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オーストリアのBitpandaが取引プラットフォームを暗号通貨以外にも拡大、約185億円調達し評価額約1310億円に」

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暗号資産の取引プラットフォームを運営する欧州の大規模なスタートアップの1つが、急速な成長に続き大型の資金調達ラウンドを完了し、そのプラットフォームをより多様な種類の資産に開放することを計画している。

Bitpanda(ビットパンダ)は「Neobroker(ネオブローカー)」としても知られるが、ビットコインなどのデジタル資産だけでなく、金や関心が集まる従来の株式にも一般の人々が簡単に投資できるようにすることを目指している。今回、同社はシリーズBのラウンドで1億7000万ドル(約185億円)を調達し、評価額を12億ドル(約1310億円)に引き上げた。オーストリアのウィーンを拠点とするビットパンダは、このエクイティラウンドにより、同国初の「ユニコーン」、つまり評価額10億ドル(約1090億円)を突破した最初のスタートアップになったという。

Paul Klanschek(ポール・クランシェク)氏、Christian Trummer(クリスチャン・トランマー)氏とともにビットパンダを設立したCEOのEric Demuth(エリック・デムート)氏は「当社は単なる暗号資産ブローカーではなく、総合的な投資プラットフォームへとシフトしている」と述べる。ビットパンダはこれまで、図らずも未開拓の市場である欧州の投資家を中心としたプラットフォームの構築に力を注いできた。「EUでは、株式を保有している人は恐らく人口の10%にも満たないだろう。当社の成長は、そのことと密接に関係している」と同氏は続ける。

ビットパンダは、オーストリアの他、フランス、スペイン、トルコ、イタリア、ポーランドでサービスを提供しており、2021年中にマドリード、バルセロナ、ロンドン、パリ、ベルリンに拠点を設け、さらに市場を拡大する予定だ。また、同社によると、2021年4月には、ETFへの投資や、少額の資金で好きな銘柄に投資できる「フラクショナル」トレードなどの新しい投資オプションも追加される予定だという。

とはいえ、現在、このプラットフォームが提供しているほとんどのサービスは暗号資産に関するもので、その中でもBitcoin(ビットコイン)の取引は他のデジタル通貨をはるかに上回っている。

今回のラウンドは、Peter Thiel(ピーター・ティール)氏が支援するファンドのValar Ventures(バラー・ベンチャーズ)が主導し、Yuri Milner(ユーリ・ミルナー)氏のファンドであるDST Global(DSTグローバル、)の匿名のパートナーも参加している。両社は、暗号資産スタートアップへ巨額の出資をすることでも名を馳せている。バラーはまた、ビットパンダと同様に、より多くの人が取引に参加して利益を得られるようなプラットフォームとして位置づけられている、Robinhood(ロビンフッド)にも投資している。最近では、2021年3月初旬、暗号資産トレーダーに融資などの金融サービスを提供するBlockFi(ブロックファイ)の3億5000万ドル(約382億円)のラウンドに共同で投資している。

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DSTのビットパンダへの出資は今回が初めてだが、バラーはわずか6カ月前にもビットパンダの5200万ドル(約57億円)のシリーズAラウンドを主導している。デムート氏とクランシェク氏は、それ以来、同社の業績が(ビットコインの価格そのものとは異なり)飛躍的に伸びたと話している。

クランシェク氏によると、収益や顧客数などのKPIは「約10倍になっている」とのことで、前回のラウンドから今回までの間に、プラットフォームのユーザーは約70万人増えている。

クランシェク氏は「まもなく、2021年の最初の数カ月間の収益が1億ユーロ(約129億円)を超えるだろう」とし、年率換算すると約3億~4億ユーロ(約388~517億円)になるという。同社の取引の大半は個人向けだが、個人投資家だけに重点を置いているわけではない。2020年9月の時点では、企業向けの「Pro」層の取引量は、1日あたり200万ドル(約2億2000万円)だったが、現在では、2500万ドル(約27億円)を超えている。

ビットパンダの熱狂的な成長は、金融取引の世界におけるさらに大きなトレンドに乗ったものだ。新型コロナウイルス感染症パンデミックの副産物の1つとして、消費者が自分の個人的な金融資産に関心を持つようになっている。

金利が低下し、仕事の先行きが不透明になり、自分のお金をより有効に活用するためのアプリが多数登場し、暗号資産のおかげでまったく新しい投資講座が開かれ、そして大事なことを言い忘れていたが、ソーシャルメディアという強大な力がコンセプトを広めたことで、人々はより幅広い資産運用に手を出している。そこには、銀行での預金や確定拠出年金などでの積立以上のことをしたことがない人も含まれる。

ビットパンダは2020年、その波に乗るために、資金調達をより積極的に進めるという決断をした。

「当社は4年前から利益を上げている。しかし、2020年9月に戦略を変更し、欧州全体の投資プラットフォームになりたいと考えた」とデムート氏は語り、そして「より多くの優秀な人材を確保するため、より多くのパートナーと資金が必要だった。そのために、2020年にシリーズAを行った。そしてこの2カ月間、投資家らに『勢いがあるように見えるが、どう思うか』と尋ねた。すると投資家らは、『我々も参加する。説明会の必要はない。我々がサポートする。知り合いにも声をかけよう、彼らも参加するはずだ』と言ってくれた」と続ける。

暗号資産をめぐっては、大々的に宣伝が行われているが、広い意味ではまだ主に目新しさによる現象であり、投資の主流になるにはほど遠く、ほとんどの人が仕組みを知らない状態だ。皮肉なことに、これはほとんどの人から見れば株式市場と大して変わらない。しかし最近の違いは、ロビンフッド、Square Cash(スクエアキャッシュ)、ビットパンダなどのアプリが、実際にシステムでお金を取り扱ったり少額の資金から始められるようにしたりすることで、参入障壁を低くし、暗号資産やその他の取引をより簡単に行えるようにしていることだ。

暗号資産が長期的に利益を生むかどうかとは別に、全財産を賭けるとは言わないまでも、少なくとも分散投資の一部となれば、大衆に受け入れられ、人々が資産を管理するうえで大きなプロセスの一部になっていくだろう。

このような新規参入トレーダーからの搾取を狙ってソーシャルメディア上で誇大広告を繰り広げる悪徳業者や、新しい取引システムが及ぼす影響を規制当局が十分に監視するにはまだ長い道のりがあるという事実をないがしろにはできない。しかし、こういったことは、組織や個人が資金や資産をより活用できる興味深い未来と長期的な機会を示している(NFTは、投資のために資産や価値を構築する方法という根本的に逆の例だ)。

「今日の金融の世界では、すべてがつながっている」とクランシェク氏は述べ「2020年3月の新型コロナウイルス感染症の株価暴落の後、ビットパンダは大きく成長した」と続ける。当時、暗号資産は下落し「関心は高いが価格は非常に低い」状態たった。しかし、預金口座など従来型の消極的な資産運用が何の利益ももたらさない中「最終的には、暗号資産が独自の金融資産、独自のカテゴリーとして確立され、金融市場に大きな関心が向けられるようになった」と同氏は付け加える。

その中でも人々の関心を引くプラットフォームがいくつか台頭してきているが、欧州においてビットパンダが選ばれるペースは、現地の投資家を魅了している。

「2020年9月の取締役会に参加して以来、エリック、ポール、そしてチームの仕事に感銘を受け続けている。パンデミックがもたらしたポジティブな変化の1つは、個人の金融への関心の高まりだった。ビットパンダは、幅広いサービスを提供し、初心者の個人投資家にも分かりやすく投資を説明することに取り組んでいるため、このトレンドに乗る最適なポジションにいる」とバラー・ベンチャーズの創業パートナーであるJames Fitzgerald(ジェームズ・フィッツジェラルド)氏は、声明の中で述べ「わずか6カ月で70万人以上の新規ユーザーを獲得したことで、人々がこのプラットフォームへのアクセスを望んでいることがわかった。欧州のすべての投資家にビットパンダを提供できることに胸が躍る」と語った。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Bitpanda資金調達ユニコーン暗号資産オーストリア

画像クレジット:Chan2545 / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)