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米Amazonから中国の大手販売業者が消える、不正レビューが原因か

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モバイルバッテリーやウォーターボトル、おもちゃなどの日用品をAmazon(アマゾン)で買った時、製造元が中国である確率は高い。アナリストの推計によると、中国の販売業者は2021年1月の米Amazonの新規販売業者の75%を占め、1年前から47%増えた。eコマース調査会社のMarketplace Pulse(マーケットプレイス・パルス)による。

中国業者の急増は米Amazonだけでなく、米国のeBay(イーベイ)、Wish(ウィッシュ)、Shopee(ショッピー)、Alibaba(アリババ)のAliExpress(アリエクスプレス)でも起きている。ブームの理由の1つは、中国オンライン小売市場の熾烈な国内競争の結果、売り手が新たな市場を求めているからだ。テクノロジーと生産で知られる物価の高い都市、深圳の数々の高級物件を、今はeコマースの輸出で成功した人たちが所有しているという物語に魅惑される企業は多い。

しかし、この国境を超えたコミュニティにおける一攫千金の楽観主義は、過去数日間、米Amazonから中国の販売業業者が消えたことで停止している。大中華圏から来た少なくとも11のアカウントが停止されたと、Marketplace PulseのファウンダーであるJuozas Kaziukenas(ジョザス・カジウケナス)氏はいう。

いくつかのアカウントは同じ親会社に属しているが、年間売上100万ドル(約1億900万円)を越える大規模業者にとって、Amazonで複数ブランドを展開して販売を最適化するのはよくあることだ。

TechCrunchは、米Amazon店舗を失い、この米国マーケットプレイスで最も成功している2つのブランドでもあるMPower(エムパワー)とAukey(オーキー)に連絡を取った。

停止されたアカウント全体で、米Amazonの流通取引総額(GMV)に10億ドル(約1090億円)以上貢献している。

米Amazonは停止されたアカウントの状態についてコメントしなかったが、TechCrunch宛の声明で、同社には「当社店舗の公正さを守るための古くからのポリシーがあり、商品の信ぴょう性、誠実なレビュー、製品が顧客の期待に答えることなどが対象です」と語った。

「私たちは、ルールに違反した者に対して迅速な行動を取り、販売の権利を停止あるいは剥奪する場合もあります」と米Amazon広報担当者はいう。

中国のeコマース輸出業者らはこの事態に騒然としている。数百の売り手が日常的にビジネス戦略を語り合っているWeChat(ウィチャット)グループでは不安が飛び交い、標的となった売り手は、プラットフォームでの疑わしい行動の「一線を越えた」というのが一致した見方だ。米Amazonは、強制措置については販売業者に直接伝えたと述べている。

「米Amazonが偽レビューやその他ルールに違反する行為に対して、アカウントを閉鎖したのはこれが初めてではありませんが、今回の規模は前代未聞です」とスマートトレーニングスーツを開発し米Amazonを通じて輸出しているBill Zhang(ビル・チャン)氏はいう。

米Amazonが手頃価格で多様な商品のために中国業者を必要としていることは間違いなく、近年その平均的品質の向上は目覚しい。しかし、中国業者間の競争が過熱するにつれ、悪質な行為は中国eコマースが米Amazonで生き残るための常套手段になってしまった。

「中国販売業者の多くが攻撃的なマーケティングを仕かけているのは公然の秘密です」と玩具輸出事業を営む前に10年以上中国で輸出見本市の仕事をしていたCameron Walker(キャメロン・ウォーカー)氏は述べた。

中国業者がよく使う手口の1つはレビューを操作することで、商品が米Amazonで並ぶ順番に影響を与える。これは、本物の購入者に金を払って良いレビューを書かせたり、偽の注文を送って幽霊アカウントで良いコメントを残す方法で行われる。

後者の方法は「商品レビュー」サービスと称する業者に委託され、本物のアカウントを偽装するさまざまな手段が提供されている。IPプロキシ、バーチャルクレジットカード、海外住所、その他Amazonの不正検出アルゴリズムによる疑いを回避するあらゆる個人情報だ。中国輸出業者と密接に仕事をしている決済サービスの幹部が語った。

蔓延しているもう1つのアプローチは、おそらく偽レビュー以上に米Amazonの存在を揺るがすもので、購入者を米Amazonから販売業者自身のウェブストアに誘導するやり方だ。Amazonは購入者の個人情報、たとえばメールアドレスなどを業者が収集することを禁止しているが、中国輸出業者は抜け道を見つけた。顧客にハガキを送り、自社ウェブサイトにレビューを書くよう依頼するのだ。

こうした手口は何年も前から使われていた。なにがトップセラーへの急襲に至らしめたのか?

TechCrunchが接触した5社の輸出業者は、サイバーセキュリティ会社のSafetyDetectives(セーフティー・ディテクティブス)が暴露したデータ侵害を挙げた。そこには米Amazon販売業者が購入者に偽レビューを依頼するダイレクトメッセージの山があった。そのデータは、20万人以上の個人データを含み、中国にあると思われるサーバーに置かれていたとSafetyDetectivesは述べている。

報告書は、関与した売り手の名前には言及していない。TechCrunchは報告書の真偽を確認できていない。

米Amazonはデータ侵害に気づいているかどうかは言わなかった。しかし、同社が「機械学習ツールと熟練した調査員を使って毎週1000万件の提出物を分析」し「既存の全レビューについて不正の兆候を調べ、問題を見つけた場合には即座に対処」していることを明言した。さらに同社は、ソーシャルメディア・サイトに「当社の店舗の外で不正なレビューを呼びかけている常習犯」を通報してくれるよう依頼している。

しかし、犯人らは最近の取締の後でも戻ってくる可能性が高いと国際決済担当幹部は述べた。

「Amazonは販売業者と偽レビューサービスの固い結束で実入りのよいエコシステム全体と戦っています。一部の大型店舗だけではありません」。

近年、米Amazonは新たな販売業者の参加を促進し「優良ブランド」でいるように説得している、とウォーカー氏は見ている。今や売り手はブランド登録、安全テスト、保証責任などの厳格な要求を満たす必要がある。

「米Amazonでビジネスを運営することはますます難しく、費用がかかるようになっています」。

一連の対策は、多くの輸出業者が販売チャネルを米Amazon以外にも多角化し、自らルールを作れる自社のShopify(ショッピファイ)ベースのウェブストアに投資するきっかけになった。彼らは、中国製アパレルを海外市場向けに販売する独立eコマースストアのShein(シーイン)が実行したことに励まされた。第1四半期、Sheinは世界で2番目に多くダウンロードされたショッピングアプリだったことを、アプリ分析会社のSensor Towerが提供したデータが示している。多くの中国販売業者は、いつの日か自分たちもAmazonのような巨人の手を離れて自由になることを夢見ている。

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タグ:Amazon中国アメリカ

画像クレジット:Photo by VCG/VCG via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nob Takahashi / facebook