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駒や手の動きをトレース、タッチ操作可能な「デジタル」ボードゲームをThe Last Gameboardは2021年中に出荷

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ここ数年、何百万人もの人々がテーブルゲームの楽しさを知り、再発見したことで、テーブルゲーム業界は爆発的な成長を遂げている。The Last Gameboard(ザ・ラスト・ゲームボード)はその進化の場になりたいと考えている。デジタルボードゲームプラットフォームである当社は、クラウドファンディングから400万ドル(約4億3700万円)のシードラウンドへと進み、業界の大手企業との提携を経て、年内の出荷を予定している。

同社のCEO兼共同設立者であるShail Mehta(シャイル・メータ)氏が2021年初めのTC Early Stageのピッチ・オフで説明したように、The Last Gameboardは16インチ(40.6センチメートル)の正方形のタッチスクリーンデバイスで、カスタムOSと、ゲームの駒や手の動きを追跡する高度な技術が備わっている。狙いは、最大限の利益と最小限の妥協をもって物理的なゲームの代わりにデジタルゲームを提供することだ。

本ピッチには聞き覚えがあるかもしれない。過去に1度か2度、試みられたことがあるからだ。私は2009年に、初代Microsoft SurfaceでのD&Dの可能性に感銘を受けたことをはっきりと覚えている。また、何年も前にPAXで別のSurfaceで遊んだこともある。メータ氏によれば、ごく最近までこのような技術がなく、市場的にも準備が整っていなかったそうだ。

「以前にもこのような試みはありましたが、あまりにも高価だったり、人気がなかったのです。そして、技術的にもそこまでのものではなく、インタラクションの部分が欠けていました」と彼女は語る。確かに、例えばiPad版のゲームには物理的な要素が欠けていることは、プレイヤーなら誰でも認めるところだろう。彼女の会社が達成した進歩は、タッチスクリーンがタップやドラッグだけでなく、ゲームの駒やジェスチャー、画面上の動きなどを検出できるようにしたことだ。

メータ氏によれば「ゲームボードができることは、既存のタッチスクリーンやタブレットには到底できないことです。タッチも駒も、受動も能動も無制限に行うことができます。チェスセットを家で使って、駒を取ったり置いたりしても、それをずっと追跡することができます。タグやカスタムシェイプでユニークな識別が可能です。これは、インタラクティブサーフェスの次なるステップです」。

その方法は特別なものではないため、ゲームボードは、ユニークで高価な構造のために数千ドル(数十万円)もするSurfaceやその後継機のような運命を辿ることはない。メータ氏によれば、ゲームボードは一般的な静電容量方式のタッチデータを一般的に使用されているよりも高いフレームレートで厳密に処理し、機械学習を用いて物体の輪郭を特徴付けて追跡すると説明している。「完全に新しいメカニズムを作ったわけではなく、現在利用可能なものを最適化しているだけなのです」と彼女はいう。

画像クレジット:The Last Gameboard

ゲームボードの価格は699ドル(約6万5000円)と決して衝動買いできるものではないが、実際のところ人々はゲームに多額のお金を費やしており、拡張機能やパーツをすべて揃えると数百ドル(数万円)になるゲームタイトルもある。ボードゲームは今や200億ドル(約2兆1800億円)を超える産業だ。もし、彼らの期待通りの体験ができるのであれば、これは多くのプレイヤーが躊躇せずにできる投資だろう。

もちろん、どんなに強力なジェスチャーや機能を備えていても、そのプラットフォームにあるのが特売品や古い店の人気商品だけであったら意味がない。幸いなことに、The Last Gameboardは世界で最も人気のあるボードゲーム企業をいくつか集め、それらのゲームのデジタル版の決定版を目指している。

画像クレジット:The Last Gameboard

Asmodee Digital(アスモデ・デジタル)は、現代の名作「Catan(カタン)」や「Carcassonne(カルカソンヌ)」から、クラウドファンディングで大ヒットした「Scythe(サイズ)」や大規模なダンジョン探索ゲーム「Gloomhaven(グルームヘイヴン)」まで、今日の大ヒット作品の多くをゲーム化してきた最大の企業だろう。現在、Dire Wolf Digital、Nomad Games、Auroch Digital、Restoration Games、Steve Jackson Games、Knights of Unity、Skyship Studios、EncounterPlus、PlannarAlly、Sugar Gamersの他、個人のクリエイターや開発者がパートナーとして名を連ねている。

これらのゲームは対面でプレイするのが最適かもしれないが、デジタル版への移行にも成功しており、より大きなスクリーンと本物の駒を取り入れれば、より優れたハイブリッド体験が可能になるかもしれない。また、携帯電話やSteamのようにゲームを単品で購入する方法と、無制限にアクセスできるサブスクリプションに加入する方法がある(価格はいずれも未定)。

また、多くのゲームショップやゲーム会場でも、いくつかのゲームを用意しておきたいものだ。店頭でゲームを試した後、数本購入してストックしたり、消費者を同じやり方で説得したりすることは、すべての関係者にとってすばらしい販売戦術となるだろう。

このデバイスは、ユニークで優れたデジタル版ゲームを提供するだけでなく、他の人とつながって技を交換したり、ゲームの招待を送ったりすることができる。メータ氏によれば、OS全体が「生きている現実なのです。私たちが所有し創造しなければ、機能しません」。デバイスはストアを内蔵したAndroidに毛が生えた以上のものでありながら、Androidベースのポートを簡単に持ち込むことができる共有性がある。

コンテンツ部門の責任者であるLee Allentuck(リー・アレンタック)氏は、新型コロナウイルス流行を含むこの2、3年の間に、ゲーム開発者やパブリッシャーが、次の時代に向けた業界の準備状況について考えを改め始めたことを示唆している。「彼らは、デジタル界でのクロスオーバーが起こるだろうと考えています。もし、そのような新しいトレンドに最初から参加することができれば、大きなチャンスとなります」と語る。

ゲームボードでStop ThiefをプレイするCEOのシャイル・メータ氏(中央)とチームのメンバー(画像クレジット:The Last Gameboard)

Hasbro(ハズブロ)に勤務していたアレンタック氏によると、玩具やボードゲームの業界では、技術的により前進することに広く関心が寄せられている。しかし「ニワトリが先か、タマゴが先か」と言われるように、革新する人がいないから市場が生まれず、市場がないから誰も革新しないという状況が続いている。幸いなことに、The Last Gameboardのような会社が400万ドル(約4億3700万円)を調達して、その市場を作るためのコストをカバーできるところまで状況は進展している。

The Last Gameboardの本ラウンドは、TheVentureCity(ザ・ベンチャーシティ)が主導し、SOSV、Riot Games(ライアットゲームズ)、Conscience VC(コンシエンスVC)、Corner3 VC(コーナー3 VC)などが参加した。同社は、予定通りHAX Shenzhenのプログラムに参加しなかったものの、HAX系列の企業であることに変わりはない。SOSVのパートナーであるGarrett Winther(ガレット・ウィンザー)氏は、同社のアプローチを高く評価している。「彼らは、我々がゲームに求めるコミュニティ、ストーリーテリング、対戦の基盤を失わずに物理的なゲームプレイとデジタルなゲームプレイのコラボレーションを効果的に結びつけた最初の企業です」と語る。

メータ氏によると、新型コロナウイルスの影響で、2020年の同時期に予定されていた資金調達が頓挫し、すべてが台なしになり、会社が危うくなるところだった。「機能するプロトタイプができて、特許も申請して、人気も出てきて、資金調達もできて、すべてが順調だった時に、新型コロナウイルスが発生してしまいました。しかしながら研究開発のための時間がたくさんできたので、それが実際幸いしました。私たちのチームは超少人数だったので、誰も解雇せずに済みました。私たちは半年間ほど生存モードに入り、プラットフォームの最適化と開発を行いました。2020年は誰にとっても厳しい年でしたが、コア製品に集中することができました」。

現在、同社は2021年夏にベータプログラムを開始し、そこからのフィードバックを受けて、最初の生産台数を購入されやすい休暇シーズン前に出荷する準備をしているところだ。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:The Last Gameboardボードゲーム資金調達

画像クレジット:The Last Gameboard

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)