モビリティ
Super Cruise(製品・サービス)
Cruise / クルーズ(企業)
自動運転 / 自律運転(用語)
GM / ゼネラルモーターズ(企業)

GMは2030年までにCruiseの自動運転技術を用いた個人向け自動運転車を販売する意向

次の記事

カリフォルニア州知事がEV関連に約3500億円拠出する経済復興策を発表

GM(ゼネラルモーターズ)CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏は米国時間5月5日に行われた決算説明会の中で、同社の自動運転子会社Cruise(クルーズ)の技術を活用することにより、10年以内に自社の個人向け自動運転車の販売が実現するとの見方を示した。

バーラ氏は詳細については明らかにしなかったが、同社の将来的なビジョン、そしてCruiseへの出資による連携と自社の先進運転支援システムSuper Cruise(スーパークルーズ)への取り組みにおける今後9年間の発展の見通しについて語った。

「折に触れて伝えてきましたが、運転支援からレベル4、レベル5の自動運転に至るまでの革新的で進化的な戦略を私たちは有しています」と同氏は述べ、SAE International(米国自動車技術者協会)が定義する自動運転レベルに言及した。

バーラ氏のビジョンの「革新的」一端を担うのが、GMが過半数株式を保有する自動運転スタートアップCruiseだ。Cruiseは、高密度な都市部を走行して人や荷物の輸送を行うライドシェア用の電気自動運転車に取り組んでいる。同社はサンフランシスコの公道でその技術をテストしているが、商用規模のロボタクシー事業の展開にはまだ至っていない。また今月初めには、2023年にドバイでロボタクシーサービスを開始する契約を結んでいる。

Cruiseが商用製品としての自動運転技術のテスト、検証、ローンチへの道筋を推進する一方で、GMはハンズフリーの運転支援システムSuper Cruiseの改良を続け、自社の自動車ブランドとの統合を進めている。Super Cruiseは、LiDARによる3Dマッピングデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサー類を組み合わせて機能し、運転席の乗員が注意を逸らさないように監視するDriver Attention System(ドライバー・アテンション・システム)も搭載する。テスラの運転支援システムAutopilot(オートパイロット)とは異なり、Super Cruiseのユーザーは必ずしもハンドルに手を置いておく必要はないが、目線はまっすぐ前を向いていなければならない。

早期アクセス版のソフトウェアアップデート公開を通じて改良機能をテストするTeslaの方式と比べると、GMのSuper Cruiseへの従来のアプローチは緩やかなものだった。しかし今では、GMはSuper Cruiseの機能と車両統合の強化に対して熱心なようだ。バーラ氏の5月5日の発表によると、GMは2023年末までにSuper Cruiseを22車種に展開する計画だという。

2017年にGMがSuper Cruiseの提供を開始したとき、対応車種はキャデラックのフルサイズセダンCT6のみで、中央分離帯のあるハイウェイでの使用に限られていた。変化が起き始めたのは2019年で、GMはこの年にSuper Cruiseの販売地域を拡大する計画を発表している。同時に、Super Cruiseの機能の拡充を進めてきた。VIPと呼ばれる同社の新しいデジタル車両インテリジェンスプラットフォームは、電気帯域幅とデータ処理能力が高くなっており、これによりエンジニアは自動車線変更などの機能を追加できるようになった。また、ハイウェイだけでなく、市街地での利用に向けても取り組んでいる。

「Cruiseは完全自動運転に真に注力していますが、Super Cruiseでは追加的な機能拡張を続けています」とバーラ氏。「私たちの最終的なビジョンは、この(Super Cruise)システムを使って運転シナリオの95%でハンズフリー走行を実現することです」。さらに、同社の「あらゆる車両システムを高度、高速かつ安全な単一ネットワークに接続する車両インテリジェンスプラットフォーム(VIP)」により、Super Cruiseに一層の進化がもたらされるだろうと付け加えた

バーラ氏によると、VIPの1時間当たりのデータ処理能力は4.5テラバイトで、GMの従来のアーキテクチャよりも5倍高いという。これは、運転支援システム、電気推進、そして全車両モジュールの無線アップデートにおけるあらゆるデータ負荷に対応し、機能アプリケーションを管理するのに十分なキャパシティであり、顧客に販売される新規アプリを含むSoftware as a Service(サービスとしてのソフトウェア)を提供することも可能になる、と同氏は説明した。2023年末までに700万台、38車種のグローバルモデルにVIPが適用されるとしている。

しかしバーラ氏は究極的には、ロボタクシーやラストマイルデリバリーに特化して設計されたCruiseの自動運転技術を応用して、個人向けの自動運転車を実現したいと考えている。

「展開すべきことはまだたくさんありますが、私は当社が個人向けの自動運転車を実現することを確信しています。Cruiseでのケイパビリティを活用し、当社が自動車会社で培ってきたケイパビリティを融合することで、その観点から顧客を満足させるポジションを築き上げていきます」とバーラ氏は述べた。「どちらの方向性もとても重要です。当社が現在車両に搭載している技術は、車両の安全性を高め、顧客を魅了し、サブスクリプションによる収益機会をもたらすでしょう。そして、Cruiseで進めている究極的な取り組みである完全自動運転は、より多くの可能性を切り拓き、発展的な構想を導くものです」。

ロボタクシーで使われる自動運転システムを乗用車に組み込むのは複雑なプロセスだ。GMは、この技術を消費者が購入できる車に安全に適応させるための設計、テスト、検証を今すぐ始める必要がある。それがすでに行われているかは定かではない。

GMが報告した第1四半期売上高は324億7000万ドル(約3兆5378億円)で、前年同期の327億ドル(約3兆5663億円)からやや減少し、アナリスト予測よりも低い結果となった。一方、利益は予想を大幅に上回り、株価は4%上昇して57.58ドルで取引を終えている(本稿執筆時)。第1四半期の純利益は30億ドル(約3268億円)で、前年同期の2億9400万ドル(約320億2777万円)から急増した。非経常項目を除いた調整後EBITベースでは、44億ドル(約4794億円)の利益と2.25ドルの調整後1株当たり利益となっている。アナリストらは調整後EPSを1.04ドルと予想していた。

「私たちは通期業績見通しも再確認しており、現在把握しているところでは、調整後EBITは2021年初めに公表した予想レンジ100億~110億ドル(約1兆898億~1兆1987億円)の上限近くになると見ています」とバーラ氏は株主宛ての書簡の中で前向きな結果を付け加えた。GMはこうした見通しについて、半導体不足がもたらす潜在的な影響を考慮したものだとしている。

関連記事
【レビュー】GMの最先端技術を戦略的な価格で実現したシボレー・ボルトEUV、「スーパークルーズ」追加でテスラModel Yと互角に
GMの自動運転子会社Cruiseがドバイでのロボタクシーサービス事業を契約、2029年まで独占

カテゴリー:モビリティ
タグ:GM自動運転CruiseSuper Cruiseロボタクシー決算発表

画像クレジット:Rachel Woolf / Getty Images

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)