Voyager Space HDが商用宇宙機器大手Nanoracksの過半数株式取得、商業宇宙ステーションに照準

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Voyager Space Holdingsは、商業宇宙サービスベンチャーNanoracks(ナノラックス)の親会社であるX.O. Marketsを、同社の拡大する宇宙関連企業のカタログに加えた。この契約は、2020年12月に初めて発表されたものだ。

2019年10月の創業以来、Voyagerが宇宙企業の過半数の株式を取得するのは4度目となるが、これが最後ではない。VoyagerのCEOであるDylan Taylor(ディラン・テイラー)氏は、TechCrunchの取材に対し、2021年だけでさらに2~4件の買収を発表すると予想している、と述べた。これはアグレッシブな戦略だが、Voyagerのビジネスモデルを理解するための鍵となる。

「多くの人が、当社をファンドやプライベートエクイティ戦略、または言葉は悪いですがある種の金融商品と混同しているようですけれども、そのいずれでもありません」とテイラー氏は語った。「当社は事業会社です」。

Voyagerは、7~10年後には宇宙産業の「プライム」企業と同じレベルの能力に達することを目指している。そのために、同社は一連の宇宙ベンチャー企業の過半数の株式を取得し、能力のポートフォリオを構築している。特筆すべきは、Voyagerがこれらの企業に100%出資することはなく、比較的分散した形で運営している点だ。このようなビジネス上の決断は、同社の数多くのベンチャーの間で、イノベーションを促進するのに役立っているとテイラー氏はいう。

競合する2社を買収して合併し、別の金融機関に売却するというプライベートエクイティの典型的な戦略は、最終的に新しい宇宙経済の成長を促進するものではないと同氏は指摘する。

「(そうした戦略は)宇宙産業で価値をとらえることになりません」と彼はいう。「宇宙産業で価値を引き出すには、能力Aを能力Bと結合させ、食物連鎖のもっと上位にある、新しい能力Cを解き放つことが必要です」。

同社はまた、2021年の第3四半期頃に伝統的なIPOを行う予定だ。S-1の申請は2021年の夏頃を予定しているとテイラー氏は述べている。なお、今回の買収の詳細については同氏は明言を避けた。

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Voyagerはこれまでに、宇宙での生活を支えるための研究を行う研究開発企業であるPioneer Astronautics、先進ロボティクススタートアップのAltius Space Machines、そして標準化されたハードウェアや機器を打上げ業者に提供する、打上げ支援企業のThe Launch Companyを買収してきた。

今回買収したNanoracksは、国際宇宙ステーション(ISS)で1000件以上のプロジェクトに携わっており、中でも商用エアロックをISSに初めて設置した実績がある。また、2020年11月にはアブダビ投資庁とパートナーシップを結び、砂漠(や宇宙)などの厳しい物理的環境下での農業ソリューションを研究している。

Nanoracksの取り組みの中で最も興味深いのは、同社が「アウトポスト」と呼んでいるプログラムで、ロケットの使用済み上段やその他のスペースデブリを利用して、完全な商用宇宙ステーションを建設・運用するというものだ。Nanoracksは2021年6月、SpaceXのミッションに搭載されたデモミッションを打ち上げる予定だという。

打ち上げ支援、先進ロボティクス、研究会社、そして今回のNanoracksという4件の買収を総合すると、Voyagerが商業宇宙ステーションを建設・運営するために準備が整った未来を明確に示している。その未来はまだ遠いものの、案外近い将来かもしれない。

「この業界の過去10年間は、軌道に乗ることで定義されていました」とテイラー氏はいう。「次の10年は、目的地が重要になっていくと考えています。2030年には、軌道上に8〜12の宇宙ステーションが設置される可能性が高いと思います」と同氏は語った。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Voyager Space HoldingsNanoracks

画像クレジット: Nanoracks

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)