カーボンオフセットの透明性を高めるSylveraがIndex Venturesからシード資金を獲得

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英国を拠点とするスタートアップのSylvera(シルベラ)は、カーボンオフセットプロジェクトの透明性を高めるため、衛星、レーダー、LiDARデータを駆使した機械学習を利用し、責任と信頼性を付与しようとしている。その上で、カーボンオフセットプロジェクトを独立の立場から格付けする。

同社の格付けは、UCLA、NASA Jet Propulsion Laboratory、University College Londonなどの研究機関の科学者と共同で開発した独自のデータセットに基づいている。

SylveraはベンチャーキャピタルのIndex Venturesがリードしたシードラウンドで580万ドル(約6億3800万円)を得たばかりだ。既存のすべての機関投資家、すなわちSeedcamp、Speedinvest、Reventも参加した。また、ニューヨーク証券取引所、トムソンロイター、シティバンク、IHS Markitなどの現役または元CEOを含む一流のエンジェルも投資している(同社は、従来の炭素集約型企業からの投資は受け付けないとの約束を認めている)。つい最近は、Innovate UKから200万ドル(約2億2000万円)の研究契約を獲得した。

同社が狙いを定める課題は、カーボンオフセット市場が抱える透明性の欠如という悩みだ。

透明性の欠如が次のような懸念に拍車をかけている。つまり、多くのオフセットプロジェクトが炭素排出量を純額で削減しているという主張は額面通りに受け取れないのではないか、そして「創造的」な炭素会計が大きな嘘を生み出すために利用されているのではないのかということだ。美しいPRのかたちをとってはいるが、実は気候を変動させる排出を続ける者が、無意味な「グリーンウォッシング」とさらに多くの汚染を生み出す結果に終わっている。

にもかかわらず、大企業がネットゼロのコミットメントを加速させており、カーボンオフセット市場は2030年までに少なくとも15倍という巨大な成長を実現する見込みだ。Sylveraは、インパクトに関する主張をサポートするための信頼性のある独立したデータへの需要が増える、という可能性に賭けている。

Sylveraのベンチマークカーボンオフセットは実際にはどういうものなのか。共同創業者のSam Gill(サム・ギル)氏によると、同社のテクノロジープラットフォームは、衛星データの複数のレイヤーを利用して、プロジェクトのパフォーマンスデータを大規模かつ高頻度で捉えるという。

同社は機械学習を使ってデータを分析および視覚化すると同時に「対象となるプロジェクトの質を評価するための詳細な分析作業」と同社が呼ぶものを行っている。このプロセスによってプロジェクトを標準化された方法で格付けするため、市場参加者は好みに応じて取引を行うことができる。

同社のウェブアプリケーションとAPI(それらに対して同社はサブスクリプションフィーを請求する)により、顧客は格付けと分析データを利用できる。

「私たちはプロジェクトの2つの重要な領域、カーボンパフォーマンスとその『質』を評価します」とギル氏はTechCrunchに語った。「私たちはこれらの基準に照らしてプロジェクトを採点し、格付けを付与します。債券に対するムーディーズの格付けとよく似ています」。

カーボンパフォーマンスは、マルチスペクトル画像、レーダー、LiDARデータなどの複数の衛星ソースによりプロジェクトの現場で何が起こっているかを理解し、複数のソースから「多層データ」を収集して評価する。

「私たちはデータを時間をかけて比較検討し、独自の機械学習アルゴリズムに取り込みます。そして、プロジェクトが明示する目的に対して実績はどうだったか分析します」とギル氏は説明する。

プロジェクトの質は技術的側面を考慮して評価する。これにはギル氏が「追加性」と呼ぶものが含まれる。つまり「プロジェクトには、オフセットによる収益があったからこそより良い結果をもたらした、という強い主張があるだろうか」というものだ。

例えば知られている問題として、土地所有者がそもそも伐採するつもりがなかった森林に対してカーボンオフセットの主張がなされることがある。伐採が行われる予定がなかったとしたら、根本的にその炭素クレジットは偽物なのだ。

同氏はまた、永続性(プロジェクトの影響はどのくらい続くのか)、共通の利益(プロジェクトは国連の持続可能な開発目標をどの程度うまく取り入れているか)、リスク(プロジェクトはリスク、特に人間がもたらすリスクと自然原因によるリスクをどの程度軽減しているか)などの要因にも注目しているという。

明らかにこれは、正確には科学とは言えない。例えばギル氏はリスクがしばしば相互に関連していると認める。

「これらのパフォーマンスと質を同時に評価することが重要です」と同氏はTechCrunchに語った。「プロジェクトが計画に定められた炭素目標を達成していると単純にいうだけでは不十分です」。

「プロジェクトの追加性が低い場合(例えばプロジェクトがなければ森林が伐採された可能性は実際には低かった)、プロジェクトで設定された炭素目標は、見込んでいたような炭素目標を達成せず、それによるオフセットは実際の評価よりも弱い」。

Index VenturesのパートナーであるCarlos Gonzalez-Cadenas(カルロス・ゴンザレス・カデナス)氏は、声明でシード資金について次のようにコメントした。「Sylveraは、最初のカーボンオフセット評価ベンチマークを構築するというビジョンを持った驚くほど強力なチームであり、オフセットの質に関する包括的な洞察を提供し、購入の決定と購入後の監視と報告を可能にします。同社は、気候変動に対処するために必要となる『建築資材』を導入しようとしています」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:イギリスカーボンオフセットSylvera資金調達炭素

画像クレジット:Roine Magnusson/DigitalVision

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi