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スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。準備OK?ここではお金の話、スタートアップの話、IPOの噂話などをお伝えする。

ユタ州を拠点とするスタートアップ企業Divvy(ディビー)がBill.com(ビル・ドット・コム)に売却されたことが、私の頭の中をずっと駆け巡っている。その理由は、25億ドル(約2723億3000万円)という巨額のエグジットが、双方の企業にとってそして地元にとっても大きな意味を持つだけでなく、そのターゲットとなる市場が刺激的であることも大きい。

Divvyは、Ramp(ランプ)やBrex(ブレック)などの、いくつかの他のユニコーン企業たちを相手に、企業支出(corporate spend)市場と呼ばれる分野で競争している。だがDivvyが去った今、2つの競合他社は重要な点での差別化を図っている。

そして、Brexは実看板広告を再開しつつある。

先週Brexは、米国のいくつかの都市で実看板広告を展開することを発表した。サンフランシスコで暮らす人たちは、Brexがまだよちよち歩きだったころ、街中にブランド広告をベタベタ掲出していたことを思い出すだろう。基本的には、それは多くのインプレッションを得る安価な手段だったのだ。

今回スタートアップはこの戦略をヒューストン、マイアミ、ワシントンD.C.にも展開しようとしている。それはなぜだろう?先週The Exchangeは、BrexのCEOであるHenrique Dubugras(エンリケ・ドゥボグラス)氏にインタビューを行い、この件について話を聞いた。ドゥボグラス氏によれば、現実世界でのマーケティングを再開するにあたり、2つの目標を掲げたという。まず、Brexは、スタートアップ企業向けのコーポレートカードという当初のブランディングを超えて、そのソフトウェアをアピールしたいと考えている。そして2つ目は、同社がサンドヒル・ロード(世界のVCの1/2が集まるカリフォルニアの通り)のVCを短縮ダイヤルに登録しているような企業(スタートアップ)だけでなく、あらゆるタイプの企業と連携していることを、ビジネスオーナーたちに知ってもらいたいということだ。

Brexがスタートアップ以外の顧客も増やしたいと考えているのであれば、彼らのスタートアップとしての活動があまり知られていない市場で、Brexの名前を広めようとすることは理に適っている。しかし、私たちが注目したのは、もちろんそのソフトウェア面での取り組みだ。

というのも、Brexは最近、年間約600ドル(約6万5400円)のソフトウェアサービスパッケージであるBrex Premium(ブレックス・プレミアム)を展開しているからだ。BrexとRampやDivvyなどのライバル企業たちは、従来のコーポレートカード製品の周囲に、ますます洗練されたソフトウェアを構築するために、特に最近多くのエネルギーと資金を費やしてきた。その結果、そうしたコードベースが、経費精算ソフトなどの他のエンタープライズソフトウェアを置き換えることができるようになってきている。

しかし、Brexが有料であるBrex Premiumを広告でアピールする一方で(ドゥボグラス氏は当初の予想よりも数字が良いという)、競合他社のRampは、その無料ソフトウェアを前面に立ててアピールしている。

RampのCEOで共同創業者のEric Glyman(エリック・グリマン)氏は、The Exchangeに対して、同社のゼロコスト・ソフトウェアを強調した新しい価格紹介のページを示した。そして、彼はこの新しいページが「これまでで最速の成長を遂げた月の原動力となっています」と電子メールで述べている。

広い視点で眺めると、Ramp、Brex、Divvy、そしてAirbase(エアベース)などの競合企業たちを見ていると、古くなった企業の問題を、より軽快で低コストの製品で解決しようとしているスタートアップの集団がいることがわかる。そしてその動きの中で、これまでとは違い、より良いものが必要とされている、未開拓の大きな需要があることが証明された。もしそうでないなら、企業支出の世界でスタートアップの王座を争うさまざまなプレイヤーたちが、ここまで急速に成長することはないだろう。

もっと詳しく知りたい場合は、DivvyとBill.comの取引についての記事がある

さらにスタートアップランドから

今週のExchangeは先週SPAC大忙しだったため、本来であればより掘り下げたいような興味深いニュースの数々を見逃してしまった。ここでは、もっと深く掘り下げられたらきっと面白かったであろう、極めて優れたベンチャーのラウンドをご紹介する。

  • ProducePay(プロデュースペイ)は、シリーズCで4300万ドル(約46億8000万円)を調達した。LAを拠点とするProducePayは、食糧生産者が資本、ソフトウェア、市場データにアクセスすることを支援し、食品購買者(輸入業者など)と結びつける。ProducePayのウェブサイトによれば、ProducePayは、メキシコのバージョ州で、労働者の雇用と栽培事業への投資のために、アスパラガスを栽培している企業に50万ドル(約5447万円)の資金を提供した。同社によれば、返済は作物が出荷された時点から開始される。
  • 農業は大変で、不確実さが多く、お金がかかり、従来の銀行の要求とは必ずしも一致しない。さらに、食糧の生産と消費のネットワークがますますグローバル化していることを考慮すれば、G2VPとIFCが共同でこのラウンドを主導した理由がわかる。
  • そうそう、ProducePayが報告した2020年の収益は、GAAPベースの収益額で倍増したようだ。このスタートアップの粗利益率は「引受方針の改善と、取引量拡大にともなう魅力的な資金コストのおかげで、2019年から2020年にかけて75%以上成長しました」と同社のPRチームは述べている。とてもクールな話だ。

先週調達を行ったまた別のすばらしい企業がPanther(パンサー)だ。調達額は250万ドル(約2億7000万円)である。Pantherが支援するのは、160カ国にまたがる企業採用だ。この会社と今回のラウンドに対する私たちの見方は、この先リモートファーストを推進する企業が増えれば、このようなサービスは必須となるだろうというものだ。またGusto(ガスト)も同じ市場で競合している。ということで、VCM&Aの両方の観点から注目を続けたい。

Pantherはフロリダを拠点としており、リリースによると「Tribe Capital、Eric Ries、Naval Ravikant、Carta Ventures」から資金を調達したとのことだ。

ラウンドをもう1つ。フリーランスに特化したネオバンクであるLance(ランス)は、先週280万ドル(約3億1000万円)を調達した。同社によれば、今回のラウンドは、Barclays、BDMI、Great Oaks Capital、Imagination Capital、Techstars、DFJ Frontier、New York Venture Partnersが主導し、数名のエンジェルが参加している。

フィンテックの世界では、Chime(チャイム)をはじめとする幅広い扱いを行うネオバンクが誕生しており、よりターゲットを絞った取り組みが行われても不思議ではない。さらにLanceのCEOであるOona Rokyta(オーナ・ロキタ)氏は、フリーランスの世界がさらに拡大することを確信している。ここ数年の労働市場の変化を考えると、彼女は賢明な賭けをしているとあえて言っても良いだろう。

今回の締めくくりとして、Alpaca(アルパカ)について簡単にご紹介しよう。TechCrunchもこれまでに、こちらや、こちらで取り上げているスタートアップだ。取り上げた理由は、API配信サービスへの私たちの関心(オンデマンドの価格設定がホットな話題となっている)にマッチすることと、消費者向けフィンテックの世界(他社の株式取引サービスを支えている)に存在している、という両方の性質を備えているからだ。今回CEOのYoshi Yokokawa(ヨシ・ヨコカワ)氏にインタビューを行い、前回成長率について尋ねたとき以降の、同社の状況について話を聞いた。

結局のところ、2020年位から見られた世界的な貯蓄 / 投資ブームの中では、消費者投資の世界について学べることは何でも(そしてRobinhoodは先週かなり多くのことを教えてくれたが)有用なのだ。

ヨコカワ氏によれば、Alpacaは今後数カ月のうちにいくつかの大陸で新しいパートナーと一緒に展開を行うなどの、グローバルな計画を持っている。同社は米国以外の地域で、毎日1000件の新規アカウントを取り扱っており、ヨコカワ氏は今後数カ月でそれが急激に増加すると予想している。また最近では、パートナー企業がユーザーをより簡単に登録できるようにする、ブローカーAPIを構築した。

私たちには成長しているように思える。さらなるミルク、もとい情報がAlpacaから得られたらお知らせする。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch Exchange資金調達

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)