【コラム】暗号資産とブロックチェーンは問題を受け入れてサステナビリティを牽引するべきだ

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編集部注:本稿の著者Monica Long(モニカ・ロング)氏はRippleXのGM。

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Bitcoin(ビットコイン)が史上最高値を記録し、暗号資産(仮想通貨)が主流になりつつある中、この業界の二酸化炭素排出量増加が見過ごせない問題になっている。

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は先週、Tesla(テスラ)はBitcoinによる車両の販売を中止すると発表し、Bitcoinマイニングに使われる化石燃料の環境への影響が理由だとした。我々この決断を称賛する。状況の深刻さに一石を投じるもるだ。業界は暗号化の持続可能性に取り組むべきであり、さもなければ暗号化技術の革新の発展を阻害する恐れがある。

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米国時間5月16日、Bitcoinの時価総額は1兆ドル(約109兆苑)というとてつもない額に達した。PayPal(ペイパル)、Visa(ビザ)、Square(スクエア)といった会社が揃って数億ドル(数百億円)を暗号化に投資している現在、この市場に参加する者は業界全体の環境への影響を劇的に減少させる行動を先導する必要がある。

暗号化の需要の高まりは、マイニング従事者の競争が激化し、使用エネルギー量が増加することを意味している。例えば2021年2月後半にBitcoinの電力消費量は163%増えて、256 TWhから433 TWhになった。Bitcoin価格が急騰した結果だ。

サステナビリティ(持続可能性)は世界各国のリーダーにとって喫緊の課題となっている。バイデン政権のパリ協定再加入は、これに関わる最初の動きであり、最近国と州のいくつかの機関は、地球気候変動危機への取り組みの意欲を示す声明を発表している。

ニューヨーク州で提起された法案は、暗号マイニングセンターの運用を、州がその環境影響の全貌を評価するまで禁止することを目的としている。2021年米国証券取引委員会(SEC)は、気候変動情報開示に関するパブリックコメントを募集し、この問題に対する企業の取り組みを知りたいと考える株主の要求に答えようとしている。一方、Janet Yellen(ジャネット・イエレン)財務長官は、Bitcoinの処理のエネルギー消費量は膨大であると警告した。英国は、温室効果ガスの排出量を2030年までに68%以上削減する計画を発表し、2020年同国の首相はグリーン産業革命の野心的計画をスタートさせた。

暗号資産が生活に浸透していることは、すでに議論の余地がなく、企業や消費者に現実世界の利益を供与している。例えば早くて信頼性の高い安価な取引をかつてない透明性で実現している。しかし業界が成熟するにつれ、サステナビリティが中核に据えられなければならない。今すぐ持続可能なエコシステムを構築する方が、成長段階の後期に「リバースエンジニア」するよりも簡単だ。暗号資産市場にいる人々は、自動車業界を炭鉱のカナリアと見るべきだ。自動車メーカーは低炭素やカーボンニュートラルのソリューションを後付するために莫大なコストと不便を強いられている。

市場参加者は、クリーンで再生可能なエネルギーを使用した低排出量の未来を実現するために、積極的に協力しなければならない。2021年4月、Crypto Climate Accord(CCA、暗号資産気候協定)が40を超える支持者とともに発足し、Ripple(リップル)、World Economic Forum(世界経済フォーラム)、Energy Web Foundation(EWF、エナジー・ウェブ・ファウンデーション)、Rocky Mountain Institute(ロッキーマウンテン研究所)、ConsenSys(コンセンシス)らが参加して、全世界のブロックチェーンを2025年までに100%再生可能エネルギーでまかなうことを目標に掲げている。

一部の参加者は再生可能エネルギーによるソリューションを模索しているが、業界全体の道のりはまだ長い。マイナー(採掘者)の76%は自分の作業に再生可能エネルギーを使用していると言明しているが、マイニングに使われているエネルギー消費のうち再生可能エネルギーは39%しかない。意味のある影響を与えるためには、業界はオープンで透明性のある標準を定めて再生可能エネルギーの利用を測定するとともに、マイナーのために手に入りやすくて安価な再生可能エネルギーを提供する必要がある。CCAはすでにそんな標準化作業を進めている。企業はさらに、残った排出量について高品質なオフセットを購入すべきであり、おそらくそれは歴史的な規模になるだろう。

業界が長期的なサステナビリティを目指して努力を進めている間にも、今すぐ選べるグリーンなソリューションがあり、すでに実行している企業もある。フィンテックのStripe(ストライプ)は、同社の顧客やパートナーが持続可能性を高めることを推奨するカーボン再生プログラムを立ち上げた。

企業はEnergy Web FoundationやRenewable Energy Business Alliance(REBA、再生可能ビジネスアライアンス)などの組織と提携すれば、(どんな)ブロックチェーンでも脱炭素することができる。再生可能エネルギー源や高品質なカーボンオフセットを利用したい人のための 情報源も用意されている。他に、本質的に低炭素な技術を使う方法もある。たとえばXRP Ledger(XRPレジャー)は、proof-of-work(プルーフ・オブ・ワーク、これにマイニングが必要)に依存しないため、ブロックチェーンと暗号資産の炭素排出を著しく削減できる。

XPR Ledgerはカーボンニュートラルであり、Federated Consensus(フェデレーテッドコンセンサス)と呼ばれる、プルーフ・オブ・ワークよりも約12万倍エネルギー効率の高い検証・セキュリティ・プロセスを使っている。Ethereum(イーサリアム)は世界第2位のブロックチェーンで、プルーフ・オブ・ワークから、ずっとエネルギー集約度の低いプルーフ・オブ・ステークと呼ばれる検証メカニズムへと移行している。プルーフ・オブ・ワーク・システムは意図的に非効率に作られており、その結果、人より先んずるためには常に多くのエネルギーが必要になる。

気候変動の壊滅的影響はただならぬ速さで進行している。問題を否定するのはもちろん、サステナビリティに対して野心的誓約を立てるだけでも十分ではない。パリ協定と同じように、業界には真の目標、集団行動、イノベーション、および説明責任の共有が必要だ。

良い知らせもある。ソリューションは実用的で、マーケット主導で、全員にとっての価値と成長を生み出すものになる可能性がある。気候変動擁護派やクリーン技術の業界リーダーや世界金融の意思決定者とともに、暗号化業界は一体となって、ブロックチェーンをグリーンなデジタルファイナンスの未来をつくる最も持続可能な方法に位置づけることができるだろう。

カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:暗号資産二酸化炭素マイニングサステナビリティRippleBitcoin再生可能エネルギーコラム

画像クレジット:Chonticha Vatpongpee / EyeEm / Getty Images

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(文:Monica Long、翻訳:Nob Takahashi / facebook