【レビュー】グーグルの99ドルワイヤレスイヤフォン「Pixel Buds A-Series」はコスト削減努力の結晶

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99ドル(約1万800円)という価格を実現するために機能を絞り込んだお値打ちイヤフォン

Google(グーグル)は多くのことをうまくやっている。しかし、これまでハードウェア戦略は真の意味ではその中に入っていなかった。だがここ数年同社は、少なくともPixel(ピクセル)やNest(ネスト)といったデバイスでは、ある程度の一貫性を保とうとしてきた、しかし特に前者は、すでに競争相手に溢れた市場の中で足場を固めるのに苦労し続けている。

Googleは2017年に、第1世代の「Pixel Buds」(ピクセルバッズ)でワイヤレスイヤフォンの分野に参入した。この製品は、デザイン的にも機能的にも、このカテゴリーの中では斬新なものだった。にもかかわらず、最終的には失敗に終わった。しかし、その努力に対しては「A査定」を与えても良いと思う。2020年4月に発売された第2世代の製品は、前作の多くの問題点を修正し、よりストレートなアプローチを追求した。

画像クレジット:Brian Heater

米国時間6月3日に発表された「Pixel Buds A-Series」(ピクセルバッズAシリーズ)は、Googleのスマートフォンラインで成功を収めたアプローチを利用したものだ。最初のPixel Aスマートフォンが登場したのは、同社が携帯電話の販売不振をなんとかすべく対処を行っているときだった。この廉価版ラインへのアプローチは成功を収めて(Googleスマートフォンの基準では)よく売れ、苦境に立ったラインに明るいニュースをもたらすのに役立った。

再確認になるが、格安スマホと同じように、価格がものをいうのだ。ここで示された価格は99ドル(約1万800円、日本での価格は未定)だ。この価格は、新しいEcho Buds(119ドル、約1万3000円))やSamsung Galaxy Buds(110ドル、約1万2000円))よりも下で、さらにはAirPods 2(159ドル、約1万7000円)よりもはるかに安い。基本的に、中位クラスの完全ワイヤレスイヤフォンの価格設定の中では低価格帯を占めている。これよりも下位クラスではさらに競争が激しく、たとえばAnker(アンカー)のイヤフォンを40ドル(約4400円)前後で購入することができる。しかし、ブランド名から期待する相対的な基準で考えると、その価格設定はかなり大胆なものだ。

また、希望小売価格が170ドル(約1万9000円)の標準的なPixel Budsに比べても大幅に値下げされている(ただし、少し探せばずっと安く手に入れることができる)。今回のシリーズAは、標準的なPixel Budsに取って代わるものではなく、Pixel Budsを補完するものだ。このやり方は、価格帯では開きがあるもののApple(アップル)がAirPodsで行った戦略と同じだ。新しいイヤフォンが発売されたことで、多くのオンラインショップでの製品間の価格差がさらに縮まることを期待している。この記事を書いている時点では、Pixel Budsの2代目を99ドル(約1万800円)で販売しているところが少なくとも1カ所ある。

画像クレジット:Brian Heater

当然のことながら、コストを下げるためには、多少の簡易化、あるいは必要のないものを取り除くことが必要だ。最終的には、あるユーザーにとっての価値は、低価格化と引き換えに何を失っても良いかによって決まる。失われるもののうち特に大きなものは以下のようなものだ。

  • ワイヤレス充電なし
  • センサーの低価格化により、アテンションアラート(サイレン、赤ちゃんの泣き声、犬の鳴き声などが聞こえると一瞬音量が小さくなる機能)なし
  • 通話や風に対するノイズ低減機能なし
  • 限られたタップジェスチャー

それ以外の点では、シリーズAはPixel Buds 2とよく似ていて、同様の12mmダイナミックスピーカードライバーや、デザインもほぼ同じものを採用している。実際、個人的にはあまりにも似ていることに驚かされた。大きさや形なども……・ここですぐにわかる唯一の違いはカラーリングだ。そのあたりには特に問題がなかったので、Googleは修正しなかったのだ。これまでのような大胆なマットカラーはない。今回のヘッドフォンには、光沢のある2つのカラーが採用されている。クリアリーホワイトとダークオリーブだ。Googleが私に送ってきたのは前者で、AirPodsよりも少しオフホワイト(Echo Budsのカラーリングに少し近い)で、濃いグレー部と組み合わせられている。もしもっと大胆なカラーがお好みなら、オレンジ(日本未発売)またはミントグリーンを使用した従来のイヤフォンを選ぶこともできる。私はオリジナルのマットなカラーリングの方が好きなのだが、会社としては何らかの差別化を図らなければならなかったのだろう。

画像クレジット:Brian Heater

ケースは、従来のバージョンと同じ縦長の楕円デザインだ。AirPods Proと同程度の体積なので、ポケットに入れても違和感はない。USB-C充電ポートが底面にあり、前面のライトで充電状態を確認でき、同期ボタンは背面下部にある。上部の蓋を開けると、おなじみの2つのイヤフォンが現れる。

サイズと形状はPixel Budsとほぼ同じだが、うれしいことに長時間の使用でもかなり快適だ。そうした性質は、すべての競争相手に当てはまるものではない。シリコンチップはより良いフィット感を得るためにユーザーが交換可能することが可能だが、小さなシリコンイヤーチップはガッチリとはまりこんでしまう。私はそれでいいと思うが、人によって意見は異なるかもしれない。

今回のAシリーズ(まったくの余談だが、何度も資金調達ラウンドについて書いたせいでどうしても「シリーズA」と書きたくなってしまう)のサウンドは、これまでのものと同様にほどほどの仕上がりになっている。(なかなか休む時間が取れなかったような場合には)AirPods ProやSONY WF-1000XM3のような高級イヤフォンから、より高品質なサウンドを得ることができるが、日常的なリスニングや通話には、マイクの性能は多少落ちたとしても、今回のイヤフォンで十分対応できる。

画像クレジット:Brian Heater

ノイズキャンセリング機能は搭載されていない。まあ標準のPixel Budsにもこの機能は搭載されていないので、それは当然予想されることだ。ノイズキャンセリングの標準搭載がだんだん進んでいることを考えると、当然Pixel Buds 3にはこの機能が搭載され、格安モデルとの差別化が図られることだろう。

1回の充電で5時間(通話2時間30分)、ケースを使うと12時間利用できるが、これもPixel Budsと同じだ。同様にIPX4の防水性・防汗性を備えている。Bluetooth接続はかなり強力だ。通常のイヤフォンでは別の部屋に移動した際に接続が切れることがよくあるが、今回の製品ではそのようなことはなかった。

画像クレジット:Brian Heater

Android(6.0+)またはiOSデバイスにペアリングできる。当然ながら、Androidでは「Fast Pair」(ファーストプレイ)機能を通して便利に使うことができる。一方、Appleの携帯電話に対しては、ペアリングボタンを使用する必要がある。目玉機能の1つであるGoogleアシスタントも、Androidデバイスでしか使うことができない。これは、通知を有効にしたり、Google翻訳をリアルタイムに利用するためには、もっとも便利な手段だ。

Pixel Buds Aシリーズは、イヤフォンの世界に騒動を巻き起こすようなものではない。そのことはあまり重要ではないのだ。何よりもこの製品は、100ドル(約1万900円)以下でしっかりとした体験を提供するために、脂肪を削ぎ落としたものだ。その基準では、ほぼ成功している。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:GoogleGoogle Pixel Budsイヤフォンレビュー

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Brian Heater、翻訳:sako)