TikTokで黒人クリエーターたちがストライキ、クリエイティブの搾取を訴える

次の記事

リモート投資とビッグデータがカギ、パンデミック中に誕生したMoonfireが初となる65億円規模のシードファンドを設立

気温が3桁を超えた(38℃以上)頃、Megan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)の新作ミュージックビデオが公開された。しかし、この曲は夏に向けて新しいTikTok(ティックトック)のダンスを流行らせるのではなく、ソーシャルメディアの成層圏でトレンドを無意味に生み出すことに疲れた黒人クリエイターたちの間で、非公式な抗議行動を引き起こしている。

「Thot Shit(ソット・​シット)」の動画が公開された2021年6月中旬、一部の黒人TikTokクリエイターは、搾取に注意するように呼びかけ、他のクリエイターにこのヒット曲のダンスの振り付けを拒否するよう促した。その運動の背景には、TikTokの黒人アーティストは過度な量のコンテンツや文化を生み出しており、その多くが白人の人気クリエーターや文化全体によって再パッケージ化され、収益化されているという考え方がある。

この曲が行動のきっかけに選ばれたことはおそらく偶然ではないだろう。Thot Shitのビデオは、遊び心がありながらも、社会に欠かせない仕事に従事する労働者への大事な賛歌となっている。映像では、食料品店や飲食店、清掃員などの労働者が挑発的に踊っているが、これは彼女たちの労働力を平気で搾取する裕福な白人社会への痛烈な批判だ。

Thot Shitは現在あらゆる場所で発売中。

この「ストライキ」では、クリエイターがTikTokを離れたり、アプリの使用を控えたりするわけではない。そうではなく、普段は話題の新曲のダンスを提供している黒人クリエイターたちが傍観し、自分たちがいないとどうなるのかを、指し示そうというものだ(予想通り、あまり盛り上がっていない)。

この曲のページでは、いくつかの動画は振り付けを予告しているものの、黒人クリエイターがこのアプリで正当な評価を受けていないことを訴える声明に変わっている。他の動画では、黒人クリエイターが空虚なぎこちないダンスをぞっとする思いで見ていたり、曲の歌詞が説明的であるにもかかわらず黒人ではないTikTokがそれを理解できないことを笑ったりしている。

非常にダンサブルな「Thot Shit」は、Megan Thee Stallionの最大のヒット曲になるかもしれないが、TikTokを見ているだけではそれはわからない。

この現象についてコメントを求められたTikTokは、黒人クリエイターがコミュニティの中で「重要で活気のある」存在であることを讃えた。

「私たちは、当社のプラットフォーム上における黒人クリエイターの経験を非常に大事にしており、コミュニティをサポートする環境を整えると同時に、クリエイターの創造的な貢献を称え、クレジットを付与することが当たり前の文化を浸透させるために、日々努力を続けています」と、TikTokの広報担当者は述べている。

ストライキに参加している多くのTikTokアカウントが引き合いに出しているのは、最近爆発的に増えた白人のTikTokkerが、黒人の身体を特に称賛しているNicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)の2016年の曲「Black Barbies(ブラック・バービーズ)」のクリップに合わせて、無頓着に歌っていることだ(「私はすてきな黒いバービー人形。かわいい顔に完璧な身体……」)。白人のTikTokkerは不可解にもこの曲に群がり、人気を高め、そして黒人のクリエイターたちを押し出した。

これは、黒人クリエイターがソーシャルネットワーク上で、搾取され、横取りされていると感じている長い歴史における1つの事件に過ぎない。黒人のTikTokダンサーたちは、長いこと冷遇されてきた。彼らが生み出したオリジナルのダンスは、爆発的な人気を得ると、黒人以外のクリエイターが真似し、彼らもまたそれによってクレジットを獲得している。

TikTokのストライキは、米国のポップカルチャーがいかに黒人からの盗用で成り立っているかを示すだけでなく、音楽業界がいかに音楽を収益化するためにこの窃盗とホワイトウォッシュのサイクルに依存しているかを示すという点で、本当にすばらしい行動です。

Bree Newsome(ブリー・ニューサム)

今回のストライキは、TikTokのようなプラットフォームから生み出される創造性の源泉で、誰がその利益を享受するのかという、継続的な議論に新たな一石を投じるものだ。さらに広く見れば、クリエーターの中には、YouTubeなどの他のメジャーなプラットフォームと比べても、TikTokは経済的に不利だと考える人もいる。ソーシャルメディアの世界では、クリエイター、特に有色人種のクリエイターたちが、自分たちの力を主張するために、集団行動や組合活動さえも起こすようになっている。

自分たちの作品が横取りされていることにうんざりしている黒人クリエイターにとって、TikTokの新しいホットなダンスを世界に提供することを集団で拒否する行動は、オンラインのエコシステムにおいて自分たちがいかに重要な存在であるかを示す1つの方法として有効であることは間違いない。それは活気のない「Thot Shit」の動画を見れば一目瞭然だ。

関連記事
アマゾンの物流労働者の組合結成に向けてチームスターズが積極的な支援を計画
米上院議員が「データ保護局」新設を提案、米国人のデータを取り戻せ

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTokストライキソーシャルメディア

画像クレジット:Anatoliy Sizov / Getty Images

原文へ

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)