AT&TがWarnerMediaを分割、Discoveryとの統合を発表

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米国通信大手がまたもメディアサービス、具体的にはコンテンツ制作から手を引く。AT&Tは米国時間5月17日、メディア事業部門のWarnerMediaをDiscovery Incと統合すると発表した。

この取引は、AT&Tが現金、債券、WarnerMediaの特定の債務の保持の組み合わせで430億ドル(約4兆6940億円)を得る「Reverse Morris Trust」トランザクションとなる。AT&Tが新会社の株式の71%を、Discoveryが21%を持つと両社は声明文で述べている

Discovery会長兼CEOのDavid Zaslav(デイビッド・サスラフ)氏が新会社を率いる。WarnerMediaの現CEOであるJason Kilar(ジェイソン・キラー)氏がどのような役職を担うのか明らかではないが、プレスリリースでは同氏の名前には言及はなかった。同氏は現在、WarnerMediaのCEOだとAT&TのCEOであるJohn Stankey(ジョン・スタンキー)氏は5月17日の記者会見で確認した。

今回の動きは週末に報道された噂を認めるもので、非通信部門のVerizon Media事業をApollo Managementに50億ドル(約5460億円)で売却するというVerizon Communicationsの先日の発表に続くものだ(TechCrunchはVerizon Mediaの管理下にある)。サスラフ氏はスタンキー氏とともに記者会見で、この取引は「自身のグリニッチ・ビレッジのタウンハウスで」秘密裏に練られた、と述べた。

記者会見で、両社の経営陣は統合が2022年半ばまで完了する見込みだと述べた。適当な時期に新会社の社名を発表するとも話した。

消費者が視聴するメディア業界ではストリーミングが要の時代となっている。消費者はストリーミングで視聴していて、その手段はスマートフォンやタブレットとこれまでになく多様になっている。これは古いメディア企業だけの話ではなく、さまざまな分野のテック企業がストリーミングに多額を投資している。この結果、多くのコンテンツ大企業が生まれている。

新会社は「世界で最も愛され、人気があり、そして信頼されたブランド」の100以上のアイコン的コンテンツ20万時間超分を所有する。ここには、HBO、Warner Bros.、Discovery、DC Comics、CNN, Cartoon Network、HGTV、Food Network、Turner Networks、TNT、TBS、Eurosport、Magnolia、TLC、Animal Planetが含まれる。両社は、主にエンターテインメントにフォーカスするグループにニュースも含める計画だと認めた。年間売上高はおおよそ520億ドル(約5兆6740億円)で、調整後EBITDAは約140億ドル(約1兆5280億円)、フリーキャッシュフローの転換率は約60%で、少なくとも30億ドル(約3270億円)が期待されるコストシナジーだと話す。

反面、AT&Tにとっては退却のようなものだ。同社はWarner帝国を築くのに(そして規制当局と争うのに)数年を費やした。音声やブロードバンド、モバイルなどでやり取りするためのネットワークを人々に提供するのに大きな役割を果たすだけでなく、コンテンツそのものを提供しようという意図だった。

そう、AT&Tは新会社の株式71%を保有するが、これは同社がコンテンツ制作の組織を独立した企業として組成することに価値を見い出していることを示している。とりわけ、そうした個々のコンテンツ企業に既得権益なしに他のネットワークプロバイダーと契約を結ぶ決定権を与えることになりそうだ。それに加えて、制作しているものに最適なチャンネルはどれか、メディア企業は自由に開拓できるようになる。そうしたチャンネルが直接AT&Tと競合する場合でもだ。

メディアと通信においては、消費者、そして消費者のエンターテインメント・情報に対する需要を取り込む理想的なサービスとして「トリプルプレイ(テレビ、ブロードバンド、音声)」という時代があり、その後「クアッドプレイ(モバイルが加わったもの)が続いた。それは実現するにはかなり複雑な夢であることが証明されたが、両社が今日、これが皆にとってすばらしい「ピュアプレイ」取引だとうたったのは驚きではない。

「この合意は、エンターテインメントのリーダー2社を補完し合うコンテンの強みで結びつけ、また新会社は主要なグローバルの消費者直結ストリーミングプラットフォームの1つになります」とAT&TのCEO、スタンキー氏は声明で述べた。「Discoveryのグローバル展開でもってHBO Maxのすばらしい成長と国際展開をサポートし、消費者の欲しいものに応えるすばらしいコンテンツの制作に再投資される効率性を生み出します。AT&Tの株主にとって、これは価値を解き放ち、5Gと接続に対するかなりの長期的需要に応えるためのファイバーにフォーカスした最大の資金調達を行ったブロードバンド企業の1社になる機会となります。AT&Tの株主は魅力的な配当がある主要通信会社の持ち分を保持します。加えて、世界でも有数のストリーミングプラットフォームの1つを構築できるグローバルメディアのリーダーである新会社の株式も取得します」。

サスラフ氏とDiscoveryはWarner帝国にとってかつて競合相手だったかもしれないが、今は様相が異なる。

「ジョンとはかなり会話しましたが、我々はいつも同じシンプルな戦略原理に戻ります。これらの資産は一緒の方がよく、価値も高まる、というものです」とサスラフ氏は声明で述べた。「そうした歴史あるブランド、ワールドクラスのジャーナリズム、アイコン的なフランチャイズを1つの屋根の下に集め、価値と機会を切り開くことは非常にエキサイティングです。大切なIPのライブラリー、すばらしい管理チーム、世界のあらゆるマーケットに持つグローバルの専門性でもって、あらゆる人にとってウィンウィンとなると確信しています。消費者はより多様な選択肢を持ち、才能ある人やストーリーテラーはさらに多くのリソースや視聴者につながる確固とした経路を手に入れ、株主は世界最大のスリーミングプロバイダーとの競合で優位に立ち、健全なバランスシートを約束するグローバル企業を目にします。我々はクリエイティブで才能あるWarnerMediaのチームとともに、そして世界で最も素敵なストーリーテリングの100年近くにわたるレガシーの上に構築されたすばらしい資産でもって新たな章を切り開きます。最もすばらしいストーリーを伝えることに注力し、それを大いに楽しむ、というのが我々の唯一のミッションとなります」。

カテゴリー:その他
タグ:AT&TWarnerMediaDiscovery

画像クレジット:KENA BETANCUR/AFP/Getty Images / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi