動画をタップして後で検索、インタラクティブ動画「TIG」が描く映像の未来

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若い世代の間では動画から情報を得るのがもはや常識だ。テレビはもちろんYouTubeなどのネットサービスでの動画視聴が一般的となり、さらにコロナ禍でのおうち時間で増えた自由時間を動画視聴に充てる人も多い

ところで、僕の周りにいる人たちが動画を視聴しているところを観察してみると、ある行動パターンが存在した。大学生の僕の妹は、スマホでYouTubeを見ながら頻繁にアプリを切り替えてブラウザで何かを検索している。30歳の僕の妻は、テレビでバラエティ番組などを観ながら、手元にあるスマホで番組に出ている芸能人や紹介されたアイテムの価格などをAmazonで調べている。TechCrunch Japan読者のみなさんもよく目にする光景ではないだろうか。

動画を見ながらの検索に対して「それって無駄だよね、もっとシームレスにしたいよね」という想いでビジネスを展開するのが日本のスタートアップのパロニムだ。同社はインタラクティブ動画と呼ばれる「触れる動画技術プラットフォーム」の「TIG(ティグ)」を展開している。同サービスにより作成されたインタラクティブ動画では、動画内に出てくる商品、観光スポット、登場人物などをタップすることで、その対象が後で検索するためのストックリストに登録されていく。タップするごとに動画再生が止まるということはなく、視聴者が動画そのものを楽しめるような設計になっている。動画視聴中または視聴後にストックされた情報をタップすることで商品情報のページなどにすぐにアクセス可能だ。

パロニムによれば、できるだけ動画の画を汚さない設計によって動画視聴完了率は全体で52%ほどと高く、ユニークユーザー1人あたりの遷移率も47%となっている。また、ある大手ECプラットフォームが通常動画とTIG動画でのCVR(コンバージョンレート)を比較したところ、TIG動画のCVRは通常動画のそれに比べて約3倍ほど高かったという。

TIGを使ってこのようなインタラクティブ動画を作成するのは簡単だ。動画の作成者はTIGのプラットフォーム上に動画をアップロードし、タップさせたい商品などを範囲指定するだけだ(同社はこの行為を「ティグづけ」と呼ぶ)。あとはTIGがその対象物を自動で追従してくれるから、コマ送りで細かくタップ箇所を指定する必要はない。このように、TIGでは既存の動画にも簡単にインタラクティブ性を持たせられることが特徴で、視聴者がどこをタップしているか(注目しているか)などの追加的なデータも取ることができる。

パロニムはこの技術を応用し、動画ECプラットフォームである「TIG Commerce」をはじめ、ライブストリーミングに対応した「TIG LIVE」、サイネージ対応の「TIG Signage」、eラーニング対応の「TIG Learning」などさまざまなサービスを展開中だ。また同社は今後、作成したTIG動画をLINE(ライン)のタイムライン上で配信でき、視聴者はストックされた情報にLINEからいつでもアクセスできる「TIG for LINE」や、eコマース動画に内蔵されたカートボタンをタップすると商品の購入画面に直接遷移できる「TIG for Shopify」などの新サービスを提供していく予定だ。

よく考えてみれば、スマホで動画がいつでも見られる世の中になったことは便利だけれど、動画のタップでできることといえば再生停止くらいなものだ。それではあまりにもったいない。動画のタップ操作でできることが増えれば、動画がもつ可能性も比例して広がっていくのだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:パロニムTIG動画eコマース日本インタラクティブ動画