ライアットゲームズがボイスチャットのモデレーションを開始するため個人情報保護方針を更新

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過去10年の間にボイスチャット付きのビデオゲームをしたことがある人なら、これにまつわるある種のリスクについてご存知だろう。仲の良いチームメイトが話しかけてくれることもあれば、時にこの世のものとは思えないような有害な言葉を耳にすることもあるからだ。

「League of Legends」や「Valorant」などの超人気タイトルを世に送り出したゲーム開発会社のRiot Games(ライアットゲームズ)が、この問題を真剣に受け止め、行動に踏み込んだ。

同社は米国時間4月28日、個人情報保護方針の変更を発表。この変更により、迷惑行為に対する報告が出されると同社はそのボイスチャットを保存して評価することが可能になる。このポリシー変更はRiot Games全体に適用されるため、すべてのゲームの全プレイヤーがこの変更を承諾する必要がある。ただしこの新機能が適用される予定のゲームは、同社のゲームの中で最もボイスチャットが多用される「Valorant」だけだ。

報告されたオーディオデータはユーザーアカウントの登録地域に保存され、行動協定に違反していないかどうかが評価される。このプロセスは報告が出されると開始されるというもので、常時稼働しているわけではない。違反があった場合、データは違反したプレイヤーに提供され、審査を経て必要性がなくなれば最終的に削除される。また違反行為がない場合もデータは削除される。

先に断っておくが、これは非常に重大な進歩である。ゲーム上での誹謗中傷などの有害性はユーザーエクスペリエンスの質を著しく下げるだけでなく、多くの潜在的なゲーマーの獲得を妨げているという事実をパブリッシャーや開発会社はずっとわかっていたのである。

「ボイスチャット機能がもたらすさまざまな行動の歪みによって傷ついているプレイヤーが多くおり、これはときにとても有害なものです。我々はそれを認識しており、この分野でできる限りのことをするとプレイヤーのみなさんにお約束します」とプレイヤーズダイナミクス部門責任者のWeszt Hart(ウェスツ・ハート)氏は話す。

ボイスチャットはゲームをより色濃く楽しくしてくれる要素でもある。パンデミックの最中、みんなが人との関わりを求めていたときはなおさらだ。しかし対戦ゲームのような緊張感のある状況におかれたとき、ボイスチャットを通した繋がりは悪変することがある。

筆者自身もゲーマーだが、人生で最も傷つく思いをした経験の1つは赤の他人とゲームをしているときだったと断言できる。

誤解のないよう言っておくと、同社はこのボイスチャット規制が今後どのように機能するのか具体的には説明していない。最初のステップはプライバシーポリシーの更新となり、プレイヤーに告知することで同社はボイスチャットの評価を開始する権利を得ることになる。

ボイスチャットを取り締まるというのは非常に難しいことである。ユーザーに対して透明性を保ち、法的な文書を更新する必要があるだけでなく(これは間違いなく最も簡単なステップであり、今同社が行っていることでもある)、プレイヤーのプライバシーを守りつつ適切なテクノロジーを開発しなければならない。

今回の変更についてハート氏とデータ保護責任者兼CISOのChris Hymes(クリス・ハイメス)氏に話を聞いたところ、音声中の行動違反を検出するための実際のシステムは、現在まだ開発中とのことだ。音声からテキストへの自動転記に重点を置いてテキストチャットのモデレーションと同じシステムを利用するのかもしれないし、機械学習に頼って音声だけで迷惑行為を検出するということもあり得るということだ。

「使用すべき技術を検討し、最適な技術に確定したいと思っています。この分野に多大な時間と労力を費やしてきましたし、弊社が進むべき方向性についても大体わかっています。しかし、他のアプローチがより最適であるかどうかをより確実に理解するために、ある程度の音声を用意したいと考えています。そのためには単なる推測ではなく、実際に何かを処理できなければなりません」とハート氏。

その答えを一刻も早く出すためにも、プライバシーポリシーの更新という第一歩を踏み出さなければならないと同氏はいう。

また最初は北米でのValorant向けに開発されることになるため、開発中のシステムが適切に機能し、最終的に他の言語や他のタイトルにも展開できるようにするためにはある程度人間によるモデレーションが必要だとハート氏とハイメス氏は話している。

機械学習や自然言語処理の進歩により、10年前あるいは2年前と比べると開発は比較的簡単になってきている。しかし、機械学習のアルゴリズムがニュアンスの異なるヘイトスピーチを正確に検出できるようになった現在でも、まだそこには別のハードルが存在する。

タイトルごとにゲーマーが使用する言葉が異なるのである。日常生活では使われないような言葉や用語がゲーマーの間では使われており、これがシステム開発にまた別の複雑さをもたらしている。

それでも今回の発表は、Riot Gamesのタイトルと願わくば他のタイトルも含め、ゲームをしたいと思っている人が安心してゲームができる、インクルーシブな環境になるための重要なステップだ。

また同社は、ゲーム開発には包括的な努力が必要だということをしっかりと理解している。ゲームデザイン、チート対策、行動ガイドライン、モデレーションなどすべてがプレイヤーのエクスペリエンス全体に影響を及ぼすからだ。

今回の発表と同時に、同社はグローバルな返金ポリシーの他、現在および将来のタイトルのアンチチートソフトウェアにおける新言語などに関する利用規約を更新すると伝えている。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Riot Gamesボイスチャット個人情報モデレーションプライバシー

画像クレジット:Carry1st

原文へ

(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)