Pinterestがクリエイター向け動画ファースト機能「アイデアピン」を発表

次の記事

Chromeに漏洩パスワードを自動的に修正する新機能、グーグルのAIテクノロジー「Duplex」を利用

Pinterest(ピンタレスト)は米国時間5月18日、クリエイターのコミュニティへのさらなる拡大を行うため、Idea Pins(アイデアピン)という動画ファーストの機能を発表した。これは自らのストーリーを、動画、音楽、クリエイティブな編集ツールなどを使って伝えたいクリエイターたちを対象とした機能だ。この機能は、PinterestによるTikTok(ティックトック)への挑戦状のように感じられる。クリエイターはこの新しいStory Pins(ストーリーピン、日本では未提供)に、ナレーションの録音、BGM、トランジション、その他のインタラクティブな要素などを加えるツールを使って、最大20ページのコンテンツとなるクリエイティブな動画を撮影・編集することができるようになる。

Pinterestによれば、この新しいアイデアピンは、1年にわたる開発段階を経て2020年9月に ベータ版として発表されたストーリーピンでのテストの中から発展したものだという。2020年の発表時にPinterestは、ストーリーピンはSnapchat(スナップチャット)やInstagram(インスタグラム)などの、他のソーシャルネットワークで見られるようなストーリーとは違うものだと説明していた。なぜならストーリーピンは、新しいアイデアや新製品を試している様子に焦点を当てるもので、クリエイター個人の生活スナップショットを提供することが狙いではないからだ。

関連記事:iOS 14の画面デザイン機能で注目のPinterestがストーリーピンのベータ版を正式に公開

また、ストーリーピンが一過性のものではないという点も大きな違いだった。つまり、一定の時間が過ぎると消えてしまうのではなく、検索などの発見メカニズムによって再浮上することができるようになっているのだ。

関連記事:Pinterestがデザインや料理をテーマに初のバーチャルライブイベントを5月24日から公開テスト

ストーリーピンがデビューしてから8カ月間、Pinterestはストーリーピンを使うクリエイターたちと協力して体験を重ねてきた。その結果生まれたのが、アイデアピンという新しいコンセプトだ。これは基本的にストーリーピンをリブランドしたもので、従来よりも幅広い編集ツールを提供している。

動画はアイデアピンの重要な要素となっている。これはTikTok、Instagram Reels(インスタグラムリール)、YouTube Shorts(ユーチューブショート)などで配信されているような、クリエイティブな性質を持つ短編動画コンテンツに対する消費者の需要が高まっているからだ。ピン内の動画は、iOS、Android、ウェブの各ページで最大60秒まで、1ピンあたり合計20ページまで作成可能だ。

画像クレジット:Pinterest

クリエイターは、自分でナレーションを入れて動画を編集したり「ゴーストモード」と呼ばれるトランジションツールを使って、動画の一部分と他の部分を重ね合わせることで、切り替え前後をよりよく見せることができる。また、制作中の作品のドラフトを保存することもできる。

しかし、それでもアイデアピンには、ステッカーを追加したり「@ユーザー名」で他のクリエイターをタグ付けしたりするなど、ストーリーピンを共通の機能が数多く採用されている。Pinterestによると、まずは食べ物をテーマにしたイラストや、シーンの切り替え前後、季節感を表現したスタンプなど、Pinterestが期待するカテゴリーや行動に焦点を当てた、手描きのイラストの100種類以上のスタンプが用意される。

また、Pinterestは、ロイヤリティフリーの音楽データベースEpidemic Sound(エピデミック・サウンド)と協力し、アイデアピンに使用できる無料の楽曲カタログを提供しようとしている。

また、多くのクリエイターがアイデアピンを使ってレシピやプロジェクトに挑戦してもらおうと考えているので、オーディエンスの利便性のために、材料リストや手順を確認できる「詳細ページ」を設けることもできる。

画像クレジット:Pinterest

こうしたピンは、Pinterest上で共有されてプラットフォーム上の複数の場所に配信されることで、クリエイターがオーディエンスを獲得するのに役立つと同社は述べている。

また、クリエイターは公開時にトピックタグを適用することで、その種のコンテンツを探している人に確実に表示されるようにすることもできる。Pinterestによれば、各アイデア・ピンには最大10個のトピックタグを付けることができ、ホームフィードや検索を通して、ユーザーにターゲットを絞った形でコンテンツを配信することができるという。

ピンは、クリエイターがPinterest上でオーディエンスを増やすのに役立つが、アイデアピンを使って他のプラットフォームでもオーディエンスを増やすことができる。同社は、ウェブやソーシャルメディアでピンを共有できるエクスポートオプションを提供するとしている。こうする際には、ピンを動画としてダウンロードすることになるが、その動画中にはPinterestの透かしサインとプロフィール名が追加される(このやり方はTikTokから学んだものだ)。ダウンロードした動画は、他の場所で再共有することができる。

画像クレジット:Pinterest

一方、Pinterestのユーザーは、他のピンと同様にアイデアピンを保存することができる。

Pinterestの共同創業者であり、チーフ・デザイン&クリエイティブ・オフィサーであるEvan Sharp(エヴァン・シャープ)氏は、今回の発表について次のように述べている「最高のインスピレーションは、情熱に突き動かされ、世界にポジティブさと創造性をもたらしたいと願う人々から得られるものだと信じています」。そして続けて「Pinterestでは、誰でもインスピレーションを与えることができるのです。クリエイターからホビースト、そしてパブリッシャーまで、Pinterestは誰もがすばらしいアイデアを発表し、触発するコンテンツを発見できる場所なのです。Pinterestには、並外れたアイデアを持つクリエイターたちがいます。アイデアピンを使えば、クリエイターは自分の情熱を共有し、オーディエンスにインスピレーションを与える力を得ることができます」と付け加えた。

新しいアイデアピンフォーマットは、米国時間5月18日から、米国、英国、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、オーストリア、スイスのすべてのクリエイター(ビジネスアカウントを持つユーザー)に展開される。

画像クレジット:Pinterest

Pinterestによると、これまでのテストの結果、アイデアピンは通常のピンよりも魅力的で、平均コメント数が9倍になったという。また、アイデアピン(旧ストーリーピン)の数も、より多くのクリエイターが採用したことにより、1月から4倍に増加している。

Pinterestは、クリエイターがピンのパフォーマンスを確認できるように、アナリティクス機能を拡張し、新たに「フォロワー数」と「プロフィール訪問数」という指標を追加した。これにより作成したアイデアピンが、アカウントのエンゲージメントをどのくらい深めたかを、クリエイターに対して示すことができる。

同社によると、次のステップはアイデアピンをより購買に適したものにすることであり、現在、製品タグ付けのテストを行っている。

Pinterestはここ数カ月の間、クリエイターコミュニティへの投資を強化しており、2021年4月には同社初のCreator Fund(クリエイターファンド)を立ち上げ、2021年5月は21名のクリエイターによるライブストリーミングイベントテストを実施した。また現在Domonique Panton(ドミニク・パントン)氏、Peter Som(ピーター・ソム)氏、GrossyPelosi(グロッシーペロシ)氏といった、厳選されたクリエイターたちとブランドとのコラボレーションもテスト中だという。

関連記事:Pinterestがデザインや料理をテーマに初のバーチャルライブイベントを5月24日から公開テスト

画像クレジット:Pinterest

このアイデアピンは、インスピレーションやアイデアのための集積ボードとして創業したPinterestの、自然な方向転換のように見えるが、プロのクリエイターコミュニティをプラットフォームに呼び込むという点では、この先深刻な競争に直面することになるだろう。他の大手テクノロジー企業たちの支出はPinterestを上回っている。Pinterestの新しいCreator Fundの50万ドル(約5400万円)という金額は、Snap(スナップ)がクリエイターに支払っている1日100万ドル(約1億1000万円)や、YouTube Shortsがクリエイターに用意した1億ドル(約110億円)ファンド、TikTokの2億ドル(約220億円)ファンド、InstagramがReels(リールス)のクリエイターを獲得するために行っている契約などには遠く及ばない。また、これらのプラットフォームや多くのスタートアップは、チップ、寄付、サブスクリプションなどの機能を使って、クリエイターが自分の活動を直接収益化できる方法を提供している。

だが、Pinterestが有利なのは、そのリーチの広さにある。同社によれば、現在プラットフォームは4億7500万人のユーザーを擁しているという。このためクリエイターにとっては、成長、ひいてはeコマースを目指す上で見逃せない目的地となっているのだ。

関連記事:YouTubeショートがトップクリエイターに2022年まで報酬、約109億円のファンド創設

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Pinterest動画制作ソーシャルメディアクリエイター

画像クレジット:Pinterest

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:sako)