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長い歴史を持つ自律走行車用レーダーの機能向上を目指すOculiiが60億円調達

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自律走行車は周囲の認識するために多くのセンサーを搭載している。カメラやLiDAR(ライダー)が注目されている一方で、歴史の長いレーダーも重要な要素であるが、いくつかの制約がある。5500万ドル(約60億円)の資金調達を完了したOculiiは、既存のデバイスにスマートなソフトウェアを提供してこれらの制約を最小限に抑え、レーダーを今まで以上に高性能にすることを目指している。同社は自社で販売も行っている。

レーダーの利点は、広い探知範囲と、雨粒や雪、霧などを通過できる高周波ビームにあり、これは悪天候時の環境認識には欠かせない。というのも、LiDARや一般の可視光カメラでは、このような状況にまったく歯が立たず、バックアップが必要だからだ。

レーダーの最大の欠点は、波長とアンテナという仕組みでは、LiDARのように詳細な画像を得ることができない点にある。詳細な形状がわからないとはいえ、非常に正確な位置情報を得ることができるのは、センサー群の中でもずば抜けた機能だが、他のセンサーで詳細な形状を補うことができれば、レーダーはより優れたセンサーとなる。

まさにこれがOculiiの目的、すなわち通常のレーダーの機能を飛躍的に向上させることだ。Oculiiは、システムの制御をソフトウェアに任せることで、空間分解能を100倍に向上させたと主張する。共同設立者かつCEOのSteven Hong(スティーブン・ホン)は、メールで次のように説明する。「標準的なレーダーは120度の視野に対して空間分解能は10度。左右の狭い範囲で物体の位置を正確に知ることができますが、物体の高度を知ることはほとんどできません」。

もっと良い性能のものもあれば悪いものもあるが、この例では実質12×1の解像度になり、まったく不十分だ。

しかし、Oculiiシステムが制御することで、すでに認識しているものに基づいてトランスミッションが適切に調整され、水平0.5度×垂直1度解像度が上がり、実効的な解像度は120×10になる(これらの数字は説明のためのものであり、実際のシステムのものではない)。

これは非常に大きな進歩で、例えば近接する2つの物体が1つの大きな物体ではないことや、ある物体が近くにある他の物体よりも小さいこと、さらに計算することで、レーダーユニットに対してどのような速度で片方が移動し、もう片方が別の方向に移動していることなどを確認できるようになる。

この仕組みはOculiiの企業秘密の一部であり、ホン氏はこのシステムがどのように機能するかについてはあまり詳しく説明していないが「Oculiiのセンサーは、人工知能(AI)を使って環境に適応したインテリジェントな波形を最適化して生成し、解像度を大幅に向上させる時間的な情報を埋め込んでいます」と書いている(なお、時間的な情報が統合されることで「4D」というあだ名が付けられた)。

自律走行車メーカーは、車両に搭載するセンサーの標準セットをまだ決定していないが、Oculiiのセンサーのようなものがあれば、レーダーはもっと重要になる。レーダーには制約があるのでフロントの急ブレーキ検知などにしか利用されていないが、より詳細なデータが得られれば、自律走行車の意思決定システムにおいて、レーダーが果たす役割は大きくなるだろう。

Oculiiは一次サプライヤーやOEMメーカーと確実な取引を行っている。そのうちの1社、Hella(ヘラー)は投資家でもあり、Oculiiのアプローチに自信を持っている。Oculiiはレーダーメーカーとも連携し、2024~2025年のスケジュールで複数の商業契約を締結している。

画像クレジット:Oculii

Oculiiは、ハードウェアとソフトウェアの相乗効果を狙って、独自のオールインワンレーダーユニットの開発にも取り組んでいる。Oculiiは世界最高解像度のレーダーだと主張し、これに反論する競合他社はないようだ。結局のところ、レーダーは解像度ではなく、測距や速度検出の精度で勝ち負けが決まる。

例外を挙げるとすれば、Echodyne(エコーダイン)のレーダーは、レーダービームをカスタマイズして視野内のどこにでも向けることができ、メタマテリアルのレーダーサーフェスを使用して、対象物を詳細に調べたり、全体をすばやくスキャンしたりすることができる。しかし、その「解像度」を見積もるのは容易ではない。

いずれにしても、自律走行実験や運転支援システムの実用化のために最先端のセンシング技術をまとめようとしているメーカーにとっては、Oculiiの新型レーダー「Eagle(イーグル)」や「Falcon(ファルコン)」は魅力的だろう。

レーダーは自律走行車やロボット、航空機などの主要な構成要素になると考えられることから、投資を真剣に検討する価値があることは明らかだ。今回の5500万ドルのシリーズB資金調達ラウンドは、そのことを十分に証明している。Oculiiのプレスリリースによると「Catapult Ventures(カタパルトベンチャーズ)とConductive Ventures(コンダクティブベンチャーズ)が共同で主導し、Taiwania Capital(タイワニアキャピタル)、Susquehanna Investment Group(SIG、サスケハナ・インベストメントグループ)、HELLA Ventures(ヘラーベンチャーズ)、PHI-Zoyi Capital(ファイゾイキャピタル)、R7 Partners(アールセブンパートナーズ)、VectoIQ(ベクトアイキュー)、ACVC Partners(エーシーブイシーパートナーズ)、Mesh Ventures(メッシュベンチャーズ)、Schox Ventures(ショックスベンチャーズ)、Signature Bank(シグネチャーバンク)が参加した」とのことだ。

この資金は同社の今後の規模拡大と雇用、さらにホン氏が記したように「自律的な未来を加速させる、より高解像度、より長距離、よりコンパクトで安価なセンサーを実現する技術への継続的な投資」を可能にする。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:自律運転Oculii資金調達レーダー人工知能

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)