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フェルミ研究所暗黒エネルギーサーベイチームが宇宙におけるダークマター分布の最大・詳細なマップを発表

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フェルミ研究所暗黒エネルギーサーベイチームが宇宙におけるダークマター分布の最大・詳細なマップを発表

N. Jeffrey et. al/Dark Energy Survey Collaboration

米フェルミ研究所の暗黒エネルギーサーベイ(DES)チームが、宇宙における暗黒物質(ダークマター)の分布について、最大かつ最も詳細なマップを発表しました。

ダークマターとは宇宙の85%を占めるとされる「質量はあるものの光学的に観測できない」物質のこと。あくまで仮説上のものでありながら、それが存在しなければ一部の天文学的な現象が説明できない重要な物質です。ダークマターそのものは観測できないものの質量があるため、遠くの星の光を歪ませる作用があります。また歪みが大きければ大きいほど、その間に存在するダークマターの濃度が高いと考えられます。

DESが発表した新しい宇宙マップは、2013年から2019年にかけ、チリにあるビクター・M・ブランコ望遠鏡を使って1億個の銀河を分析した結果として発表されました。この地図は、暗黒物質が宇宙にどのように分布しているかを示しています。

研究では弱い重力レンズ効果を拾うことで宇宙の比較的近い部分にある暗黒物質の大きな分布を分析しました。そしてその結果は現在もっとも信頼される理論で予測されているよりも、ダークマターの分布がわずかに滑らかで、より拡散していることを示しています。またそれは、アインシュタインの一般相対性理論から逸脱しているように見えることから、天文学者たちに驚きと混乱をもたらしています。

マップ作成に関わったパリ高等師範学校(École Normale Supérieure:ENS)のNiall Jeffrey博士は、この結果は物理学にとって「非常に問題」であると述べ「もしこの(一般相対性理論との)不一致が正しければ、アインシュタインが間違っていたことになります。これは物理学が壊れてしまうことを意味するかもしれません。しかし、物理学者たちにとってこれはエキサイティングなことでもあります。なぜなら宇宙の真の姿についてなにか新たな発見があるということも意味するからです」としました。

一方、アインシュタインらの理論をもとにして現在の宇宙理論を構築した科学者のひとり、ダラム大学のカルロス・フレンク教授はこの結果が自ら「人生を捧げて研究してきた理論が崩壊させられるのは見たくない」としつつ「しかし私の頭の中では、測定結果は正しかったのだから、新しい物理学の可能性に目を向けなければならないと考えている」と述べました。そして「私たちは、宇宙の構造に関する根幹的な何かを発見したかもしれません。現在の理論は、砂で作った非常にいい加減なつくりの柱に基づいています。そして、私たちが目にしているのは、その柱のひとつが崩れ落ちるところです」としています。

DESの結果はまた、ダークエネルギーが一定であるという現在の理論をほぼ裏付けています。しかし今回発見された矛盾点は、研究者らにこれまでの認識を改めさせるかもしれません。実際の宇宙は、実はこれまで科学者が考えていたようには振る舞わない場面がある可能性があります。このダークマターの分布を記すマップから、これまでの仮定を覆すような新しいモデルの発見にもつながるかもしれません。

チリにあるビクター・M・ブランコ望遠鏡。Photo: Reidar Hahn、Fermilab

チリにあるビクター・M・ブランコ望遠鏡。Photo: Reidar Hahn、Fermilab

(Source: Nature、Via:FelmilabEngadget日本版より転載)

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