米議会が警察による携帯電話の「基地局シミュレーター」使用を制限する法案を提出

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【編集部注】本稿はEngadgetのライターであるIgor Bonifacic(イゴール・ボニファシック)氏による寄稿。

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BuzzFeed News(バズフィード・ニュース)によると、民主党のRon Wyden(ロン・ワイデン)上院議員とTed Lieu(テッド・リウ)下院議員は米国時間6月17日、警察によるIMSI(国際携帯電話加入者識別番号)キャッチーの使用を制限する法案を提出した。その装置はStingrays(スティングレイ)の呼称で知られており、警察はIMSIキャッチャーと基地局シミュレーターを使って容疑者の情報収集や通話、SMSメッセージその他あらゆる形態のコミュニケーションを傍受している。現在、米国の警察機関がこのテクノロジーを使うために令状は必要ない。Cell-Site Simulator Act of 2021(2021年基地局シミュレーター法)はそれを変えることが目的だ。

IMSIキャッチャーは基地局を偽装して携帯電話に接続させる。一度接続されれば、デバイスから送られるデータや位置情報、加入者識別番号を収集できる。基地局シミュレーターには二重の問題がある。

まず、これは監視の鈍器である。混み合った場所で使うと、IMSIキャッチャーは傍観者のデータを収集する恐れがある。第2に市民の安全上のリスクを高める恐れもある。なぜなら、IMSIキャッチャーは基地局のように振る舞うものの、本来の機能は果たさないため、通話を公共無線ネットワークに転送できない。このため、通話を911(警察への緊急電話)につなぐことができない。こうした危険をはらんでいるにも関わらず、Stingrayは広く使われている。2018年にAmerican Civil Liberties Union(米国自由人権協会)は、27の州およびワシントンD.C.の少なくとも75の機関がIMSIキャッチャーを保有していることを突き止めた。

こうした懸念に対応するために、提出された法案は、警察機関がこの技術を使うべき理由を裁判所で論証することを義務づけている。さらに警察は、他の監視手段が有効でない理由も説明しなくてはならない。また法案は、警察が令状に書かれていない対象から集めたデータをすべて削除することを保証するよう求めている。

法案はIMSIキャッチャーの利用について期限を定めていないが、機器の使用を最小限に留めるよう要求している。警察が令状なしで同技術を利用できる例外も詳しく書かれている。例えば爆破予告事件などでIMSIキャッチャーに遠隔爆破を防ぐ可能性がある場合の使用は制限していない。

「私たちの超党派法案はStingrayをはじめとする基地局シミュレーターを巡る秘密や疑念を払拭し、政府がこの種の侵略的監視装置を使用できる場面を定めた明確で透明な規則で置き換えるるものです」とワイデン議員がBuzzFeed Newsに話した。

同法案は一部の共和党議員からも支持されている。モンタナ州のSteve Daines(スティーブ・デインズ)上院議員とカリフォルニア州のTom McClintock(トム・マククリントック)下院議員は同法案を共同提案している。Electronic Frontier Foundation(電子フロンティア財団)とElectronic Privacy Information Center(電子プライバシー情報センター)などの組織も法案に賛成している。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:警察アメリカ民主党

画像クレジット:Joe Raedle/Getty Images / Getty Images

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nob Takahashi / facebook