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テクノロジーと災害対応の未来2「データとAI」

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データが10年以上も次世代の石油として評価されてきたきた経緯については、さまざまなメディアで取り上げられており、特定の分野ではまさにデータが重要な要素となっている。今やほとんどの民間企業で、マーケティング、物流、金融、製造、意思決定などのあらゆるレベルでデータが欠かせない(これが間違っているなら、私は履歴書を書いてすぐにでも転職した方がよい)。

データを使用することにより、多くの被災者が苦しめられるような災害に対する対応を根本から変えられる可能性があるが、この10年間に発生した緊急時対応にデータがほとんど活用されていないと聞くと、少し驚くかもしれない。災害対応機関と民間の組織は長年にわたり、災害対応用として入力するデータの範囲を広げ、処理するデータの量を増やしてきたが、結果はあまり芳しくなく、データを活用するには程遠い。

しかし、モノのインターネット(IoT)の普及により、このような現状も変わりつつある。災害の最前線で作業する危機管理マネージャーは、回復、対応、復興のサイクルにわたって必要なデータを入手し、的確な判断を下せるようになってきている。ドローンからの航空撮影、災害想定状況の可視化、AI誘発型の災害のシミュレーションなど、最前線で活用されている技術は最高レベルに達していない。これは、2020年代の災害対応における変革の幕開けに過ぎない。

膨大な量の災害データをついに入手

緊急時対応は、先の見えない不安と刻々と迫る時間との戦いである。山火事やハリケーンの現場では、数秒ですべてが変わる場合がある。注意を怠れば一瞬で事態が急変することさえある。避難者を輸送するはずの安全な道路に山火事が広がって突然通れなくなることや、避難チームが再編成を繰り返して広範囲に広がり過ぎること、また予想外の状況が急に発生することで、救助活動が立ち行かなくなってしまうといったことがよくある。情報を完全に掌握していたオペレーションセンターに、突如として地上検証データがまったく入らなくなってしまうこともある。

残念ながら、災害前や災害発生時に未処理データを取得することが極めて難しいことさえある。ビジネスの世界でこれまでに発生したデータ革命を振り返ってみると、初期の成功があったのは、企業が常にデータに大きく依存しながら、自社の活動を進めていたという事実によるところが大きい。今もそうだが重要なのはデジタル化である。つまり、放置されている未処理データをパソコンで解析可能な形式に変換するために、業務を書類からパソコンに移行することだった。ビジネスの世界でこれまでの10年間は、いわばバージョン1からバージョン2へのアップグレード期間だったといえる。

緊急対応管理について考えてみると、多くの対応機関がバージョン0からバージョンアップしていない。洪水を例にとると、洪水の発生源と水の流れをどのように把握するのか。つい最近まで、洪水の発生場所と水の流れに関する総合的なデータすら存在していなかった。山火事の場合は、世界中に点在する樹木の場所や可燃性に関するデータセットが管理されていなかった。電線や携帯電話の基地局といったインフラ設備でさえ、デジタル世界との接点がまったくないことが多かった。そのため、ユーザーがそうした設備を判別できなければ、そうした設備があっても、設備側からユーザーを認識することもできなかった。

洪水モデルは、災害防止計画と災害対応の最先端だ(画像クレジット:CHANDAN KHANNA/AFP/Getty Images)

モデルやシミュレーション、予測、分析には、未処理データが不可欠である。災害対応の分野には、これまで詳細なデータは存在しなかった。

モノのインターネット(IoT)がかなり浸透してきた今では、ありとあらゆるモノがインターネットに接続されるようになり、米国や世界中の至るところにIoTセンサーが設置されている。温度、気圧、水位、湿度、大気汚染、電力、その他のセンサーが広範に配備され、データウェアハウスに定常的に送信されるデータが分析されている。

例として米国西部の山火事を挙げよう。連邦政府と州の消防庁が火災の発生場所を把握できないというのは、そんなに昔の話ではない。消防には「100年の歴史があるが、その伝統が技術進歩に妨げられることはない」と、米国農務省林野部で10年間消防局長を務め、現在はCornea(コルネア)の最高消防責任者であるTom Harbour(トム・ハーバー)氏はいう。

彼のいうことは正しい。消火活動というのは理屈抜きの活動なのだ。消防隊員には炎が見える。炎の熱風を自分の肌で感じることさえある。広大な土地が広がり、帯状に都市が点在しているような米国西部では、データは役に立たなかった。衛星で大火災を発見することはできるが、茂みでくすぶっている小火を地理空間情報局から確認することはまず不可能だ。だが、小さい火事を発見できなくても、カリフォルニア一帯には煙が充満していることがある。では、このような貴重な情報を、地上の消防隊員はどのように処理すればよいのだろうか。

これまで10年にわたってIoTセンサーの成功が謳われてきたが、ここへきてようやく障害となっていた多くの問題が解決されつつある。回復力のあるコミュニティについて調査しているRAND Corporation(ランド・コーポレーション)の社会科学者Aaron Clark-Ginsberg(アーロン・クラークギンズバーグ)氏は「非常に安価で使いやすい」大気質センサーを使うと、大気汚染に関する詳細な情報(山火事の重要な徴候など)を入手できるため、このセンサーがいたるところに設置されていると説明する。同氏は、最近のテクノロジーの可能性を示すものとして、センサーの製造だけでなく、人気のある消費者向け大気質マップも作成しているPurple Air(パープルエアー)を挙げた。

災害時にデータを扱う際には、マップが重要なツールとなる。大半の災害防止計画チームや災害対応チームは地理空間情報システム(GIS)をベースに活動しているが、この分野で随一のマップ制作量を誇っているのが非公開企業のEsri(エスリ)だ。同社の公安ソリューション担当部長Ryan Lanclos(ライアン・ランクロス)氏は、水位センサーの数が増えたことにより、特定の災害に対する対応が劇的に変化したという。「洪水センサーは常に稼働状態にあります」と同氏はいう。「連邦政府が作成している全米洪水予報モデル」により、研究者はGIS分析を使用して、洪水が各コミュニティに及ぼす影響をかつてないほど正確に予測できるようになったと指摘する。

デジタルマップとGISシステムは災害防止計画と災害対応にますます不可欠な存在となっているが、印刷版のマップも依然として好まれている(画像クレジット:Paul Kitagaki Jr. — Pool/Getty Images)

Verizon(ベライゾン)(Verizon MediaはTechCrunchの親会社であるため、ベライゾンは当社の最終的な所有会社)の公安戦略および危機対応担当ディレクターCory Davis(コリー・デイビス)氏によると、このようなセンサーのおかげで、同社の作業員がインフラを管理するために行う作業が変わってきたという。「送電線にセンサーを設置した電力会社を想像してみてください。センサーがあれば、障害が発生した場所にすぐに駆け付け、問題を解決して、復旧させることができます」。

同氏はセンサーのバッテリー寿命が延びたことで、この分野で使用されているセンサーがこの数年で大きく進歩したという。超低電力のワイヤレスチップやバッテリー性能、エネルギー管理システムが絶えず改善されているおかげで、荒れ地に設置したセンサーをメンテナンスしなくても、非常に長い期間使用できるようになった。「バッテリー寿命が10年というデバイスもある」と同氏はいう。これは重要だ。最前線の送電網にセンサーを接続することなどできないからだ。

同じ考え方がT-Mobile(ティー・モバイル)にも当てはまる。防災計画に関して、電話会社の全米技術サービスオペレーション戦略上級ディレクターJay Naillon(ジェイ・ナイロン)氏は次のように話す。「価値が向上し続けているタイプのデータとして、高潮データがあります。このデータのおかげで、設備が正常に稼働していることを容易に確認できます」。高潮データは洪水センサーから送信されるため、全米の防災計画策定者に警報をリアルテイムに送ることができる。

災害関連のセンサーやその他のデータストリームの採用を進めるためには、電話会社の関心やビジネス面での関心を惹くことが必要不可欠だった。洪水や山火事のデータを必要とするエンドユーザーは政府ではあるが、このようなデータの可視性に関心があるのは政府だけではない。Columbia(コロンビア)大学の地球研究所国立防災センターのプロジェクト統括責任者Jonathan Sury(ジョナサン・シュリー)氏は「こうした情報を必要としているのはほとんどの場合、民間企業です」と話す。「気候変動などの新しいタイプのリスクが、企業の収益に影響を与えるようになっています」と同氏はいい、センサーデータに対するビジネス面での関心が、債権格付けや保険の引受などの分野で高まっていると指摘する。

センサーはどこにでも設置できるわけではないが、緊急対応管理者がこれまで確認できなかったような、現場のあいまいな状況を見通すのに役立ってきた。

最後に、世界中の至るところで利用されるようになったモバイル機器には、膨大なデータセットが存在する。例えばFacebook(フェイスブック)のData for Good(データ・フォー・グッド)プロジェクトでは、接続に関するデータレイヤーを利用できる。ある場所から接続していたユーザーが別の場所で接続したら、移動したと推測できる。フェイスブックや電話会社が提供するこのようなデータを使うことで、緊急対応計画を策定するスタッフは、人の移動をリアルタイムに把握することができる。

氾濫するデータとAIの可能性

データが乏しかった過去と比べると今は情報が溢れているが、世界中の都市で発生している洪水のように、データの氾濫に対応する時期が近づいている。データウェアハウスやビジネスインテリジェンスツールなどのITスタックによって、過剰なまでのビッグデータが収集されている。

災害データが簡単に処理できさえすればよいのだが、現実はそう簡単ではない。民間企業や公的機関、非営利団体などさまざまな組織が災害関連データを保持しているため、データを相互に運用する面で大きな障害がある。分散しているデータを統合して知見を得られたとしても、最前線で対応するスタッフが現場で意思決定に役立てられるようにまとめるのは困難だ。そのため、防災計画以外の用途でAIを売り込むのは今でも難しい。ベライゾンのデイビス氏は次のように話す。「過剰なまでのデータをどのように活用すればよいのかという点に関して、多くの都市や政府機関が苦慮しています」。

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残念ながら、あらゆるレベルでの標準化が課題だ。世界的にみると標準化が徐々に進んではいるものの、各国間の相互運用性はほとんど実現されていない。緊急電話対応プラットフォームCarbyne(カーバイン)の創業者兼CEOのAmir Elichai(アミール・エリチャイ)氏は「テクノロジーと標準化の両面で、国ごとに大きな隔たりがあります」と語り、ある国のプロトコルを別の国で使用するには、まったく別のものに作り直す必要があることが多いと指摘する。

ヘルスケア災害対応組織Project HOPE(プロジェクト・ホープ)の緊急対応準備担当ディレクターTom Cotter(トム・コッター)氏は、国際的な環境では、対応するスタッフ同士でコミュニケーションを確立することさえ難しいと話す。「ある国では複数のプラットフォームを使用できるのに対し、別の国では使用が許可されていないということがあり、状況は常に変化しています。基本的には、テクノロジーコミュニケーションプラットフォームを国ごとに別々に用意している状態です」。

連邦政府の緊急管理部門のある上級担当者は、テクノロジーの調達契約ではデータの互換性がますます重要になっていることを認め、政府は自前のソフトウェアを使用するのではなく、市販の製品を購入する必要性を認識していると話す。こうしたメッセージはエスリなどの企業にも届いている。ランクロス氏は「当社の中核となる使命はオープンであることです。作成したデータを一般公開して共有するか、オープンな基準に基づいてセキュリティ保護したうえで共有するというのが当社の考え方です」。

相互運用性が欠如しているというのはマイナス面がいくつもあるが、皮肉なことにイノベーションの際にはプラスに作用することがある。エリチャイ氏は「標準化されていないということは利点になります。従来の標準に合わせる必要がなくなるからです」と指摘する。標準化されていない状況では、最新のデータワークフローを前提とした、質の高いプロトコルを構築できることもある。

相互運用性が確保されたとしても、その後にはデータ選別の問題が控えている。災害関連データには危険も潜んでいる。センサーから発信されるデータストリームは検証したうえで別のデータセットと照合できるが、一般市民から発信される情報量が激増してきているため、初動対応するスタッフや一般向けに公開する前に安全性を精査する必要がある。

一般ユーザーがかつてないほどスマホにアクセスできるようになっているため、緊急対応計画を策定するスタッフが、アップロードされたデータを選別して検証し、使える状態にする必要がある(画像クレジット:TONY KARUMBA/AFP/Getty Images)

災害コミュニケーションプラットフォームPerimeter(ペリメーター)のCEO兼共同創業者Bailey Farren(ベイリー・ファレン)氏は「正確な最新情報を持っているのが一般市民である場合もあります。そうした貴重な情報を、初動対応するスタッフが作業を始める前に市民が政府担当者に伝えてくれればよいのですが」と話す。問題は、無益な情報や悪意のある情報から質の高い情報を選別する方法だ。自然災害の対応要員として有志の退役軍人チームを構成する非営利団体Team Rubico(チーム・ルビコン)のCIO Raj Kamachee(ラージ・カマチー)氏は、データの検証が必要不可欠であると述べ、同氏が2017年にチーム・ルビコンに参加して以来、組織で構築するインフラの重要な要素にデータの検証があると考えている。「当社のユーザーが増えているため、フィードバックのデータ量も増えています。結果として、セルフサービス型の非常にコラボレーション的なアプローチが形成されています」。

量と質が確保されれば、AIモデルを活用すべきだろうか。答えは、イエスでもありノーでもある。

コロンビア大学のシュリー氏は、一部で話題になっているような過剰な期待をAIにすべきではないと考えている。「注意が必要な点ですが、機械学習やビッグデータ関連のアプリケーションで何でもできるわけではありません。こうしたアプリケーションでさまざまな情報を大量に処理できますが、AIが具体的な解決策を教えてくれるわけではありません」と同氏はいう。「初動対応するスタッフはすでに大量の情報を処理しており」、それ以上のガイダンスを必ずしも必要としているわけでない。

災害分野では、防災計画や復旧にAIを利用することが増えている。シュリー氏は、防災計画プロセスでデータとAIを組み合わせた1つの例として、復旧計画プラットフォームOneConcern(ワン・コンサーン)を挙げる。また、さまざまなデータシグナルをいくつかのスカラー値にまとめて、緊急対応計画を策定するスタッフが危機管理計画を最適化できるようにする、CDC(米国疾病管理予防センター)の社会的脆弱性指標とFEMA(連邦危機管理庁)のリスクツールも挙げた。

とはいえ、筆者が話を聞いたほとんどの専門家は、AIを使用することについて懐疑的だった。災害に関する販売サイクルについて取り上げたこのシリーズのパート1で少し説明したように、データツールは、人命がかかっているときは特に信頼性が重要で、最新の情報に更新されていなければならない。チーム・ルビコンのカマチー氏は、ツールを選択する際にはそのツールの秀でているポイントではなく、各ベンダーの実用性だけに注目するという。「当社はハイテク機能も追求しますが、ローテクも用意しています」と同氏は語り、災害対応で重要なのが、変化する状況に機敏に対応できることであることを強調する。

カーバインのエリチャイ氏は、同社の販売実績にも同様のパターンがあると認識している。同氏は「市場には新しいテクノロジーに対する意識の高さと、採用を躊躇する慎重さの両方がある」ことを指摘するが「あるレベルに達すればAIが有益となることは間違いない」と認める。

同じように、ティー・モバイルのナイロン氏も経営者の観点から、ティー・モバイルの災害計画に「AIを最大限に活用できるとは思えない」と語る。ティー・モバイルはAIを頭脳として使う代わりに、単純にデータと予測モデリングを使用して装置の配置を最適化している。高度な敵対的生成ネットワークなど必要ないというわけだ。

AIは計画策定以外でも、災害後の復旧、特に損害査定に活用されている。災害の収束後にはインフラと私有財産の査定を行って、保険金を請求し、コミュニティを前進させる必要がある。チーム・ルビコンのCOO兼社長Art delaCruz(アート・デラクルーズ)氏は、テクノロジーとAIの普及によって、損害査定の作業が大幅に軽減されたと指摘する。チーム・ルビコンでは、復旧作業の過程でコミュニティの再構築を支援することが多いため、損害の重大度判定が対応戦略を効果的に進めるうえで不可欠だ。

太陽の光で将来は明るくなるが、その光でやけどする可能性もある

AIはこのように、回復計画と災害復旧の分野でいくらかの利用価値があるものの、緊急対応の分野ではあまり役に立っていない。とはいえ、災害対応サイクル全体では有効な場面も増えてくるだろう。ドローンの将来性には大いに期待が寄せられているし、現場で使用されるケースも増えている。しかし、長期的に考えると、AIとデータが解決策とならず、新たな問題を引き起こすのではないかという懸念がある。

災害対応の現場でドローンを使用することは、明らかに価値があるように思える。救援隊員が立ち入ることが困難な現場でも、ドローンを導入したチームは空からの映像や情報を入手できる。バハマでの任務遂行中に主要道路が閉鎖されたため、現場のチームがドローンを使って生存者を見つけたと、チーム・ルビコンのカマチー氏は話す。ドローンから撮影された画像がAI処理され、生存者を特定し避難させるのに役立った。同氏は、ドローンとその潜在能力について「とにかくすばらしいツールだ」と話してくれた。

ドローンから航空写真を撮影することで、災害対応チームが入手できるリアルタイム情報の質は大幅に向上する。地上からは近づけない現場ではなおさらだ(画像クレジット:Mario Tama/Getty Images)

プロジェクト・ホープのコッター氏もやはり、データ処理を高速化することで的確に対応できるようになると話す。「災害地で人命を救うのは、結局のところスピードです。対応をリモートから管理できるケースも増えたため、多数の要員を現地に送らずに済みます」と同氏はいう。これは、人員が限られている場所で活動する対応チームにとって、とても重要である。

「捜索や救助、航空写真などに、ドローンのテクノロジーを活用する緊急管理機関が増えています」とベライゾンのデイビス氏はいい「現場に機材を導入することが先決」という考え方の作業員が多いと指摘し、次のように続ける。「AIの性能は向上する一方であり、初動対応するスタッフはより効果的、効率的かつ安全に対応できるようになっています」。

センサーやドローンから送信される大量のデータを迅速に処理して検証できるようになれば、災害対応の質は向上するだろう。大自然が気まぐれに起こす大災害が増えているが、そうした現状にも対応できるかもしれない。しかし問題がある。AIのアルゴリズムが将来、新たな問題の原因となることはないのだろうか。

ランドでは典型的な代替分析を提供しているが、ランドのクラークギンズバーグ氏は、これらのソリューションで問題が発生する可能性があると話し「テクノロジーが引き金となって災害が発生し、テクノロジーの世界が災害を悪化させます」と指摘する。これらのシステムは破綻する可能性がある。間違いを犯すかもしれない。そして何より不気味なのは、システムを細工して大混乱と破壊を拡大させる可能性があるということだ。

筆者が最近紹介した災害対応VCファンド兼慈善活動組織のRisk & Return(リスク&リターン)社の取締役会長で、9/11 Commission(米国同時多発テロ事件に関する調査委員会)の前共同議長、およびネブラスカ州知事と上院議員も務めたBob Kerrey(ボブ・ケリー)氏は、多くの対応現場でサイバーセキュリティが不確定要素となるケースが増えていると指摘する。「(調査委員会が業務を遂行していた)2004年当時は、ゼロデイなどという概念はありませんでした。もちろんゼロデイを取引する市場もありませんでしたが、今はその市場があります」。9/11の同時多発テロでは「テロリストたちは米国にやってきて、飛行機をハイジャックすることが必要でした。今はハイジャックしなくても米国を破壊することが可能です」と同氏はいい「ハッカーたちは、モスクワやテヘランや中国の仲間、もしかすると自宅に引きこもっている仲間と、家で座ったまま攻撃できます」と指摘する。

災害対応の分野でデータは注目を浴びているが、このような状況が原因で、これまで存在しなかった二次的な問題が引き起こされる可能性がある。与えられしものは奪われる。今は石油が湧き出ている井戸もいつか突然枯渇する。あるいは井戸に火が付くかもしれない。

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画像クレジット:BIJU BORO/AFP / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)