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イーサリアムよりはるかに高速だと主張するトップ暗号資産投資家たちに人気のブロックチェーンプラットフォーム「Solana」

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Solana(ソラナ)は、暗号資産(仮想通貨)コミュニティの外ではまだ知られていない。しかし、コミュニティ関係者は、このブロックチェーンプラットフォームをさまざまな理由で興味深いものと考えている。その最初の理由が、創業者である好人物のAnatoly Yakovenko(アナトリー・ヤコヴェンコ)氏だ。彼はQualcomm(クアルコム)で無線プロトコルに携わるエンジニアとして十数年を過ごし、数年前にサンフランシスコのカフェで2杯のコーヒーと1本のビールを飲んだ後に、ひらめきを得たのだと語る。

彼のアイデアは、ピア・ツー・ピアシステムであるブロックチェーンにおいて、決定を行うための「コンセンサス」を迅速に行うために、履歴情報を構成するというものだ。現在、多くのブロックチェーンでは、参加者が数学的なパズルを解くことでコンセンサスが得られている。このメカニズムは「proof of work(プルーフオブワーク)」と呼ばれている。こうしたパズルを解く者(マイナー、採掘者と呼ばれる)は、その努力に応じて暗号資産で報酬を得るが、そのプロセスは、Bitcoin(ビットコイン)の場合は何時間もかかり、Ethereum(イーサリアム)の場合は何日もかかって、非常に多くのエネルギーを必要とする。このためBitcoinもEthereumもあまり拡張性がないことがわかっている(Bitcoinが化石燃料に大きく依存していることは、Elon Musk[イーロン・マスク]氏が今週初めに、Tesla)が電気自動車の支払いにビットコインを受け付けなくなった理由として挙げたことの1つだ)。

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しかし、別のやり方も存在する。実際、暗号資産ウォッチャーや開発者たちは、Ethereumやその他の暗号資産が「proof of stake(プルーフオブステーク)」と呼ばれる新しいシステムに移行しつつあることに期待している。プルーフオブステークとは、一定量の暗号資産(たとえばEther[イーサ])をロックアップすることに同意した人々が、データの保存や取引の処理、Ethereumのブロックチェーンへの新しいブロックの追加を行えるいわゆるバリデーターソフトウェアを利用するやり方だ。マイナーと同様に「バリデーター」もより多くの暗号資産を獲得することを目指すが、必要となる高度な機器がはるかに少ないため、より多くの人にチャンスを広げることができる。また、より多くのバリデーターがネットワークに参加することで、より早くコンセンサスを得ることができる。

ヤコヴェンコ氏は、この動きを熱心に支持している。米国時間5月14日話を聞いたときに、ヤコヴェンコ氏は、Ethereumの世間での認知度と約5000億ドル(約54兆7000億円)の時価総額を考えると、もしEthereumがその目的を達成できなければ「業界全体に壊滅的な打撃を与えるでしょう」と語った。

だが、彼はプルーオブステークでもまだ十分ではないと主張している。彼が最も懸念しているのは、たとえプルーフオブステークがあっても、マイナーやボットがそのパワーに物をいわせてトランザクションの順序をコントロールすることでトランザクション情報に事前にアクセスできるため、ユーザーを搾取したり、トランザクションの先回りをすることが可能になることだ。

ヤコヴェンコ氏が「proof of history(プルーフオブヒストリー)」と呼ぶビッグアイデアは、Solanaブロックチェーンが開発した一種の同期時計を使って、各トランザクションにいわばタイムスタンプを割り当てることで、ブロックチェーンに記録されるトランザクションの順番を、マイナーやボットが決められないようにするというものだ。また、こうすることで過去の取引のタイムスタンプを計算する必要もなくなるため、ブロックのファイナライズが迅速になり、コンセンサスも格段に速くなるとヤコヴェンコ氏はいう。「基本的には、光の速さが、このネットワークの高速化の限界になります」と彼はいう。

確かに、トークンを投資家に販売しはているが、株式は売っていないSolanaの将来性に、多くの人が期待している。Initialized Capitalの投資家Garry Tan(ギャリー・タン)氏と、ブロックチェーンインフラ企業Bison Trails(バイソン・トレイル)のCEOJoe Lallouz(ジョー・ラルーズ)氏は、最近のインタビューで、現在最も興味深いプロジェクトの1つとしてSolanaを挙げている(2人ともそのトークンを保有していると思われる)。

一方、匿名を条件に語った人の中には、Ethereumよりも拡張性の高いブロックチェーンに対する、開発者のメリットやニーズは理解しているし、Solanaがその市場に対する1つの候補であるとは考えているものの、Solanaの長期的な価値を証明するためには、開発者の認知度を高める必要があり、まだそこまでには至っていないという意見もあった。Solanaによれば、現在、608人のバリデーターがSolanaネットワークの運営を支え、47種の分散型アプリケーション(dApps)がSolanaを利用している。一方、2020年12月下旬の時点では、3万3700人のアクティブなバリデーターが「Eth 2.0」の運営に寄与し、2月の時点では3000種類のdappsがEthereumブロックチェーン上で稼働していると報告されている。

公平を期するなら、Ethereumのネットワークは2015年に稼働したので、Solanaよりも3年先行している。その一方で、Solanaには独自のリードがあるとヤコヴェンコ氏はいう。彼はサンフランシスコに拠点を置き、Qualcommの元同僚を多数含む、50人の社員からなる分散型チームを編成している。プルーフオブヒストリーを採用している他のプロジェクトについて尋ねてみたところ、彼はこれが「すべてオープンソース」で「誰でも採用できる」が「最大の競合他社たちがシステムを作り直してこれを使おうと言っているわけではありません」と答えた。

そうである理由は、ほとんど笑ってしまうほど複雑だからだ。「このようなシステムを構築するには大変な労力が必要です」とヤコヴェンコ氏はいう。「新しいレイヤーを作るには2〜3年かかりますし、あるレイヤーのためのアイデアをまた別のレイヤーに詰め込むことはできないのです。そのようなことをしようとすると、最低でも6カ月から9カ月は遅れることになり、バグや脆弱性が入り込む可能性があります」という。いずれにせよ「verifiable delay function(VDF、検証可能な遅延関数)を時間のソースとして使用して、プルーフオブヒストリーを本気で構築しているのは私たちだけです」と彼は付け加える。

ともあれ、自身が120億ドル(約1兆3000億円)の時価総額を持つSolanaは、あらゆる面でEthereumや他の暗号資産と競合することには興味がないとヤコヴェンコ氏は示唆する。しかし、たとえ彼が口にしてはいないとしても、本当に望んでいるのは、ウォール街やその他の世界の市場をディスラプトすることだ。

彼はそれが、とんでもない話に聞こえることを知っている。しかし、Solanaが構築しているのは、ニューヨーク証券取引所やその他の取引決済手段よりも優れた「オープンで、フェアで、検閲のないグローバルな市場」であると彼は考えているのだ。確かにこれは、あの日カフェで思い描いていた彼の想像をはるかに超える大きなチャンスだ。先に彼が話したように「このシステムを、ひたすら速くするために私たちが行っていることはすべて、この検閲抵抗性の向上、つまりより良い市場の創出につながります。そして私は、価格発見(price discovery)こそが、分散型パブリックネットワークの決定的なユースケースであると考えています。私たちは世界の価格発見エンジンになれるでしょうか?それは興味深い問いかけです」。

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現在、暗号資産の価格が乱高下していることを指摘し、彼は「その原因の一部は、開発者や人々がこのネットワークを発見し、その上でクールなアプリケーションを構築しているからではないか」と考えているという。人々が「自力で、市場に出したいものを作れるようになれば」とてもすばらしい、と彼は付け加える。「これは、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)やVisa(ビザ)などの従来の企業に対抗する、分散型ネットワークの秘密兵器なのです。このような大企業は、好きな時に集まってコードを書けるグローバルなエンジニア集団のように、迅速な繰り返し行動をすることはできません」。

彼はQualcommでも同じような動きを見たことがある。「大企業で働いていると、膨大なリソースがあるように見えますよね?何でも成し遂げられそうな気がします。でも、大企業の人たちが独自OSの上で仕事をしている一方で、Linux(リナックス)勢がとにかく楽しさ第1で働いているのを私たちは目撃しましたよね?夜な夜なOSのコーディングをしたり、週末にコーディングをしたりと、まるでそれは皆の奇妙な趣味のように思えました。なのにある日突然、LinuxがAndroid(アンドロイド)の用の標準モバイルOSになったのです」。

Solanaについてもっと知りたい場合は、近日中にポッドキャストでヤコヴェンコ氏との長い対談をお届けする予定だ。一方Decrypt(デクリプト)は米国時間5月15日「What is Solana?」と題した解説記事を公開している

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:SolanaEthereum暗号資産dApps

画像クレジット:Solana

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(文:Connie Loizos、翻訳:sako)