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【コラム】企業はNDAを禁止する法案を待たずに今すぐ倫理的なポリシーを作るべきだ

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本稿の執筆者Julie Goldsmith Reiser(ジュリー・ゴールドスミス・ライザー)氏は全国弁護団法律事務所であるCohen Milstein Sellers & Tollの証券訴訟および投資家保護グループの共同会長。Louise Renne(ルイーズ・レンヌ)氏はRenne Public Law Groupの創業パートナーで、同事務所の公益訴訟責任者。

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米国中の企業は、カリフォルニア州議会の「Silenced No More Act(もう黙っていない)」法案の公聴会に細心の注意を払うべきだ。この法律は、従業員がさまざまな形の差別とハラスメントについて公表するのを防ぐために守秘義務契約(NDA)を使うことを禁止する。

同法案は、Pinterest(ピンタレスト)の元従業員らが、会社の人種・性差別、ハラスメント、および報復について公にした驚くべきの訴えを受けたものだ。彼らは会社にNDAへの署名を要求されていたが、勇気を持って、社会問題に関するPinterestの偽善行為への注意を喚起した。

企業にこうした不正行為の責任を取らせるべく株主らとともに行動している弁護団として、これらの申立ては我々の仕事に大きな影響を与えた。この問題は、我々が代理人を務める国家年金基金が、Pinterestの取締役会および上級幹部を、Pinterest従業員を差別したとされる権力ある幹部を擁護したとして訴えている現在係争中の株主代表訴訟の基礎を形成している。

「もう黙っていない」法は、NDAの使用を制限している現行法を拡張するものだ。このような法律が重要なのは、NDAが幹部によるハラスメントや差別、報復を覆い隠すことのみを目的として使われているからだ。NDAが、すでに被害にあっている従業員の声を封じ込めることによって、さらに被害を大きくしている。NDAは女性たちに会社による報復の脅威を引き起こし、時には制裁金を定めた条項が含まれることさえある。個々の訴えが解決してからずっと後になっても。

「もう黙っていない」法は早急に通過させて他州のモデルにするべきだが、これは国中の企業が自ら行うべきことであり、法律が企業から倫理的NDAを引っぱリ出すのを待つべきではない。

この必要性を認識しなければ、職場における同じタイプの不品行がいくつも明るみに出て、将来の企業スキャンダルにつながるだろう。認識の欠如は、権力を持つ幹部が、職場の他人に対する自分たちの行動がいかに違法であっても保護されると考えている維持不可能な企業構造を、守り続けるだろう。

我々は調査の中で、NDAの複合的影響と、いかにそれが問題を長年放置させてきたかを見てきた。

我々2人は、他の人々とともにAlphabet(アルファベット)株主の代理人を務めており、テック巨人との画期的な3億1000万ドル(約340億円)の和解を成立させ、会社の歴史的な多様性・平等性・包括性(DEI)改革に結びつけたチームの一員だ。その和解は、幹部と取締役会メンバーが信任義務に違反して、幹部が女性に対し、罰を受けることなく性的嫌がらせと差別を行うことを許す二重基準を設けていたとする株主代表訴訟の結果だ。

この裁判におけるAlphabetの「隠蔽カルチャー」は、NDAの沈黙効果によるところが大きいと我々は信じている。

NDAによって起きている不品行の継続は、AlphabetとPinterestに留まらない。その多くがカリフォルニア州にある強力な企業における#MeToo(ミートゥー)スキャンダルは尽きることがなく、口を封じるNDAによってさらに悪化している。Weinstein Company(ワインスタイン・カンパニー)、Wynn Resorts(ウィン・リゾート)、NBC(エヌ・ビー・シー)および21st Century Fox(21世紀センチュリー・フォックス)は、NDAを使って訴えを沈黙させようとした最初の顕著な例で、後に元従業員からの訴えが爆発した。

幸いなことに、職場における差別とハラスメントの状況を変わりつつある。株主、労働者、顧客、その他重要なビジネス利害関係者は、企業に対してハラスメント加害者の擁護をやめるよう、これまで以上に積極的な要求を突きつけている。

これらすべてが、トップは率先して基調を打ち出すべきであり、後手に回るより先手を打つほうがはるかに良い、というメッセージを取締役会や上級幹部に送るはずだ。つまりそれは、DEIを基本要素とする企業カルチャーを能動的に作るという意味であり、後からではない。それはまた、透明性を意識的に優先し、従業員の声を抑制する意図でつくられたNDAのように、目標と対極にあるポリシーを積極的に排除することでもある。

大衆も株主も、従業員を正当に扱う企業とつきあいたいと思っている。企業は、このコンプライアンスのカルチャーから平等と包括性のカルチャーへの変化を認識して、この新しい現実を受け入れ、被害を訴える者にNDAを強制する行為を止め、包括性と説明責任のカルチャーを育てていくべきだ。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:NDAアメリカPinterestDEIAlphabetコラム

画像クレジット:poweroffforever / Getty Images

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(文:Julie Goldsmith Reiser、Louise Renne、翻訳:Nob Takahashi / facebook