GMとLG化学のバッテリー合弁会社が製造廃棄物の処理でリサイクル会社と提携

次の記事

レノボもMWCバルセロナ2021会場出展せず、サムスンに続き

General Motors(ゼネラル・モーターズ)とLG Chem(LG化学)の合弁会社Ultium Cells LLCは、2019年12月の会社設立発表以来、米国でのバッテリーセル製造能力を着実に拡大してきた。しかしバッテリーセル製造には廃棄物もともなう。ゴミ処理場に投げ込むには潜在的な価値が大きすぎる扱いにくい廃棄物だ。

廃棄処分する代わりに、Ultiumはそれらをリサイクル業者に渡している。同社は2020年後半から始まったローズタウン工場でのセル製造の過程で出るスクラップから重要な素材を取り出してリサイクルするためにカナダ企業Li-Cycleと提携した。ローズタウン工場から出る廃棄物はニューヨーク州ロチェスターにあるLi-Cycleの施設に送られ、そこで処理されてバッテリーサプライチェーンに戻ってくる。

General MotorsとLG化学が、バッテリーセル製造の拡大を決めているのは明らかだ。セル製造で出るものの5〜15%が余分なスクラップだ。ローズタウン工場が年間30GWhを製造する能力があることを考えると、かなりの量の廃棄物が出ることになる(参考までにネバダ州にあるTeslaのバッテリー工場の製造能力は35GWhだ)。

Li-Cycleのアプローチは従来のリサイクルプロセスと異なる、と共同創業者のAjay Kochhar(アジャイ・コッホチャール)氏はTechCrunchに話した。従来型のリサイクルは高温冶金法、つまり高温の作業をともなう。このプロセスではバッテリーは炉に入れられ、プラスティックや電解物といった余分な材料が焼かれ、価値ある原材料の回収率は約50%だ

Li-Cycleはまた、高温を使うRedwood Materialsといった競合他社とも異なる、とコッホチャール氏は説明した。Redwoodは別のアプローチを必要とする家電などを処理する。Li-Cycleは文書シュレッダーのように実際にバッテリー素材を水中で正しいソリューションで細断する湿式製錬プロセスを取っている。この方法を採用することで火の熱のリスクを減らし、バッテリー材料の最大95%を回収する(Redwoodも回収率は95〜98%だと主張している)。何もかも燃やさないことで、有害かもしれないエミッションの排出も回避している。

細断されたリチウムイオンバッテリー(画像クレジット:Li-Cycle

負極と正極の物質は炭酸リチウム、硝酸ニッケル、硫酸コバルトといったバッテリグレードの化学物質に変えられる。Li-Cycleは化学物質を買う企業であるTraxysと協業している。

「その後どうなるかというと、負極製造に、そして広範な経済とバッテリーサプライチェーンに戻ります」とコッホチャール氏は説明した。次のステップは、メーカーが使用するものと同じ材料が戻る「真に循環型経済の閉回路」となる。

Li-Cycleは細断とメカニカル分離が行われる2つのリサイクル「スポーク」をロチェスターとカナダ・オンタリオ州に展開し、3つめの商業施設をアリゾナ州に建設中だ。アリゾナの施設が稼働すれば、Li-Cycleは年間2万トン、あるいは4GWhのリチウムイオンバッテリーを処理できる。同社はまた、ロチェスターにバッテリー化学物質を作るための「ハブ」と呼ぶものを建設中で、このハブはバッテリースクラップと「黒色の塊」(負極と正極の物質の混合で、同社のスポークから出るものの1つ)を年間約6万トン処理する能力を持つ。

同社は、リチウムイオンバッテリーの受け入れ処理で車やバッテリーのメーカー14社(これらの取引のすべてが公になっているわけではない)、車ディーラー、車リサイクル業者と協業している。

Ultiumは2021年4月に、米国で2カ所目となるテネシー州スプリングヒルにバッテリー工場を23億ドル(約2500億円)かけて建設すると発表した。2023年の稼働を見込んでいる。どちらの工場も、2020年代半ばまでの発売を計画している30モデルの電気自動車に必要なセルを供給する。しかしLi-Cycleがこの工場から出る廃棄物も処理するかどうかはわからない。

注目すべきは、同社はさまざまな車メーカーから出るR&Dスクラップもリサイクルしており、バッテリーテクノロジーという観点で「初めて目にする種のもの」をLi-Cycleに与えていることだ、とコッホチャール氏は述べた。これは同社がソリッドステートあるいはリン酸鉄リチウムイオン(LFP)などの最新のバッテリー化学やテクノロジーを熟知し、それに応じてリサイクルプロセスを開発するのに役立つ。Li-Cycleはすでに一部のLFPバッテリーを処理していて、そうしたケースではリン酸塩を肥料添加物に作り替えている。

この場合、提携を電気自動車の経済と環境の実例としてみてもらうことを望む、とコッホチャール氏は話した。

「EVバッテリーがゴミ処理場にいかないという、1つの商業例となるべきです。バッテリーはとても価値があります。経済的にそして環境的にも優しい方法で処理するためのテクノロジーがここにあります」と同氏は述べた。

関連記事:GMが電気自動車戦略のコアとなるモジュラー式アーキテクチャー「Ultium」を公開

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMLG化学バッテリーUltium Cells LLCリサイクルUltium

画像クレジット:Li-Cycle

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi