiom Spaceに対し、ISSへの物資輸送など、このミッションにともなうサービスの対価として169万ドル(約1億8400万円)を支払うことになっているが、これには両者間における他の払い戻し可能な契約は含まれていない。

Axiom SpaceのMichael Suffredini(マイケル・スフレディーニ)CEOは、打ち上げの「2022年1月下旬という日程には大きな自信を持っている」と述べている。

Axiom Spaceは2021年1月、このミッションに参加する乗組員の身元を公表した。カナダ人投資家のMark Pathy(マーク・パシー)氏、米国人投資家のLarry Connor(ラリー・コナー)氏、イスラエルの元戦闘機パイロットであるEytan Stibbe(エイタン・スティバ)氏の3名に加えて、ミッションコマンダーとしてクルーを率いるのは、Axiom Spaceの副社長で、元NASA宇宙飛行士として4回の宇宙飛行を経験しているMichael López-Alegría(マイケル・ロペス-アレグリア)氏だ。

パシー氏、コナー氏、スティバ氏の3名は、搭乗中に研究ミッションを行う。パシー氏はMontreal Children’s Hospital(モントリオール小児病院)とカナダ宇宙庁、コナー氏はMayo Clinic(メイヨー・クリニック)とCleveland Clinic(クリーブランド・クリニック)と共同で研究を行い、スティバ氏はイスラエル宇宙局の科学実験に協力する予定だ。

「ラリーとマークは、NASAの宇宙飛行士に相応しい人間になろうと最大限の努力をしている非常にまじめな人たちで、観光客になることには興味を持っていません」と、ロペス-アレグリア氏はメディア会見で語った。「彼らは、人類の発展のために自分の役割を果たしたいと思っています」。

ミッションの準備のため、4人のクルーは7月にアラスカの山麓でキャンプを張り、トレーニングを行う予定だと、ロペス-アレグリア氏は語った。同氏は8月頃から本格的なトレーニングを開始し、9月にはコナー氏も参加。残りのクルーは10月から訓練を始める。約3分の2の時間はISSに特化した訓練に費やし、残りの時間はSpaceXとの訓練に充てるという。このようにスケジュールがずれているのは、クルーによってISSに滞在中の責務が異なるためだ。Axiom Spaceでは、NASAが宇宙飛行士の訓練に使用しているのと同じ業者を利用する予定だ。

スフレディーニ氏は、民間宇宙飛行士がフライトに参加するために支払った金額を明らかにしなかったが、数千万ドル(数十億円)という数字が広く報道されていることについては「異論はない」と述べた。The Washington Post(ワシントン・ポスト)紙は1月に、この宇宙行き航空券の価格が1人5500万ドル(約60億円)になったと報じた。

この価格は将来的にはもっと安くなる可能性があるものの、一般の人々にとって宇宙旅行が実現可能になるほど本格的な価格低下が起こるのは、少なくとも10年先になるだろうと、スフレディーニ氏は語っている。

Axiom Spaceは、国際宇宙ステーションに宇宙飛行士を送り込むミッションを、民間と国家レベルの両方に提供することを考えており、最終的には民間資金による独自の宇宙ステーションの建設を目指している。今回のミッションに続くAX-2、AX-3、AX-4についても、同社では「準備が整っている」とのことだが「誰もがそうであるように、私たちも機会を得るために競わなければなりません」と、スフレディーニ氏はいう。ISSにはドッキングポートが2つしかないため、ISSに向かうミッションの数は限られていると、ISSの副管理者であるDana Weigel(ダナ・ワイゲル)氏は付け加えた。このことは、商用宇宙ミッションと科学宇宙ミッションの両方で急増する需要を満たすためには、さらなるステーションの追加が必要であることを示唆している。

また、同社は2020年1月に、NASAからISS初の商用居住モジュールを開発・設置するという契約も獲得しており、これは早ければ2024年に、ISSのHarmony(ハーモニー)ドッキングポートに接続される予定だ。

関連記事:民間商業宇宙ステーションの実現を目指すAxiom Spaceが約138億円を調達

NASAの商業宇宙飛行開発担当ディレクターであるPhil McAlister(フィル・マカリスター)氏は、Axiom Spaceのミッションに加え、Blue Origin(ブルーオリジン)とVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)が最近発表した商業宇宙飛行について「米国の有人宇宙飛行のルネッサンス」を予感させると述べている。

「歴史の中にいると、少しずつ進歩していると感じられることが往々にしてありますが、2021年はまさにその時に来ていると感じます。これは有人宇宙飛行における真の変曲点です」と、マカリスター氏は語った。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Axiom SpaceNASA国際宇宙ステーション民間宇宙飛行

画像クレジット:European Space Agency Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)