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オスロのVC6社に聞く2021年のスタートアップ界の近況と展望

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最大1億円をシード期スタートアップに投資、UTECが自由応募型事業化支援プログラムを開設・募集開始

北欧諸国の人口が欧州全体に占める割合はわずか4%にすぎないが、ベンチャーキャピタルの投資額ではかなりの部分を占めている。

とはいえ、ノルウェーのVCコミュニティはここしばらく活気がない。産油国であるノルウェーは、莫大な石油収入を、世界でも有数の規模を持つ同国の政府系ファンドと大規模な社会支援体制につぎ込んでいる。悪いことではないが、結果として「ハングリー」なテック起業家はほとんど見られない。

とりわけNorthzone(ノースゾーン)やCreandum(クレーンダム)といった有名VCがSpotify(スポッティファイ)やKlarna(クラーナ)などに初期から投資して成功を収めたことにより、ノルウェーは欧州の他のテックハブに追いつきつつある。今回TechCrunchが行ったアンケートの回答者は、特にコマース、ブロックチェーンと暗号資産、ヘルステック、エネルギー、モビリティ、気候関連産業といったトレンドに注目しているようだ。

注目を集めた投資にはFairown(フェアオウン)、Kahoot(カホート)、Spacemaker(スペースメーカー)、Cognite(コグナイト)、Pexip(ペクシプ)、PortalOne(ポータルワン)、Dignio(ディグニオ)、Speiz(スペイズ)、Plaace(プラーセ)、Glint Solar(グリント・ソーラー)、variable.co(バリアブル)、Nomono(ノモノ)がある。地元の投資家はファンドの50~90%を地元のスタートアップに投資しているが「全北欧諸国の案件を調査している」と回答したVCもあった。

今後は、企業、マスコミ、政府がメンタルヘルスとウェルネスをもっと重視するようになることが望まれている。また、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の普及、ビットコイン価格の上昇、米国の大統領選の結果を喜ぶ声も多かった。

回復の兆しは、投資先企業の収益増加、エグジット、IPOに表れている。ある投資家は、ノルウェーが「メジャーなハブになりつつあり、最近ではスケールアップ企業や国際資本が入ってくるスピードがずいぶんと速くなっている」と述べた。

今回は、以下のVC関係者がTechCrunchの取材に応じてくれた。

  • Sean Percival(ショーン・パーシバル)氏、Spring Capital(スプリング・キャピタル)、マネージングパートナー
  • Espen Malmo(エスペン・マルモ)氏、Skyfall Ventures(スカイフォール・ベンチャーズ)、創業パートナー
  • Kjetil Holmefjord(チェーティル・ホルムフュルド)氏、StartupLab(スタートアップラボ)、パートナー
  • Anne Solhaug Tutar(アンネ・ソルハウグ・チューター)氏、Antler(アントラー)、パートナー
  • Daniel Holth Larsen(ダニエル・ホルス・ラーセン)氏、Investinor(インベスティナー)、プリンシパル
  • Magne Uppman(マグネ・ウップマン)氏、SNÖ Ventures(SNÖベンチャーズ)、マネージングパートナー

Sean Percival(ショーン・パーシバル)氏、Spring Capital(スプリング・キャピタル)、マネージングパートナー

通常、どのようなトレンドに投資するときが、最もワクワクしますか。

eコマース。

最近、最もエキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

Fairown(フェアオウン)。

特定の業界で「こんなスタートアップがあったらいいのに」と考えることはありますか。現在、見過ごされていると感じるチャンスはありますか。

Martech。

次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

コロナ禍に耐えられるだけでなく、コロナ時代にも伸びるサービスかどうかを検討します。

新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

ノルウェーでは、サステナビリティ系の企業が難しいと思います。優れた着想は多いのですが、今のところ収益の伸びを実証できたところはほとんどありません。

御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

50%がノルウェー、50%が北欧とバルト諸国です。

御社が本拠とする都市やその周辺地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業界、または適していないと思われる業界は何ですか。御社のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

ノルウェーではビデオテックがよくやっていると思います。

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

B2Bが強く、B2Cは弱いです。SDGが非常に注目されています。

今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増し、パンデミックや先行きへの不安、リモートワークが持つ魅力のために、スタートアップハブから人が流出する可能性があると思いますか。

ノルウェーの状況はそれほどひどくないので、オスロから人が流出することも限定的でしょう。この国で起業するには、依然としてオスロがベストの場所です。ただ、私個人は小さな村に引っ越しました。再びオスロに引っ越すことはおそらくないと思います。

御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス慣行の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはありますか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような未曾有の時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

ノルウェーのeコマースはコロナ後に向けて活況を呈しつつあります。以前はあまり活気がありませんでした。

新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も懸念していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

当社の投資先はSaaSが中心で、この危機をうまく切り抜けています。つまり、当社投資先の創業者は、大抵の場合チャーンレート(解約率)とバーンレート(資金燃焼率)を低く抑えて生き残っている、ということです。

御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

一部のケースでは回復の兆しが見られます。当社投資先のeコマースSaaS企業や、最近行ったビットコイン交換所(MiraiEx)への投資がその良い例です。

この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

ビットコイン相場の上昇と新しいオープンバンキングソリューションは、世界の金融エンジンがまだ力強く前進していることを示しています。いろいろなシステムが以前よりスムーズに構築されるようになっています。当社は、まだ外部の人には認知されていない、時代を動かす力を持つ人たちに注目したいと考えています。Iterate(イテレート)は目立ちませんが、優れた起業支援企業です。同社はつい最近Porterbuddy(ポーターバディ)という会社に投資して売却に成功し、大きな成功をつかみました。

TechCrunchの読者のみなさんに何か伝えたいことはありますか。

ノルウェーは、最近になってスケールアップと国際資本の流入が加速してきたおかげで、ゆっくりと主要なハブになりつつあります。ちなみに、最近の例としては、Softbank(ソフトバンク)やFounders(ファウンダーズ)などのファンドからの投資案件があります。

Espen Malmo(エスペン・マルモ)氏、Skyfall Ventures(スカイフォール・ベンチャーズ)、創業パートナー

通常、どのようなトレンドに投資するときが、最もワクワクしますか。

スカイフォールが重点を置いているのは、繰り返し発生するソフトウェア収益が見込めるソフトウェア企業、マーケットプレイス、ハードウェア企業です。ブロックチェーンと暗号資産分野には非常に期待しています。当社のチームは暗号資産分野に2012年から関わり、投資してきましたから、この業界を長く楽しんできたと言えます。このセクターでは2つのすばらしい企業に投資しています。ブロックチェーン解析ツールであるNansen.ai(ナンセン)、および暗号資産交換所のMiraiEx(ミライエックス)です。組み込みコマースとソーシャルコマースもお気に入りの分野であり、今後数年にeコマースのさらに独立したロングテールを促進してくれると思います。当社投資先のOutshifter(アウトシフター)はこのトレンドをうまく生かしています。

最近、最もエキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

どの投資もエキサイティングなので、お気に入りを選ぶのは難しいのですが、Nomono(ノモノ)は非常に楽しみな企業ですね。同社は、録音した音声とオーディオ空間をキャプチャしてインテリジェントに処理するソフトウェアとハードウェアを提供しています。ポッドキャスト制作者は録音した音声をボタン1つで編集でき、まるでポケットサイズのデジタルオーディオ技術者を手に入れたような気分になれます。

特定の業界で「こんなスタートアップがあったらいいのに」と考えることはありますか。現在、見過ごされていると感じるチャンスはありますか。

見過ごされている業種をピンポイントで見つけて分類するのはとても難しいですね。ノルウェーでは生命情報学がいくらか見過ごされていると思うのですが、世界的に見過ごされているとは思いません。また、純粋なB2B SaaSに重点を置いているVCが多いため、ハードウェアソリューションや、収益が小刻みに発生するビジネスモデルでの資金調達が必要以上に難しくなっていると思います。実は、ハードウェアによる収益と繰り返し発生するソフトウェアの収益を組み合わせれば、注文価格の高さと囲い込み効果の高さによって並外れた成果を上げることが可能です。

次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

変化の機が熟した市場で、大きな問題を解決できる強力な技術を持つ創業者に投資します。通常は、ソリューションのプロトタイプかベータ版がすでにあり、市場でも初期のトラクションが見られることが望ましいです。

新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

マイクロモビリティと遠隔医療分野は現在かなり飽和状態にあるようですし、これらのセクターにおける今の市場リーダーがそのまま勝者になると思います。このタイミングで新しいスタートアップがこのスペースに入り込むのは非常に難しいでしょう。

御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

北欧全体への投資を任されてはいますが、ノルウェーのプレシード・シード向けファンドとして重点はノルウェーに置いていますし、市場への理解、ネットワーク、ブランドといった強みもノルウェーにあります。そのため、ノルウェーが50%以上を占めていますが、全北欧諸国の案件の流れにも注意しています。

御社が本拠とする都市やその周辺地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業界、または適していないと思われる業界は何ですか。御社のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

ノルウェーはビデオ会議とオーディオ業界で目覚ましい業績を残してきました。Cisco(シスコ)が世界トップレベルのビデオ会議企業だったTandberg(タンベルグ)を2010年に33億ドル(約3600億円)で買収した後、ビデオバレー(オスロ近郊のリーサケー地区)からは同分野で成功する企業が数多く出現してきました。例えば、Acano(アカノ、シスコが7億ドル[約765億円]で買収)、Pexip(ペクシプ、IPOを実現し時価評価額は14億ドル[約1530億円])、Huddly(ハドリー、IPOを実現し時価評価額は5億ドル[約545億円])などがあります。当社の投資先のうちノモノとOivi(オイヴィ)は、両社ともビデオバレー企業での成功経験を持つ連続起業家により設立されています。また、ノルウェーは現在のところ人口1人あたりの電気自動車台数でトップを走っており、今では新車購入台数の50%以上が電気自動車です。つまり、ノルウェーはEV革命の波に乗るスタートアップが実力を発揮できる場所であり、全般的なグリーン革命についてもそうです。EV向けホーム充電装置のEasee(イージー)は注目の企業です。

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

ノルウェーは、高等教育を受けた技術系スキルを持ち英語に堪能な人材を活用できる国であり、企業の評価額のレベルは米国やスウェーデンと比較すると低くなっています。ノルウェーは注目すべき国だと思いますが、私は北欧諸国のどの国も、自国より大きな国と引き続き対等に渡り合っていけると確信しています。

今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増し、パンデミックや先行きへの不安、リモートワークが持つ魅力のために、スタートアップハブから人が流出する可能性があると思いますか。

リモートワークが受け入れられたことで、スタートアップのエコシステムが世界的に平等なものになるでしょう。従来のハブであったシリコンバレーとサンフランシスコ、北京、ロンドン、ベルリンといった場所の成長が相対的に減っていき「クラウド上で」形成され、マネジメントされる企業が相対的に増えていくはずです。当社の投資先企業にもその例があります。ナンセンはその創業当初からクラウド上で運営されており、本当に世界中に分散しています。

御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス慣行の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはありますか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような未曾有の時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

パンデミックで直接影響を受けるセクターには投資していませんので、そういう意味では幸運でした。

新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も懸念していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

影響は受けませんでした。主な投資先がリモートワーク、ホームデリバリー、eコマース、暗号資産といった分野の企業ですので、多くの面でコロナウイルス感染症がかえって追い風になっています。全般的に、テクノロジー関連がパンデミックの勝ち組カテゴリーになっているようですし、この状況は続くと思います。

御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

先ほどお答えしたように、投資先企業の多くは新型コロナウイルス感染症の影響下で通常より業績を伸ばしています。

この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

地元の感染者数の減少とコロナワクチンの普及です。トランプが大統領執務室から出ていったことにも希望を感じました。ツイッターで憎悪と不条理を煽る彼があと4年もスポットライトを浴びることになっていたら、私はたぶん耐えられなかったでしょう。

地元で成功を収めたスタートアップ業界の主要人物を挙げていただけますか。投資家や創業者だけでなく、弁護士、デザイナー、グロースエキスパートなど、スタートアップのエコシステムで別の役割を果たす人たちでも構いません。地元住民のみぞ知る注目すべきキーパーソンについて教えてください。

カホートの共同創設者で、現在はエンジェル投資家になったJohan Brand(ヨハン・ブランド)氏です。

Kjetil Holmefjord(チェーティル・ホルムフュルド)氏、StartupLab(スタートアップラボ)、パートナー

通常、どのようなトレンドに投資するときが、最もワクワクしますか。

セクターにはこだわりません。個人的に興味があるのは気候関連です。

最近、最もエキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

最近発表されたVariable(バリアブル)です。

特定の業界で見てみたいと思っているものの、まだ登場していないスタートアップはありますか。今、見過ごされているチャンスは何かありますか。次の投資先を判断する際、通常どのようなことを検討しますか。

積極的な影響力、スピード感のあるチーム、リターンの大きさを検討します。

御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

100%ノルウェーです。

御社が本拠とする都市やその周辺地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業界、または適していないと思われる業界は何ですか。御社のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

ビデオ、医療、気候関連。

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

日に日に良くなっています。

今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増し、パンデミックや先行きへの不安、リモートワークが持つ魅力のために、スタートアップハブから人が流出する可能性があると思いますか。

増えるとは思いますが、急増することはないと思います。

御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス慣行の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはありますか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような未曾有の時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

何とも言えませんね。

新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も懸念していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

投資機会に対する国際的な競争が激しくなっています。

御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

はい。

この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

ワクチン関連のニュースです。

Anne Solhaug Tutar(アンネ・ソルハウグ・チューター)氏、Antler(アントラー)、パートナー

通常、どのようなトレンドに投資するときが、最もワクワクしますか。

当社はテクノロジー企業を中心に、通常は業界にこだわらず投資しますが、オスロでは特にエネルギー、不動産、モビリティの分野のスタートアップに注目しています。

最近、最もエキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

Speiz(スペイズ)、Plaace(プラーセ)、Glint Solar(グリント・ソーラー)などです。

特定の業界で「こんなスタートアップがあったらいいのに」と考えることはありますか。現在、見過ごされていると感じるチャンスはありますか。

もちろんあります。当社が求めているのは、摩擦を取り除き、現実に起こっている問題の解決に尽力している企業です。創業者自身が何らかの効率の悪さや問題から直接影響を受けたことをきっかけに起業し、その問題の改善に生涯をささげるために創業した企業が大成功しているケースが多いと思います。そのような創業者たちは問題を解決するだけでなく、顧客のニーズをつかむための努力を続けています。分散型のファイナンスや、国境や障壁をスマートなテクノロジーで乗り越えた、真に国際的な経済への移行には、多くの機会が出現することでしょう。

次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

当社が投資で最も重視する要素は、非常に強力な共同創業者チームであるかどうか、という点です。加えて、徹底的な検証を経たビジネスのアイデアやモデルかどうか、拡大の可能性を持つコンセプトであるかどうか、トラクションなどを検討します。週単位で成長しているかどうか、創業者が解決しようとする問題が架空の問題ではなく現実の問題であるかどうかについても考慮します。

新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

これまでの10年間は漸進的なイノベーションの時代でしたが、今後10~20年は大きな飛躍の時代となり、革命的な新しいテクノロジーが出現するでしょう。現在の生活をほんの少し改善するためのソリューションは、私たちの生活、仕事、連携、行動の方法を劇的に変化させるテクノロジーで置き換えられると思います。

御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

どこにでも投資する可能性がありますが、オスロ支社は通常、地元の実績ある企業に投資します。90%ぐらいでしょうか。

御社が本拠とする都市やその周辺地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業界、または適していないと思われる業界は何ですか。御社のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

当社がノルウェーで注目している業界は、取りも直さずディスラプトを引き起こす可能性があり、かつノルウェーが特に有利な位置にあると考えられる業界、つまり、エネルギー、不動産、モビリティです。

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

世界の他の都市に比べると、オスロを拠点とするスタートアップは評価額が比較的低い場合が多いと思います。優れた創業者を見分ける目を持つ投資家なら、ノルウェーですばらしい投資ができるでしょう。同時に、ノルウェーの創業者たちも、国際的な視点を持つ投資家からメリットを得られます。オスロでは投資家とアクセラレータのエコシステムが急速に成長しています。また、地方のスタートアップの成功例が増えており、さらに多くの優秀な企業が育つ環境が整いつつあります。今後数年でオスロから生まれる企業の展望について、当社は非常に強気な見方をしています。

今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増し、パンデミックや先行きへの不安、リモートワークが持つ魅力のために、スタートアップハブから人が流出する可能性があると思いますか。

全体として次の2つのトレンドが同時に発生しています。つまり、これまでの契約から自由になった人材が増えていることと、不確実性が増しているために創業者たちが思い切った行動に出るのを以前よりためらっていることです。これが特定の都市や地域に関係しているかどうかまでは、まだ観察していません。

御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス慣行の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはありますか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような未曾有の時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

新型コロナウイルス感染症によって生まれたチャンスだけに依存したまったく新しい事業を発展させるのが賢い決定かどうか、まだわかりません。どちらかといえば、タイミングという点で、コロナ禍が何かの始まりや成長のきっかけとなる場合もあれば、成長のペースを大きく鈍化させる場合もあるということでしょう。

新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も懸念していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

当社はこれまで通り投資しており、ノルウェーには投下できる資本がまだ多くあると思っています。当社の投資先企業は、政府系のイニシアチブから多くの融資を受けており、企業はそれに大いに助けられ、感謝しています。投資先のスタートアップや他の企業に対しては「不確実性がいつも以上に高いこのような時期には常にバーンレートを制御可能なレベルに保ち、それに応じた資金調達戦略を立てなさい」とアドバイスしたいと思います。別の点として、リーンかつアジャイルであることがかつてなく重要になっています。不確実性の高い中でも状況に首尾よく対処できる創業者なら、現在の環境でもうまくやっていけます。

Daniel Holth Larsen(ダニエル・ホルス・ラーセン)氏、Investinor(インベスティナー)、プリンシパル

通常、どのようなトレンドに投資するときが、最もワクワクしますか。

資源利用の効率化、健康的なライフスタイル、振る舞いのインターネット(IoB:Internet of Behaviors)、働き方と学び方。

最近、最もエキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

Dignio(ディグニオ、SaaS / 医療テクノロジー)。

特定の業界で「こんなスタートアップがあったらいいのに」と考えることはありますか。現在、見過ごされていると感じるチャンスはありますか。

林業テクノロジーですね。農業は重視されていますが、林業は違います。市場には大きなチャンスがあり、SDGの観点でも重要で、大きなトレンドに後押しされています(木造建築など)。

次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

全般的に、巨大なグローバル市場において確実に拡張していけるかどうか、優秀かつ見識ある創業チームであるかどうかを検討します。

新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

今後数年、消費者向けフィンテックの分野はスタートアップが参入するには厳しくなると思います。大規模なカスタマーベースを持ち、さまざまなリソースを利用できるという有利な立場にある銀行や各種機関がこの分野に重点的に投資しているからです(M&Aもその1つですが、銀行内のイニシアチブとプロジェクトにも投資しています)。

特定の製品のことを言っているのではありませんが、特定の部門の顧客向けに組み込まれ、それらの顧客のニーズに合わせているツール(ある組織のマーケティングチーム内でのみ使用されるマーケティングツールや、調達チームだけが使う調達用ツールなど)ではない「あれば便利」的なエンタープライズ製品について憂慮しています。そのようなサービスの多くはコロナの追い風の中でも苦労すると思いますし、長期的に生き残るためには(会社の規模や顧客数にかかわらず)経営陣やその他の部門がその点に気づいていることが不可欠だと思います。

御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

50%を超えています。現時点で当社はノルウェーにおいて最も規模が大きく、最も積極的なプレイヤーです。2020年には新規直接投資16件、継続投資60件以上、IPO4件、他のベンチャーファンドへの投資6件を手がけ、エグジットを2件完了させました。

御社が本拠とする都市やその周辺地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業界、または適していないと思われる業界は何ですか。御社のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

ノルウェーのエコシステムは今後も繁栄していくと思いますし、ソフトウェア、特にB2Bソフトウェアの分野で、グローバル市場での存在感を強めていくと思います。これには次のような要素があります。

政府、各種機関、企業による、先進的なテクノロジーの導入と利用。

転職リスクの低さ:トップ企業からスタートアップへの人材の流動性。

資金調達イニシアチブによるトップレベルのサポートとその拡大:Innovation Norway、各種ファンドなど。

国際市場へのアクセスの良さ:EUネットワーク、海外投資など。

プロップテック(不動産テクノロジー)、エネルギー、医療、教育といった分野では特にアドバンテージがあると思います。特に楽しみなのはKahoot(カホート)、Cognite(コグナイト)、Dignio(ディグニオ、投資先)、Xeneta(クセネタ、投資先)、Gelato(ジェラート)、Play Magnus(プレイ・マグヌス、投資先)、reMarkable(リマーカブル)です。

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

ビジネスの透明性:正直で、汚職がほぼゼロ。

ハイグレードなイノベーションとチャンスの豊富さ。

人々の幸福感=創設者やスタッフの幸福感、そして高い生産性。

魅力的な政策と規制(政策と法的手続き、IPOなど)。

言語障壁がない。

政府、各種機関、地元企業からの力強いサポート。

今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増し、パンデミックや先行きへの不安、リモートワークが持つ魅力のために、スタートアップハブから人が流出する可能性があると思いますか。

どちらとも言えませんね。私はスタートアップにとっては都市が最も重要な場所になると思います。その理由として、(1)地方に大企業はなく、スタートアップの創業者は通常、銀行やコンサルティング会社、大企業の出身で、同じようなところから人材を採用すること、および(2)ネットワークへのアクセスと情報量は都市のほうが多く、現在はステイホームであると言っても、地理的な近接性は重要な要素として残ることが挙げられます。

長期的には、リモートで従業員を採用する企業が増えていくにつれ、そういうことは起こるかもしれませんが、今後数年の間に、現在の状況の結果として発生するとは思いません。もっと長い時間がかかると思います。

御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス慣行の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはありますか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような未曾有の時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

石油・ガス:過去3年間の新規投資先はありませんが、投資先にはまだ数社が含まれます(ほとんどが石油・ガス業界専門のテクノロジー企業)。コロナ禍前にもその魅力が明らかに低下していましたが、この危機はサスティナブルへのシフトを強めたにすぎません。以前のようなレベルにリバウンドするとは思いません。スタートアップには業界を超えてビジネスパートナーを見つける機会があると思いますし、そのような例が多く見られるようになっています。また、現在の市場で伸びているソフトウェア企業は、サスティナブルで長期的な視点を持つ企業文化を育てていて、コロナ禍の影響を受ける業界(旅行、航空、石油・ガス、小売、ホテル・宿泊など)からの人材をひきつけています。

新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も懸念していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

投資先企業のほとんどはうまくやっていますので、大きな影響は受けていません。創業者たちが主に心配しているのは従業員のメンタルヘルスの問題です。CEOには「ビジョンと目標、企業文化、チームワーク、集団性を考えることに特に時間をかけなさい」とアドバイスしたいと思います。

御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

はい。2020年はエグジット、IPO、ポートフォリオのグロスIRRのどの面でも記録的な年でした。投下した資本の80%以上がソフトウェア、ハードウェア、医療の分野であり、投資先のほとんどは力強く成長しています。マイナスな影響を大きく受けた企業もありますが、ごくわずかです。

この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

私個人は健康です。また、次のようなことに喜びを感じました。

当社チームのすばらしいメンバーと創業者たちが、正しく認められたこと。

失業率上昇が抑えられ、人々が仕事に戻っていること。

組織、マスコミ、政府がメンタルヘルスと福祉にさらに注目するようになったこと。

地元で成功を収めたスタートアップ業界の主要人物を挙げていただけますか。投資家や創業者だけでなく、弁護士、デザイナー、グロースエキスパートなど、スタートアップのエコシステムで別の役割を果たす人たちでも構いません。地元住民のみぞ知る注目すべきキーパーソンについて教えてください。

何人か挙げましょう。

Kremena Tosheva(クレメナ・トシェバ)氏(SNÖ Ventures、投資家)、Karen Dolva(カレン・ドルヴァ)氏(No Isolation、創設者兼CEO)、Frida Rustøen(フリーダ・ラストーエン)氏(Idékapital、投資家)、Ann-Tove Kongsnes(アントーヴ・コンネス)氏(Investinor、投資家)、Trond Riiber Knudsen(トロンド・リイベル・クヌードセン)氏(TRK、投資家)、Patrick Sandahl(パトリック・サンダール)氏(Investinor、投資家)、Bente Sollid Storehaug(ベンテ・ソリド・ストールハグ)氏、(議長)、Birger Magnus(ビルゲル・マグヌス)氏(議長)、Erik Langaker(エリック・ランガケル)氏(議長、投資家)、Anders Kvåle(アンダース・クヴォーラ)氏(Arkwright、起業家兼投資家)、Mathilde Tuv Kverneland(マチルデ・トゥヴ・クヴェルネランド)氏(Arkwright X、投資家)、Dilan Mizrakli Landgraff(ディラン・ミズラクリ・ランドグラフ)氏(Antler、投資家)、Jacob Tveraabak(ヤコブ・トヴェラバク)氏(起業家兼投資家)、Remi Dramstad(レミ・ドラムスタッド)氏(Selmer、弁護士)、Martin Schütt(マーティン・シュット)氏(Askeladden、創業者兼投資家)、Christian Sagstad(クリスチャン・サグスタッド)氏(Thommessen、弁護士)、Jan Grønbech(ヤン・グロンベック)氏(グロースエキスパート)、Nils Thommessen(ニルス・トメセン)氏(元弁護士、投資家、役員)、Eilert Hanoa(エイラート・ハノア)氏(Kahoot、CEO兼投資家)、Tom Even Mortensen(トム・エヴェン・モーテンセン)氏(投資家兼グロースエキスパート)、Birgitte Villmo(ビルギッテ・ヴィルモ)氏(Investinor、投資家)、Bente Loe(ベンテ・ロエ)氏(Alliance Ventures、投資家)。

Magne Uppman(マグネ・ウップマン)氏、SNÖ Ventures(SNÖベンチャーズ)、マネージングパートナー

通常、どのようなトレンドに投資するときが、最もワクワクしますか。

デジタル技術のあらゆる分野に投資していますが、最近特に注目している分野にはヘルステック、新しい働き方、クリエイティブテックがあります。

最近、最もエキサイティングだと感じた投資はどの案件ですか。

直近の投資はPortalOne(ポータルワン)への継続投資でした。ポータルワンはハイブリッドゲームの会社で、ゲームやショーだけでなく、さらに広範囲なエンターテインメント業界を、非常に楽しく夢中になれるプラットフォームにまとめています。これは、これまでに見たことのないプラットフォームです。オスロのSpun(スパン)は間もなく米国でローンチする準備が整います。

特定の業界で「こんなスタートアップがあったらいいのに」と考えることはありますか。現在、見過ごされていると感じるチャンスはありますか。

現在進化を続けている分野の1つが、ソーシャルのさまざまなセクターへの組み込みです。ソーシャルフィットネス、ソーシャルショッピングなどがあります。特に、デジタルプラットフォームの持つ独自のアクセス性とリーチの広さを活用して、実際の世界での関係性をどのようにデジタルバージョンで作り直すことができるか、という点です。

また、データの脆弱性や情報への第三者アクセスが増大する中で、プライバシー分野も今後大きく進歩すると考えています。

次の投資を判断する際に、通常、どのようなことを検討しますか。

聡明で大志を抱いている創業者のチームであるかどうかを検討します。また、ノルウェーの企業であれば、ローンチ後すぐに、もっと大きな市場、できればグローバルな市場をターゲットにして欲しいと思います。ノルウェーや北欧の他の国は、デジタル化が進んでいて市民の結びつきが強いためテスト環境としては完璧ですが、ビッグになることを目指すテクノロジー企業のほとんどにとっては小さすぎる市場です。

新しいスタートアップにとって、現時点で飽和状態にある分野、あるいは競争が難しい分野は何ですか。投資を検討する際に慎重になる、または懸念材料がある製品やサービスはありますか。

ほとんどの領域は非常に早く飽和すると考えているので、飽和状態の領域で漸進的な改善を進めるだけの企業は避けています。しかし、革新的なテクノロジーを擁し、他の人が見たことのないようなソリューションや秘密の方法を持っている企業に関しては、必ずしも競争を避けるわけではありません。

御社の投資全体の中で、地元のエコシステムへの投資が占める割合は、他のスタートアップハブ(または他の場所)への投資と比べて、50%を超えていますか。それとも、50%未満ですか。

これまではノルウェー企業のみに注目してきましたが、今後登場するファンドでは、北欧全体を対象とします。投資の約50%がノルウェーで、残りの50%はスウェーデン、デンマーク、フィンランド、アイスランドに分散される予定です。

御社が本拠とする都市やその周辺地域で、長期的な繁栄に適していると思われる業界、または適していないと思われる業界は何ですか。御社のポートフォリオに含まれているかどうかに関わらず、どの企業に期待していますか。有望だと思う創業者は誰ですか。

バラエティに富んだ、今後に期待できる企業がオスロ、ノルウェーから生まれています。最近ではKahoot(カホート)、Spacemaker(スペースメーカー)、Cognite(コグナイト)、Pexip(ペクシプ)が先導し、Memory(メモリー)、Tibber(ティバー)、PortalOne(ポータルワン)、Remarkable(リマーカブル)やその他多くの企業が後に続いています。また、ノルウェーの強さのルーツは従来の工業企業からテック企業に移行したように思われ、石油・ガス業界からハイスキル人材が流入し、テック分野で非常に楽しみな企業が出てきています。コグナイトはその強力な一例です。ノルウェーは海洋テック、再生可能エネルギー、農業、海運にも独自の強みがあります。あらゆる分野で、技術の進歩を中心としたエキサイティングなスタートアップが生まれると思います。

他の都市の投資家は、御社が拠点とする都市の投資環境と投資機会全体についてどのように考えるべきでしょうか。

オスロのテック業界には強い基盤とエキサイティングな勢いがあります。ただ、地元のVCが少なすぎるため、シリーズA段階での資金調達ニーズが満たせていません。しかし同時に、時間をかけてエコシステムを理解しようとする投資家にとっては数多くのチャンスがあります。一口に北欧と言っても、都市によって状況は異なります。ストックホルムを知っているだけでは不十分です。北欧での投資戦略を成功させるためには、北欧のその他のハブにも時間を投資することが必要です。

今後、大都市以外の地域で起業する創業者が急増し、パンデミックや先行きへの不安、リモートワークが持つ魅力のために、スタートアップハブから人が流出する可能性があると思いますか。

リモートワークのトレンドは強まるでしょう。投資先の中には、自社オフィスさえ持たない企業も登場しています。例えばConfrere(コンフレーレ)はビデオ会議用のプラットフォームを提供する会社で、現在は主に医療セクターに集中していますが、この会社は全従業員がリモートで働いています。ただし、企業がスタートアップハブと強く結びついていることで得られるメリットもあります。たくさんの学びとインスピレーションを得たり、ネットワークを共有したりする機会が得られます。希望としては、国内にもっと多くの小規模ハブができ、それらが互いに緊密に連携できればと思います。地元でも、国内でも、世界でも、さまざまなハブの間でのコラボレーションの質と量が向上すれば、もっと大きな可能性が開けるでしょう。

御社の投資先のうち、コロナ禍による消費者やビジネス慣行の潜在的な変化への対応に苦慮すると予想される業界セグメントはありますか。また、そのような変化の影響を他より強く受けると思われる業界セグメントはどこですか。このような未曾有の時代にスタートアップが活用できるチャンスとは何でしょうか。

現在打撃を受けているのは出張旅行、小売、観光に関連する業界です。イベント、ゲーム、業務ツールと効率向上、ヘルステック、サステナビリティの分野には大きなチャンスがあります。特に興味深い課題は、この時期に起きたトレンドが一時的なものなのか、恒久的なものになるのかを把握し、予想することでしょう。

新型コロナウイルス感染症は投資戦略にどのような影響を与えましたか。投資先のスタートアップ創業者はどんな点を最も懸念していますか。御社のポートフォリオに含まれるスタートアップにはどのようにアドバイスしますか。

いくつかの分野の状況は急速に変化しており、それは当社が注目している分野にも影響を与えています。投資先企業の最大の懸念は、(1)B2Bの売上に影響が及ぶこと、および(2)投資環境が今より難しくなることです。一部の企業に対しては、できるだけ長いランウェイを確保するようにアドバイスしたのですが、新型コロナウイルス感染症によって起こったシフトのために成長が加速している企業もあり、そのような企業ではさらにスピードを上げることが必要でしょう。

御社の投資先のうちパンデミックに適応してきた企業では、収益の成長や維持、その他の機運に関して「回復の兆し」が見えてきたでしょうか。

はい、投資先企業の中には最初の2カ月間苦労したところもありますが、その後は回復し、大部分はほぼパンデミック前に計画していた収益の伸びまで戻っています。

この1カ月ほどの間に希望を感じた瞬間はありましたか。仕事上のことでも、個人的なことでも、あるいはその両方が関係していることでも構いません。

SNÖでは、企業の創業者であることを、ノルウェーの誇るべき遺産である極地探検家とその探検旅行に例えることがよくあります。投資先の創業者たちが2020年のような不確実な時期に示した精神は、この例えがこれまでになく適切なものになっているという希望を持たせてくれました。起業家は2021年の極地探検家なのです。

地元で成功を収めたスタートアップ業界の主要人物を挙げていただけますか。投資家や創業者だけでなく、弁護士、デザイナー、グロースエキスパートなど、スタートアップのエコシステムで別の役割を果たす人たちでも構いません。地元住民のみぞ知る注目すべきキーパーソンについて教えてください。

ここ数年オスロで貢献してくださっている方がたくさんおられます。Rolf Assev(ロルフ・アッセヴ)氏、Alexander Woxen(アレクサンダー・ヴォクセン)氏、Per Einar Dybvik(ペル・エイナー・ダイヴィック)氏、Tor Bækkelund(トール・ベッケルンド)氏、Kjetil Holmefjord(チェーティル・ホルムフュルド)氏(以上スタートアップラボ)、Ingar Bentsen(インガー・ベントセン)氏とHans Christian Bjørne(ハンス・クリスチャン・ビヨルネ)氏(ともにTheFactory)、Anniken Fjelberg(アニケン・フィエルバーグ)氏(657)、Anders Mjåset(アンダース・ミューゼット)氏(Mesh)、Heidi Aven(ハイディ・アヴィエン)氏(SHE)、Knut Wien(クヌート・ヴィエン)氏とMaja Adriaensen(マヤ・アドリアエンセン)氏(ともにStartup Norway)、Lucas H. Weldeghebriel(ルーカス・H・ヴェルデゲブリエル)氏とPer-Ivar Nikolaisen(ペルイヴァル・ニコライセン)氏(ともにShifter)。他にもたくさんおられます。みなさん称賛に値する人ばかりです。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:オスロノルウェーインタビュー

画像クレジット:Mlenny / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)